18.赤ペン先生はどこへ行った? 熱血・アカネ先生の猛特訓
「おはよう、サーヤ。昨日のテストは、残念だったわね」
学校の正門をくぐったところで、
豪華な送迎ホバーから降りてきた伊集院マリが話しかけてきた。
マリは、今日も長い黒髪に前髪ぱっつんのお嬢様ヘアだ。
歩くたびに、その黒髪がサラリと揺れる。
この子は絶対に将来美人になる顔だ。
「おはよう、マリ。昨日の試験は全滅だわ。
アタシ勉強が本当にダメなのよね」
「頑張りなさい!
私、次の入替テストには出るつもりよ。
あなたは私のライバルなんだからついてきなさいよね」
「アタシ、バカだから無理よ。
マイペースで、ゆっくり上を目指していくわ」
「サーヤ様ならすぐに追いつけます! 」
アタシの後ろを歩いているアカネから
無責任に力強い言葉が投げかけられた。
( なに?アカネさん。その過剰な自信は。
もしかして、何か変なことを考えていない? )
アタシが感じた悪い予感は、その夜、見事に的中した。
(ドS)アカネ先生による『地獄の猛特訓』が始まったのだ。
「いいですか、サーヤ様!
歴史は年号暗記が勝負です。
しっかりと、私についてきてくださいね」
「はい。アカネ先生! 」
「よろしい!
では、簡単に年号を覚えるため、
語呂合わせで歴史を暗記しましょう」
「いいね、そういうのアタシ大好き! 」
( もっと、ガリガリした勉強だと思ってたけど、
アカネの授業はアタシに合ってるかもしれないわ )
「私に続いて復唱してください。
最初は(帝国首都がアメリアに移った年)696年」
「「 バリバリだぜ、ロックンロール! 」」
「バリバリだぜ、ロックンロール」
(なんだこりゃ! )
「声が小さいですね。大きな声を出さなくては
暗記は進みません。いいですか? 」
『なんだかおかしい』とアタシは思ったけど、
帝国の英知・マザーシステムが言うのだから間違いないはずだ。
「バリバリだぜ、ロックンロール」
「はい、よろしい。では次です。
(エロワード王がプレアデスを併合した年)814年」
「「 顔はヤバいよ、ボディーにしな 」」
( 絶対に変だ、変だけど、自信満々のアカネには言えない )
「顔はヤバいよ、ボディーにしな」
「よろしいでしょう。調子が出てきましたね。
次に、(帝国随一の賢王・シモン王が即位された年)1021年」
「帝国軍、いつかドツいたるぜ! 」
( いや、絶対にコレおかしいだろ? )
「あ、あのー、アカネ先生。これ段々過激になっているんですが」
「あら、そうでしょうか?おかしいですね。
これは歴史が得意というさるお方から伝授されたのですが‥‥」
「でも『いきなり帝国軍どついたる』は、教室で声に出せないわ」
「大丈夫、心の中で暗唱すればいいのです。次に行きますよ。
途中で諦めたら、そこで試合終了です」
「それも何だか変なセリフだけど頑張るわ! 」
「よろしい!
サウザー王の時代(第三次キャメル大戦役で大勝利した年)2108年」
「「 帝国軍いつかはブッ飛ばす! 」」
(ここまで来ると変でしょ?帝国が大勝利したのに『ブッ飛ばす』って)
「やっぱり年号暗記は頑張って自力で覚える。
何だかこのまま続けるとアタシの精神が崩壊しそうよ」
「逃げちゃダメ、
逃げちゃダメだ、あなたは死なない。私が守るから(棒読)」
「ちょっと、さっきからアカネのセリフも変じゃない? 」
アタシは、アカネが調子悪そうなので、
彼女の方に近づいていくと、彼女は小さな紙をポケットに隠した。
「アカネ、いま何か隠したでしょ?見えたわよ」
「こっ、これは‥‥」
アタシは強引にアカネから小さな紙を奪い取った。
そこには小さな字で、ギッシリと文字が書かれている。
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【「二代目が勉強から逃げないため」の虎の巻】
明日のために、その1
・年号は常にヤンキーが好む言葉を用いるべし。
明日のために、その2
・地球の「マンガ」に出て来るセリフを多用する。
明日のために、その3
・エサでつる。特にケーキがチート級の威力を発揮する。
明日のために、その4
・最後は現金をみせる。効果てきめん。間違いないぜ。
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「どうも『おかしい?』と思ったのよ。
ここに書いてある口調は おそらくエリカね」
ちょっと待てよ、何か変だ。エリカが勉強のヒントだなんて。
歴史‥‥、そうか!
「これはエリカとキャリーの共犯に違いない!
アカネくん、ネタはもう割れているだよ! 」
(名探偵・アタシ)に容疑者・アカネは、両手を上げて降参した。
「私がサーヤ様の学力アップについて相談したら、
エリカ様とキャリー様が快く引き受けてくださったのです」
「キャリーはともかくエリカが勉強できるって本当に思ったの? 」
「あっ、それは‥‥」
「まさか、『アタシの秘密を教える』とか言われて買収されたんでしょ? 」
「違います。そんなことはしません。
[ サーヤ様グッズ ] をいただけるだけです」
( やっぱり!はい、自白終了 )
ここ最近、エリカとキャリーを見ないと思ったら、
アカネとつるんで、こんなことをしていたのか。
今度見つけたら、2人にはお仕置きが必要だ。
「と、いうことでサーヤ様!続きの語呂合わせ、いきますよ! 」
「え、まだ続くの? 」
「当然です、全部覚えるまでは寝かすわけにいきません」
こうして深夜の猛特訓は明け方まで続くのだった。
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<目指せC組!総合成績Cまであと半年>
サーヤ成績表(F組)
魔力:D
魔法技術:S
体術:D- (寝不足でDOWN)
学力:E+ (推理力がUPした)
ギルド戦闘指数:150
総合成績E+:
アカネ成績表(C組)
魔力:B
魔法技術:A
体術:A
学力:S
ギルド戦闘指数:310
総合成績:A
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