第4話.遺伝子の誤算? 二本の魔剣と聖遺物の香り
「……ねえ、サーヤちゃん。
さっきから『四次元』とか『数億年』とか……何の話をしているの?」
マリが不思議そうな声で尋ねる。
「そうよ! それにアカネちゃんが『試作番号』だなんて
……あんなに温かい(?)手をしているのに、魔法道具だなんて信じられませんわ!」
セシリアも、渡されたばかりの『等身大サーヤ抱き枕』を抱きしめながら食い下がる。
「あー、ごめんごめん。説明すると長くなるんだけど、
一言で言えばアタシたちは別の時間軸から来た未来の海賊なのよ」
サーヤがサラリと爆弾を放り投げた瞬間、博士がトウマの顔をじっと覗き込んだ。
「……ん? 待て。そこにおるボウズ。お前、名を何という?」
「えっ、僕ですか? トウマです。トウマ・イワサキだけど……」
「……イワサキだと? ほう」
博士がパチンと指を鳴らすと、トウマの指先から一滴の血が空中へ吸い上げられた。
研究室のメインモニターに高速で文字列が流れる。
「……信じられん。まさか、ワシの**『直系の子孫』**がこんなところに紛れ込んでおったとはな」
「「「ええええええええーっ!?」」」
本日一番の叫び声が研究室に響いた。
「ご、ご先祖様……!?
でも、僕の家に伝わる墓所は月にあって、
何百年も前の人だって聞いてますが……!」
「なぬ、あそこを知っておるのか。
……なんていうことだ、こんなガラクタがワシの子孫とは。
お前、九九は言えるか? 因数分解は?」
「ぐっ……勉強は苦手だけど、剣なら自信があるんだ!」
博士は深いため息をつき、サーヤに詰め寄った。
「シェンカーの娘よ、本当にこんな低能な奴がワシの子孫なのか?」
「残念ながらそうよ。だけど博士、こいつの『剣の才能』だけは本物よ。
アタシの親父に似て、頭の中まで筋肉でできてるの」
「……ふむ。そういえば、シンも似たようなことを言っておったのう。
まさかワシの子孫が、脳筋の仲間入りをするとは……世も末じゃな」
博士は毒づきながらも、トウマに二本目の魔剣を、
マリには重力負荷ナックルを授けた。
「……ねえ、サーヤちゃん。
……あなたが誰でも、未来人でも、友達なのは変わらないわ!」
マリがナックルを握りしめ、力強く頷く。
「あたくしのサーヤちゃんは、やっぱりサイコーですわ!
抱き枕、大切にします!」
置いてけぼりだった3人の瞳に、初めて「この騒動の当事者」としての光が宿る。
「(……ま、結果オーライね。)」
サーヤは手元に届いた『聖遺物のマンガ』の香りをこっそり嗅ぎ、
至福の表情を浮かべるのだった。
コメントや評価、レビューよろしくお願いします。




