49.(後編)3対2の完全勝利! 出現した「光の階段」と、100兆ギラの予感
ついに最終試合、前評判の高い「銀河最強暗殺者」ソウザが登場した。
しかし、ソウザはアタシの顔を見るなり、一歩も動かなくなった。
会場からは、戦おうとしないソウザに対し罵声とブーイングが飛んでいた。
『おい! 金返せ!』
『最強の暗殺者が幼女相手にビビってんじゃねえぞ!』
アタシはため息をつき、トコトコとソウザに歩み寄った。
そして、彼だけに聞こえる声で耳打ちする。
「ねぇ。アンタ、アタシの正体……薄々気づいてるわね?」
ソウザの肩が、ビクンと跳ねる。
「……四次元の伝説、シェンカー。あの『狂乱の牙』の血を引く、唯一の……」
「しーっ。配信されてるんだから、あんまり喋らないでよ。
……いい? アンタ、アタシの仲間に入りなさい。命は取らないわ。
その代わり、アンタの実力を見せて。本気でかかってきなさい」
アタシが不敵に笑うと、ソウザは安心したように本気モードへ移る準備を始めた。
やがて立ち上がると、その瞳に戦士としての光が戻った。
『……承知した。死ぬ気で、いや、死ぬつもりはないが、本気を見せて差し上げよう!』
「それでは、両者とも宜しいか? 試合開始じゃ!」
博士の号令と共に、アタシの目の前からソウザの姿が文字通り**「消えた」**。
( これは……アカネの四次元移動? いえ、違うわね )
ソウザの姿が見えない。だが、背後から殺気が飛んでくるのは分かる。
その殺気の源から、1000度はあるだろう、灼熱の塊がアタシの背中を襲った。
一瞬でも遅れたら丸焦げの攻撃だ。
「いいじゃない!これよ。この緊張感をアタシは待ち望んでいたのよ」
アタシはギリギリのところで至近魔法弾かわしたが、アカネが作ってくれた
服に焦げがついてしまう。
これまで四次元で強敵たちと戦ってきたが、目の前の男はベスト3に入る強さだ。
(殺されないと分かった瞬間にこれだ。いい気なものね。
まぁ、それなりに使えそうな魔法だから、コピペでGETさせてもらうわ)
ソウザが使っている魔法は、自分と服全体を、カメレオンのように
周囲の光と同調させ、背景に溶け込むものだ。
大半の者は、ソウザが目の前から消えて狼狽している間に、とどめを刺される。
「……面白いスキルね。でも、二度目は通用しないわよ」
ソウザが二度目の奇襲を仕掛けてきた。
アタシは迷わず時間結晶を使い、**「時間を止めた」**。
アカネがドラゴンを倒したように、一度時間さえ止めてしまえば、
あとは赤子の手をひねるよりも簡単だ。
静止した世界の中で、アタシは周囲の空間を片っ端から、
適当にペシペシと叩いて回る。
殺気を感じるが、どこにいるかは特定できないからだ。
音のない世界で、端から端まで叩いて回るのは退屈で骨が折れる。
そこでアタシは好きな歌のリズムで、空間を叩き始めた。
「おカネだいすきー、金塊だいすきーー。
おカネのためなら火の海もわたるわーーバンバンハバン」
そして時間を動かす。
<< ドゴォォォォォン!! >>
何もない空間で爆発が起き、背景に溶けていたソウザが吐血しながら吹き飛んだ。
「……なるほど。光の同調の意味が分かったわ。……ねぇ、こうかしら?」
アタシが指をパチンと鳴らす。
次の瞬間、アタシの姿も「消えた」。
ソウザが一生をかけて習得した暗殺術。
それを、アタシはたった一度見ただけで完全コピペしてみせたのだ。
『馬鹿な……ありえん……! 私の技を、遊び感覚で……ッ!
これならどうだ、流石に真似できまい!』
戦慄するソウザが、最後のカードを切った。
彼が印を結んだ瞬間、闘技場全体の「時の流れ」が極端に遅くなる。
ソウザ独自の時間干渉魔法だ。
周囲がスローモーションになる中、ソウザだけが通常の速度で、
必殺の刃をアタシの喉元へ突き出す。
彼の視野の中では、アタシは止まっているも同様だ。
自分以外は止まっている、誰も声を出せるはずがない中で、
アタシの声が聞こえてきた。
「……あー、それ。アカネの劣化版ね」
アタシはじっくりとソウザの魔法を観察した後、さらに上の階層の力を解放した。
ソウザが「遅くした」世界の中で、アタシは**「完全に時間を止めた」**のだ。
銅像のように静止したソウザの前に回り込み、アタシは彼の額をデコピンで軽く弾く。
殺さない約束だから、死なない程度に力を抜いた。
時間を動かした瞬間、ソウザは砲弾のような勢いで後方の壁に激突し、
闘技場にクレーターを作った。
「勝負あり、ね。……さて、報酬をもらいに行こうかしら」
3対2。アタシたち魔法科学園チームの勝利だ。
勝利のファンファーレがなり、闘技場の空中に**「光の階段」**が降りてきた。
三次元の常識ではあり得ない光景に、マリもセシリアも腰を抜かしている。
「……さぁ、行きましょう。この階段の先に、アタシの『お宝』が待っているはずよ」
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