16.アタシの学園生活・明日はどっちだ?
「今日は、編入生を紹介します。
みんな、入ってきて! 」
2学期の始業式。
ここ、魔法科学園も長い夏休み気分が抜けず、
どこか浮ついた空気が漂っている。
教室は試験の時と同じ100人の生徒を収容できる部屋だ。
アタシ達5人の編入生は、教壇に一列に並ばされた。
教壇は少し高くなっているので後ろの席からも良く見える。
アタシは首席で入学した伊集院マリの後に続いた。
ちなみに編入生は、どんなに成績が良くてもF組からのスタートだ。
さっそく落ちこぼれクラスに舞い降りた超エリートのマリに、
クラス全員の注目が集まった。
「あの子が史上最年少の将軍の娘か」
「まだ13歳なんでしょ?サラブレッドは違うわね」
「仲良くなれば、将来得するかな」
いろんな声がアタシにも聞こえてくる。
マリにも聞こえているはずだが、彼女は全く意に介さず、
アタシしか見ていない。
「私のお父様も13歳でこの学校に入ったの。
お父様は、卒業までぶっちぎりの主席だったけど、
私にはライバルがいるわ、それはあなたよ。
こんな雑魚達に構わず、お互いに切磋琢磨しましょ」
「アタシは授業についていくので精一杯なのに
あんたのライバルなんてありえないわよ」
実際、アタシは生まれた時から [4次元] の海賊船にいたから、
学校に通ったことがない。
教室で授業を受けるのすら初めてなので、謙遜ではなく、
本当に自信がないのだ。
「それでは編入生は1人ずつ、挨拶をしてください」
「はい」
「まずは伊集院さんからね」
「はい。私は伊集院マリと言います。
ここ魔法科高校では、自分が知らない多くの魔法技術を学んで、
国のために貢献できる大人になりたいと思います」
「「「 おおおおお 」」」
さすが編入試験トップの秀才だ。
スラスラと挨拶を終えてしまった。
「次はレオ・サンダースくん‥‥ 」
次々と呼ばれた生徒たちが挨拶を済ませていく。
4人が挨拶を終え、最後はアタシの番だ。
「最後は、サーヤ・シェンカーさん」
「はい」
アタシは元気に手を挙げて皆の前に立った。
「かわいいー」
「お人形さんみたい! 」
アタシは教壇に立っても、背が小さいからなかなか見えない。
そのせいか、後方では席から立ちあがって見てる生徒が多い。
かわいい小動物を見るような女子生徒たちの視線を感じる。
一方・・・・。
「ちぇ、まだガキじゃんか」
「ここは幼稚園じゃねーんだよ」
男子生徒たちの印象は悪そうだ。
ま、アタシもガキには興味がないから、いいけどね。
アタシの興味は、お金よ。マネーなの。
「アタシはこの学校で沢山魔法を学び、
立派な商人になって、お金持ちになりたいです」
「あははは」
「なんだこいつ、ちびっ子のくせに金の亡者かよ」
さっきまでアタシをバカにしていた男子学生がウケている。
そうそう低能なガキは笑いに弱いのよね。
「それでは編入性の挨拶が終わったので、
皆さんがしっかりと夏休みも勉強していたか、
簡単なテストをおこないます」
「「「 えええええ! 」」」」
教室中から悲鳴があがった。
「編入生の人たちも腕試しのつもりでチャレンジしてください」
「お父様から聞いたことかあるわ。
テストで下から10位になると、1か月間の補修になるらしいわよ」
( き、聞いてない。そんなのアカネから聞いてない )
「どうしたの?サーヤ。
顔色悪いけど。先生よぼうか? 」
「ううん、大丈夫」
(( ヤバいヤバいヤバい! ))
補習組になったら、スイーツに行けないし、
楽しみにしてた、この時代のゲーセンにも行けない。
編入試験の時のような実技なら何とでもできる。
学科試験だと、絶対に無理だ。
( お願い!実技試験って言ってー! )
「では、これからテストデータを皆さんに送ります。
できたら、先生に送り返してくださいね」
( 終わったー!終わりました。
さようなら、ゲーセン
さようなら、スイーツ、
アタシの有意義な放課後タイム。。。 )
アタシが絶望の淵で、ふさぎ込んでいると、
次々と試験を提出して、生徒たちが部屋を出ていく。
「サーヤさん、先に行くわね」
はぁーー、マリも出ていった。
同じ編入生の双子の兄弟も、グリグリメガネの女の子も
試験が良くできたのか、うれしそうに部屋を出ていった。
「シェンカーさん、緊張しないでね。
ゆっくり考えて、提出してください」
あと残り1人となったアタシに気を使って、
先生が優しく声をかけてくれた。
( 歴ヲタのキャリーじゃあるまいし、
3,000年も前の教科なんて分かるはずがない )
ゆっくり考えても出てくるのは冷や汗だけだ。
空しく終礼の鐘がなった。
結局、提出すらできなかったアタシ。。。つまり0点。
「あなたは学園の創立以来、400年の歴史で
初めて実技で満点を取った生徒です。どうか自信を持ってね」
「すみません…バカで… 」
「明日から、補習頑張りましょう」
こうして、[4次元] 引きこもりだったアタシの
生まれて初めての学園生活が始まったのである。
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