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32.【閑話】銀髪の狙撃手と砂漠の花(後編)

 ピラミッド内部の極秘研究所。  

中心にある透明な装置には無数の管に繋がれたエマが固定されていた。



「博士、早く装置を動かせ。全魔力を抽出する」


「やめろ! 科学は……知の探求は、人を殺すための道具ではない!」


 博士と呼ばれた男が研究員の腕を必死に掴むが、警備兵が銃口を向ける。


「エマちゃん、逃げろ! 」


「おじさんは? 」


「私はいい。私にも君と同じ年頃の娘がいるんだ。

だからエマちゃんを守りたいんだ」


 絶体絶命の瞬間。



 ――ズドォォォォン!!


 重厚な防壁が内側から「弾け飛んだ」。


「――悪いね。海賊はノックするのが苦手なんだ」


 爆煙の中から、銀髪をなびかせたボクが、肩に大型の四次元式狙撃銃を担いで現れた。


「誰だ貴様! 殺せ! 」  

「イワサキ博士と一緒に消してしまえ」


 警備兵たちが一斉に引き金を引く。だが、ボクは笑みを崩さない。


「へーーー、あんたイワサキっていうんだ」



 < ピューン、ピューン >


「バフ展開――『空間屈折ディストーション』。

三次元の弾丸なんて、ボクに当たるまで数百年かかるよ」


 放たれた弾丸は、ボクの数センチ手前で渦を巻くように歪み、

全てが天井や壁へと跳ね返った。  

驚愕に目を見開く兵士たちに対し、ボクは海賊らしく不敵に言い放つ。


「さて……次はボクの番だね。砲手ガンナーの仕事を見せてあげる」


 ボクは狙撃銃を構え、トリガーを軽く引いた。  

放たれたのは物理弾ではない。**「座標指定型の空間衝撃波」**だ。



  一発、二発。  銃声というよりは「空間が割れる音」が室内に響く。

弾道すら見えないその一撃は、兵士たちが構えていた武器だけを

ピンポイントで粉砕し、衝撃の余波で彼らをまとめて壁まで吹き飛ばした。


「ひ……ひぃぃ! 化け物か! 」


「化け物? 失礼だな。これでも帝国の最年少エリートだったんだよ。

……今はただの『不機嫌な海賊』だけどね」


 逃げようとした研究員に対し、ボクは左手をかざした。


「フルバフ――『魔力凍結』。君たちの汚い魔力、

しばらくの間、根こそぎロックさせてもらうよ」  


 不可視の重圧が部屋を満たし、悪党たちは魔力回路を強制遮断され、

泥のように床へへたり込んだ。



 静まり返った研究所。ボクは、腰を抜かして震える博士の前に立った。


「……あんた、本当にイワサキ家の人? カギの情報、持ってる? 」


「い、命だけは……!

私はイワサキ家の次男……カギは本家のトウマ、いや甥が持っている。

……助けてくれたらお詫びに、私がこの遺跡の技術を応用して完成させた、

この『スカウター』を差し上げます! 」



 博士から「相手の数値を可視化するメガネ」を受け取り、

ボクは満足げに笑った。

そして、装置から解放されたエマを、海賊旗を模したマントで優しく包み込む。


「博士、あんたにはエマと同じくらいの娘がいるんだろ?

罪滅ぼしだ。この子を引き取って、友達になってやってくれ。

……次は、ボクが出向かなくていいようにね」


「……誓います! 私の命に代えても、エマを幸せにしてみせます! 」



 数日後。アフリカの熱風を受けながら、ボクはホバーバイクに跨った。  

鼻の上に乗ったスカウターを指で押し上げる。


「さて……これを使えば、サーヤたちの化けの皮を剥ぐのも簡単だ。

うふふふ、ほんとニヤニヤが止まらないね。

……よし、一度船に戻って、ロク爺を驚かせてあげようかな! 」


 焼けつくアフリカの砂漠の中で、

銀色の閃光が、地平線を切り裂いて走り去っていった。

後編までお付き合いいただきありがとうございました!


 ユーリが手に入れた『スカウター』。

これでサーヤやトウマを覗いたらどうなるのか……。


 このまま、同時更新された【第33話】へどうぞ!

ついに月へ向かうシャトルの中で、あの『不遇の天才』とサーヤが遭遇します!


「続きが気になる」「面白そうだ」と思ったら、

ぜひ下の**【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に**塗りつぶして応援いただけると非常に嬉しいです!

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