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第5話.仕組まれた交換留学生。――いざ、宗教国家ルーンへ!

 「……ちびっ子、一つだけ言っておく」  


 無事に賞品を手に入れ、ゲートへ向かうアタシの背中に、博士の低い声が刺さった。


「お前さんの母方の血筋……あれは、この宇宙のアーカイブに記録が存在せん。

……いいか、ルーンの『法王』が神を気取っているのなら、

いずれお前という『絶対的な特異点』に手を伸ばしてくる。……それだけは忘れるな」


「特異点? 難しい言葉ね。

……ま、誰が来ようと、アタシをタダで動かそうなんて思う奴には、

相応の請求書を叩きつけてやるわよ」



 アタシが不敵に笑うと、博士は満足げに鼻を鳴らし、コンソールを叩いた。


「ふぉっふぉっふぉ、それでええ。

……ワシはここを『時間結晶NEO』で時空を完全に固定し、解析に入る。

お前さんが宇宙を一周して戻っても、ワシのコーヒーはまだ温かいままじゃ。

……さあ、行け。銀河をひっくり返してこい」



 博士の姿が、結晶の輝きと共に遠ざかる。  

アタシたちの戦いの拠点は、今、時間の外側へと静止した。


◇ ◇ ◇


 博士と別れたアタシたちが戻ったのは、帝国直轄の地球にある『帝国魔法科学園』。  

そこには、異様な緊張感が漂っていた。



「……ええっ!? わ、私たちが交換留学生に!?」  


 学園長室に呼び出されたセシリアが、素っ頓狂な声を上げる。  

デスクの上には、宗教国家ルーンが運営する『ルーン聖魔法学園』からの招待状が置かれていた。


「そうだ。現帝国とルーンの友好の証として、

我が校から優秀な生徒を三名、先方の学園へ送り込むことになった。

……選ばれたのは、セシリア・リーズ、マリ・伊集院、そしてサーヤ・シェンカー。貴公らだ」


 学園長が冷徹に告げる。  

マリが不安そうにアタシを見た。


「優秀って……あたくしたち、まだ編入で入学したばかりのようなものですわよ?

それに、サーヤちゃんまで……」



「(……出来レースね)」  


 アタシは懐の『小箱の鍵』に触れながら、冷ややかに笑った。  

博士が手を回したのか、それともマリア、もしくは法王の思惑か。  

どちらにせよ、これで潜入のお膳立ては整った。


「トウマはどうなるのよ? あいつだけ置いてけぼり?」


 アタシが尋ねると、学園長は眼鏡を指で上げた。


「トウマ・イワサキは、貴公らの『護衛』という名目で同行を許可したのだが、

家族の方から辞退があった。家の用事のためということだ」



 これは確実に博士の思惑だ。

自分の子孫が、ガラクタだったので鍛えなおすと言っていた。

おそらく、あの元銀河の最強戦士っていうシンが、やたらと張り切っていたから

毎日ボコボコにされることだろう。


 ともかく『交換留学生』という名目のもと、アタシは堂々とルーン聖王国に潜入できる。

帝国とかルーンとかには興味がないが、とりあえず親父は助け出す。


 アタシの『目』で、ルーン聖王国の本性を確かめてやろうじゃないの。

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