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17. えーーー! アタシがやるのぉーーっ?

「……ヤ…ま。サ…ヤ…‥‥さま、、、サーヤ様」



「ん、アカネ、どうしたの?

ずいぶん早いわね。まだ起きる時間じゃないわよ」


 早朝5時。まだ部屋の外は薄暗い。

私が目を覚ますと、ベッドのわきにアカネが立っている。


「ついに学園のマザーシステムにアクセス成功しました」


「アカネ、昨日も寝なかったの? 」


 アカネは制服姿のままだ。

おそらく彼女は、帰宅してずっと学園のシステムに

アタックし続けていたのだろう。


「私はシステムですので、睡眠を取らなくても大丈夫です」


「でも、少しくらい寝なさい。

あと、女の子なんだからシャワーも浴びなさい」


 システムだけど、アカネはうら若き乙女なのだ。

しかも美人でスタイルも良いからファンも多い。

そんな子が髪の毛ボサボサでは、彼らの夢が壊れてしまう。


「ありがとうございます。では、そうさせていただきます。

しかし、重要なことが分かりましたので手短に報告だけさせてください」


「分かったわよ」


「サトル・イワサキの行方が分かりました」


 彼に関する情報なら早朝でも聞く価値があるわね。

アタシはベッドから起き上がると、アカネが入れてくれた

オレンジティーに口をつけた。



「例のマッドサイエンティストね。今は学園にいるの? 」


「いいえ、サトル・イワサキは確かにこの地に来ていましたが、

今から500年前のことです」


「アタシ達とずいぶん時間が離れちゃったわね」


「彼らは [時間結晶] を持っていませんので、

1000年ごとに [3次元] へ通じている正規ルートを通るしかないのです」


 そういえばそうだった。アタシ達はアカネ先生のお陰で、

自由に時間を飛び回れるが、普通は固定ルートを通らざるを得ない。



「博士は地球に潜入、1件の貴族の邸宅を購入しました。

それが、今の魔法科学園の図書館にあたります」


「帝国が地球を征服し、学園ができたのが400年前だから、

その100年前にカギを隠したってことね」


「そのようです。その後、彼は地球に住み続け、

彼の子孫が代々カギを守り続けているようです」


 イワサキ博士は、何で地球なんてド田舎に住み着いたんだろう?

しかも、ウルティマウェポンのカギまで持ち出して‥‥。



「じゃあ、カギを守っている子孫は学園にいるのかしら? 」


「性別と名前は不明ですが、1年S組に在学中です」


「S組?学校はA組までじゃないの? 」


「いいえ、S組はA級の上位クラスです。

卒業後は、全員が軍の精鋭部隊に入りますので、軍本部がある庁舎に教室があるのです」


「それならアカネがS組に入って子孫に接触すればいいわね」

「いいえ、それが…S組は魔法科にしかないんです」


「じゃ、アタシがS組に入って、近づけってこと? 」

「そうなります」



「無理無理無理!絶対ムリ。

アタシは最下位のF組の、しかもドンケツ補修組なのよ」


「大丈夫です!私がついています! 」


「アタシじゃなくてキャリーの方が適任よ。

あの子を呼びましょう」


「キャリー様には、あの方しかできない使命があります」


「どうしても、勉強しなくちゃダメ? 」


「それではウルティマウェポンが‥‥帝国の他の誰かに‥‥。

『マンガ』も奪われてしまうかもしれませんね」


「うっ」


( 最近のアカネはアタシの急所を確実についてくる。

きっとアカネの胸には北斗七星のアザでもあるに違いないわ )



「わかったわよ。やればいいんでしょ、やれば!

その代わりうまくいかなくても知らないわよ」


「はい、万が一にでも大丈夫です」

「で、S組に入るにはどうすれば良いのよ? 」


「2か月間に1度行われる入替テストに合格すれば、

1つ上のクラスに編入できます。

最終的にA組まで上がって、S組にチャレンジすれば良いのです」



「いやよ!絶対に。

それじゃ、F組のアタシがS組に行くまでに1年もかかるじゃない。

そんなに勉強したら死んじゃう」


「では、あまりお勧めできませんが、

1つだけ3か月間でS組に編入する方法があります」


「1年よりましね。どうすれば良いの? 」


「半年後の学園祭でおこなわれる学力コンテストで優勝すればよいのです。

ただし、この方法は目立ちますので、いささか危険かと思います」


「帝国軍にバレなきゃいいんでしょ?

こんな田舎の星系に帝国の回し者はいないでしょ」


「帝国の駐留軍は天の川銀河に1万人以上います。

確かにここは銀河の片田舎なのでいないとは思いますが、

注意するに越したことはありません」



「アカネは心配性ね。それじゃ学園祭の前に勉強すればいいわね」


「いいえ、コンテストの参加資格は、S組からC組までの生徒に限られます。

したがって、その前までにC組にあがらなければなりません」


「結局、勉強しなくちゃいけないのね」


「御意。まずは金曜日の小テストからです。

そこでクラス内の順位をあげていただきます」


「わかったわよ」

「では、さっそくこちらを! 」


「何よこれ? 」


「これは、この星で古来から伝わる『はちまき』と呼ばれるもモノです

頭に巻くと集中力が高められ、暗記効率が200%に向上します」


「普通の布に見えるけど・・・・」


「『はちまき』には、いつでも勉強をしたくなる

モチベーションコントロール機能を織り込みました」


「勉強をしなくても暗記できるパンとかないの? 」


「ありません。

それから、これはいつも肌身離さずに持っていてください」


 アカネはポケットの中から小さな細長い紙を

輪っかで止めたものを出した。



「何よ?それ? 」


「これは呪文帳と呼ばれるものです。

魔法の呪文と効果が紙の表と裏に書かれています。

呪文はこれで覚えてください」


「詠唱なんてなくても、スキルは発動できるわ」


「それではダメなのです。

この時代の人間は詠唱なしにスキルは出せません。

つまり、詠唱こそが大事なのです」


「えーーー、めんどくさい」


「『郷に入っては郷に従え』です。

まずは週末の小テストで90点を目指してください。

詠唱が中心のテストですから、詠唱帳を繰り返してください」


「りょーーかい」


 ―――ということで、一攫千金の魅力に負けたアタシは、

無謀にもS組を目指すことになったのである。


ーーーーーーーーーーーーーー

<目指せC組!総合成績Cまであと半年>


サーヤ成績表(F組)

魔力:D

魔法技術:S

体術:D

学力:F

ギルド戦闘指数:150

総合成績E:


アカネ成績表(C組)

魔力:B

魔法技術:A

体術:A

学力:S

ギルド戦闘指数:310

総合成績:A

「なんだ?この作品はバトルありの”ざまあ”海賊戦記じゃないのか?」

という紳士淑女のみなさま。


バトルまではもうちょっとお時間が必要です。

「うらみつらみ」が気持ちよく純正培養されて、ドカーンといきます。

それまで、もうちょっとサーヤのお勉強にお付き合いくださいませ。


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