15.編入試験 ~2次試験は「接待試験」?~
「19番の伊集院さん、団体戦の準備をして会場に来てください」
「はーい! 」
伊集院は元気よく返事をして、
アタシに「早く、こっちへ来て」と手招きをした。
「おい、ちびっ子コンビが出て来たぞ! 」
「かわいいー 」
「次は閣下のお子様だ」
「お嬢様は父親を凌ぐ天才だからお前らも見とけよ」
試験会場の周りには、生徒と大人でいっぱいになった。
その中にアカネもいる。
「何を目立ってるのですか!」とあきれた目だ。
( 大丈夫よ、アカネ!
アタシは立ってるだけ。これ以上は目立たないから )
相手の教師が出てきた。
屈強な体をした5人の男性だ。
アタシは立ってるだけ良いはずなので関係ない。
なるべく教師から離れて陣取った。
「「 はじめ! 」」
( さぁ、あの子のお手並みを拝見よ )
少し離れたところから、アタシは彼女の戦いを見ていた。
が、しかし、、、
敵の5人が一斉にアタシを襲ってきた。
後から知ったのだが、試験官の5人は
伊集院の父親が統括する軍のレンジャー部隊らしい。
彼らは全員でアタシを倒し、力を見せつけたところで、
伊集院に敗れる、という作戦だった。
そうすることで、彼女の力はアタシを凌ぐ、
つまり、今回のNo1になるわけだ。
そのため試験官たちは初手から本気で攻めてきた。
「子供相手にえげつないですね」
「お嬢ちゃん、ごめんね。
これもマリ様のためなんだ。痛くしないからね」
うそだ!
さっきから直撃すると骨折では済まない攻撃ばかりだ!
どうやら、この試験官たちは
アタシを殺してでも上司の機嫌を取りたいらしい。
( ほんと、ムカつく! )
けど、キレて奴らをボコったら目立ってしまう。
そうなると本気でアカネが怒るだろう。
ここは大人の余裕で、逃げ回るしかない。
5人の試験官は軍という名の、殺しのプロだ。
巧みに連携しながら、徐々に攻撃のペースを上げてきた。
しかし、アタシはギリギリでかわし続ける。
なかなかアタシに攻撃が届かないものだから、
遂に1人がサバイバルナイフを出した。
これは強化魔法をナイフに与え、触れるものすべてを砕く
殺傷能力Sランクの武器だ。
ほかの4人も武器を出して攻めてきた。
「おい、子供相手にやりすぎだろ! 」
「それでも軍隊か?恥を知れ! 」
なりふりかまわない試験官・教師たちに
受験生の間から怒号が飛び始めた。
「子供1人で大人5人の相手なんて絶対に無理。
マリ、何とかしてよ」
( じゅうぶん、時間を稼いだわよ。あとはうまくやってね )
アタシは伊集院を見た。既に呪文を唱えている。
( そろそろ魔法が発動するわね )
アタシはイタズラを思いついた。
少しムカついたから
伊集院の魔法攻撃のダメージに見せかけて
こいつらに1発ずつ入れちゃおうかしら。。。
アタシの表情が変ったのを感知して、
アカネが「やめてください」という顔をしている。
( 大丈夫よ、上手に決めるからね )
アタシはアカネにウインクした。
やがて、伊集院の杖が振られる。
今回も氷と炎の融合魔法だ。
2つの魔法が竜巻を生成し、5人を巻き込んでいった。
炎と氷が去ったあとには、5人の大人たちの屍が。。。。
って、死んではいないがピクリとも動かなかった。
誰も気が付かないが、アーマーに包まれた5人の身体に、
アタシの「ぐー」マークが綺麗に残っている。
「「「 おーーー! 」」」
「「「 さすがお嬢様! 」」」
歓声の中、伊集院が優雅に握手を求めてきた。
アタシはストレス発散できたから満足だ。
満面の笑みで握手に応じた。
( 顔じゃなくて、やっぱりボディね )
‥‥編入試験日の夜。
アカネはため息をつきながら、正座するアタシを直視した。
「サーヤ様。私は見逃しませんでしたよ。
最後に伊集院マリの魔法が届く前、何をしましたか? 」
「いえ、何もしてません」
<< ドン >>
アカネがお茶を飲んでいた湯呑がちゃぶ台に置かれた。
「もう一度、お答えください。
わたくしには、よくお声が聞こえませんでした」
「あの、、、」
<< ドン >>
再びアカネがお茶を飲んでいた湯呑がちゃぶ台に置かれた。
「ごめんなさい。ついイタズラをしてしまいました」
アタシは深々と土下座する。
こうして、辛い長い夜は過ぎていった。
2日後、
アタシは遂に魔法科学園の制服に袖を通すことになる。
ご一読いただきありがとうございました!
レンジャー5人を相手にした「接待試合」は、
サーヤの隠れた「ぐーパン」とマリの魔法によって幕を閉じました。
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