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48.(前編)最終階層バトル開幕!――なのに、敵が「嫁」に土下座して自爆しました

 アカネが用意したベッドで十分な休養をとったアタシ達パーティは、

自販機の朝食を取り、ラストダンジョン・最終階層に向かうこととした。



 マリが最終階層の扉を開ける。

その瞬間、アタシの鼓膜を震わせたのは、扉の向こうから聞こえる

地鳴りのような大歓声だった。  


 目の前に広がるのは、目が眩むほど眩い光に照らされた円形闘技場コロシアム

見上げると、数え切れないほどの観衆がすり鉢状の観客席を埋め尽くしていた。



「……なにこれ。幻影魔法? それにしては熱気が生々しいんだけど」


「いえ、サーヤ様。これは現実に存在する観衆です」  



 アカネが眼鏡の端をクイと上げ、冷静に分析を告げる。


「これは、銀河系内の各惑星からネットワークを介し、

リアルタイムで投影されている3Dフォノグラム……。

どうやら私たちの戦いは、全銀河に向けてサブスク配信されているようですね」


 アタシ達から入場料をとって、更にサブスクで観衆からカネをとる。

さすがだ……。アタシは戦う前から博士の『海賊魂』に敗北を感じていた。



 その瞬間、頭上の巨大モニターに博士の顔が映し出された。


『フォッフォッフォ! 諸君、待たせたな! 今回のメインディッシュ、

地球魔法科学園の精鋭vs我が無敵の私兵軍団、5対5のチームバトルじゃ!

勝利チームには聖遺物を授けるぞい!』


 博士はモニター越しに、舐めるような視線をセシリアへ向けた。


『特にセシリアちゃん! 諸君に宣言しよう!

彼女はワシの嫁ぇぇぇぇ!! 傷一つつけさせんぞい!』



「……ねぇ、あいつ、全銀河に自分の変態を配信してる自覚あるのかしら」

「ないでしょうね。救いようのない変態です」  


 アカネがゴミを見るような目でモニターを睨む中、ついに第1試合が始まった。



【第1試合:セシリア vs 砲術魔法士・シン】


 セシリアの対戦相手は、名前からして遠距離魔法の使い手だ。

手には魔法杖ではなく、光のクロスボウを構えている。

戦闘になったら、あのクロスボウが変形して、怖ろしい攻撃を

仕掛けてくるに違いない。


 セシリアの手に汗がにじみ始めた。



「弱気は禁物よ、セシリア。

アタクシの新しいピン留めの威力、あの変態に見せつけてやりますわ!」  


 セシリアが勇ましく闘技場の中央へ歩み出る。やる気満々だ。


 「戦闘、はじめじゃ」


 博士の声に合わせて、両者が詠唱を始める。

セシリアの詠唱が終わる前に、相手のクロスボウが火を噴いた。


セシリアの視界全面からクロスボウの矢が飛んでくる。

遠距離魔法の対決はスピードが命だ。

きっと名のある魔術師なのだろう。


(今からでは防御魔法が間に合わない、ここで死ぬのか?)

(せめて、死ぬ前にもう一度、あの2人を)


セシリアは覚悟を決めて、ちびっ子コンビに目を移した。



「「 あんた、まじめにやりなさいよ 」」


突然。サーヤから意外な言葉が聞こえて来た。


「えっ、アタクシ真剣に……」



「ちっ、バレたか」


「えっ」


 セシリアが前方の敵を見ると、クロスボウの矢が

すべて自分を通り抜けていく。

視界に移っていた矢は、全て光の幻影だったのだ。


 幻影魔法は通常魔法よりも魔法式が複雑だ。

完全なる敗北をセシリアは悟った。



「博士から、あんたを傷つけるなって言われたから

幻影魔法で、降参させようとしたけど、バレちまった」


相手のシンが、両手を上げて近づいてきた。


「もう、俺に勝ち目はない。アンタの勝ちだぜ」


そういうと、控室に戻っていった。


「勝者、セシリア・リーズ」



「「 なんなのですか!ワタクシは本気で戦っていたのに。

それに、新しい魔法を試したいんですのよ! 」」


闘技場でこだまする、セシリアの叫び。



 セシリアが杖を振り回して審判に詰め寄るが、審判は首を振るばかり。

結局、一歩も動かぬままセシリアの不戦勝が決まった。



「……貴族のアタクシにこんな恥をかかせるなんて、

絶対に、地獄の果てまで追い詰めて、八つ裂きにして差し上げますわ!!」


 屈辱の勝利にセシリアが復讐を誓うと、モニターの博士が赤ら顔で身悶えした。



『おおお! 「追い詰める」……! デートのお誘いじゃな!? 期待して待っておるぞい!』


「話が通じませんわぁぁ!!」


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