20.裏ボス (ルーン聖王国)王女・マリア
「『やったー。マリのおかげで堂々と授業がサボれるー』
なんて、サーヤなら絶対に思ってるわよね。」
「お、思ってないわよ」
( 当然、思っているに決まってるじゃない! )
マリの怪我は、奇跡的に全快していた。
しかし、このまますぐに教室に帰るのはもったいない。
せっかくだからアタシは午前中いっぱい
マリの付き添で保健室にいることにした。
<< バーン!!! >>
二人がベッドの上で談笑していると
知らない男子生徒が保健室に飛び込んできた。
「マリ!大丈夫かーーー! 」
「お、お兄様、マリはもう大丈夫です」
お兄様と呼ばれた学生は、ベッドに駆け寄ってくると
マリを、ひしっと抱きしめた。
「もう、お兄様、苦しいですぅ」
「あっ、ごめん」
「私はサーヤがついているから問題ありません」
この言葉でマリ兄は、アタシに気が付いたようだ。
アタシの手を取ると、何度も頭を下げた。
「ありがとう、サーヤちゃんだっけ。
改めてみると君も小さいな。マリと同じ飛び級かい? 」
「お兄様、小さいは失礼よ!(怒)」
「あっと、ごめんね」
「いいんです。本当に小さいのですから」
「マリ、今回の件は風紀委員会が調査しているけど、
不審な点が多いんだ」
「あれは、私が操作をミスしたのではないのですか? 」
「うん、お前のミスじゃない。
体育館のカメラが僅かだけど魔力を検知しているんだ」
「サーヤ、何か感じた? 」
「う、ううん。何も感じなかったわ」
「マリを狙ったということは、父上の家族を狙ったことになるから、
テロの可能性を考えて、軍が動く可能性がある」
「まぁ、そんな大げさな」
「杞憂であることを俺も祈っている」
「サーヤちゃん、妹を頼んだね」
そう言い残すと、マリ兄は保健室を出ていった。
アタシとマリが教室に戻ると、大勢の生徒が揉めている。
マリ兄を中心とする集団と、アタシと違う色の制服を着た集団だ。
その中心には、いつもクラスで威張っている男子生徒がいた。
「この件は風紀委員会が預かっている案件です。
生徒会のお手を煩わせることではありませんが」
「いや、この件は生徒会であずかる。
こいつは帝国の人間だから、帝国臣民たる我々が裁くべきなのだ」
「こんなクズが帝国臣民と思うだけで反吐が出るがな」
そういうと、横で小さくなっているクラスの男子生徒を杖でつっついた。
軽い電流が加えられたのだろう、男子生徒は小さく唸った。
「あの男子、いつも威張ってると思ったら帝国の人間だったの?
マリは知ってた? 」
「知ってたわよ。確か御父君は有名なお医者様だったと思うわ」
「そうだ、こいつの父親は落ちこぼれの軍医だ。
本国から捨てられて、辺境の地球でやっと生かされているのだ」
生徒会のうち1人が、アタシたちの会話を聞いて大声で叫んだ。
「まったく、親が親なら、子供も子供だ!
とにかくこの件は、生徒会が預かるからな」
「いいえ、それは困ります。我々もマリア様に報告があるので」
「ちっ、ルーンの王女か」
「どうする?相手が悪いぜ」
「かまうもんか、いつかは帝国が支配するんだ」
「あら、聞き捨てならない発言ですね」
「「 マリア様 」」
その名前を聞いて周囲がどよめいた。
透き通るような白い髪、萌えるような赤い瞳、
アタシとは別次元の気品あふれる少女が教室に入ってきた。
そして、生徒会のメンバーを見渡した。
すると、全員が金縛りにあったように動かなくなった。
(何かのスキルかしら。すごい魔力で身体と思考を縛りつけているわね。)
「あら?」
アタシがスキルを鑑識したことに気がついたようで、
こちらを見て、驚いた表情をした。
「ぐっ、このままで済むと思うなよ」
「そうだ!帝国軍が仕返しをしてやる」
金縛りで動けない生徒会の学生たちが悪態をついた。
マリアは余裕の表情を浮かべている。
「それはこちらのセリフです。
さきほどの言葉を伺う限りですが、
帝国は、我がルーンに宣戦布告をされたということで宜しいかしら? 」
「いや、それは・・・・」
「たかが、地球星系に派遣された士官の子供が宣戦布告するのです。
あなたの本国では大変なことになるでしょうね? 」
「うっ、」
「どうです?今ここで始めてもよろしくてよ。
アタシに勝てたら、ルーンの聖遺物が手に入るかもしれませんよ」
マリアが畳みこむように言葉を続けていく。
この少女はアカネ同様にかなりのドSだ。
「いや、これは私の失言だ。どうか取り消させてほしい」
帝国の虎の威を借る生徒会も、このように言われては何もできない。
全員が降参の合図をした。
「ちょっと待ったーーー! 」
「なに、サーヤちゃん、やめなさいよ。相手は帝国とルーンの王女様よ」
「だって、王女様に勝てば聖遺物が手に入るんでしょ?
アタシ、絶対に欲しい。あれは高く売れるのよ」
慌ててマリ兄が間に割って入る。
「あっ、これはマリア様。この子は妹の友達でして、
妹が傷つけられているから取り乱しているのだと思います」
「あら可愛らしい子、サーヤちゃんっていうお名前なのね」
「王女様、アタシに聖遺物をください。今から勝負をお願いします」
「いえ、あら、わたくしも失言でしたわ。おほほほ」
マリアは苦し紛れにそう言うと、クルリと背を向けて出口に歩き始めた。
「それじゃ、この件は風紀員会でお預かりすることで宜しくてね」
「は、はぁ」
生徒会のメンバーは金縛りのまま、精気なく頭を下げた。
あまりのあっけない幕切れだ。
アタシも含めて周りの誰もが「・・・・。」となった。
おほほほほ、と言いながら部屋を出ていった
たった一人の王女様を除いて。。。
( ご、ごまかされた )
マリアは、部屋を出るとすぐに振り返り、
周りに侍っている供の学生に小さくささやいた。
「あのサーヤって子、身辺を調査してちょうだい。
わたくし、あの子から味わったことがない [とてつもない魔力] を感じたわ」
ーーーーーーーーーーーーーー
「さぁ、今日も始めますよ」
「はい、アカネ先生! 」
「継続は力です。行きますよ」
「「 バリバリだぜ、ロックンロール696! 」」
「バリバリだぜ、ロックンロール」
「はい、よろしい。では次です。
(エロワード王がプレアデスを併合した年)814年」
「「 顔はヤバいよ814、ボディーにしな 」」
「顔はヤバいよ、ボディーにしな」
こうしてアタシの1日は今日も過ぎていくのだった。
ーーーーーーーーーーーーーー
<目指せC組!総合成績Cまであと半年>
サーヤ成績表(F組)
魔力:D
魔法技術:S
体術:E
学力:D(歴史年号が驚異的UP)
ギルド戦闘指数:150
総合成績 :D -
アカネ成績表(C組)
魔力:B
魔法技術:A
体術:A
学力:S
ギルド戦闘指数:310
総合成績:A
ご一読いただきありがとうございました!
【読者様へのお願い】
「面白い!」「続きを読みたい」と思われましたら、作者フォローとブックマーク、広告の下にある「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にして応援して下さると嬉しいです。
皆様の応援が作品継続の原動力になります!
よろしくお願いします! (#^.^#)




