14.編入試験 ~「キャンディ姫」の憂鬱~
やってしまった‥‥。
このままでは、家に帰ってアカネに叱られる。
あれだけ「目立つな」と言われたのに、
こともあろうが、杖を忘れてキャンディの棒を使って
教師を倒してしまったのだ。
唯一の救いは『キャンディ姫の杖』の話が先に広がり
アタシの魔力量に誰も気が付いていないことだ。
しかし――――――数分後。
事態は悪化する。
「なんだったのだ、あの魔力量は!」
「教師を一撃で倒した魔法は何だったのだ?」
「あのキャンディは軍の秘密兵器か?」
たまたま試験会場にいた大学教授たちが、
アタシの攻撃に異質性を感じて議論を始めたのだ。
少しして、
偉そうなお爺ちゃんが、アタシに近づいてきた。
「お嬢ちゃん、珍しい魔法を使ってたね。
魔法は、どの学校で勉強したんじゃ?」
(どうしよ。。。何を答えてもヤバそうだ。)
「アタシのチップ、安物だから暴走しのかも‥‥。
えへへ、ごめんなさい。」
「うむ。威力が大きかったのは暴走じゃろうな。
ただ、あの魔法には二属性が含まれておったように見えたが‥‥。」
(おカネくれたら教えてあげるわよ!
それにしても、この爺さんしつこいわねー!)
何を言っても聞き返してくる教授に
アタシがイライラし始めたところへ救世主が現れた。
「それは、この子が祖父から学んだ魔法かと思います!
この子の祖父は、帝国軍で魔法を学び活躍した者なのです。
ねぇ、サーヤちゃん。」
いつの間にかアタシの席にアカネが来ていた。
アタシと教授の間に割って入り、完璧な弁明を繰り広げた。
「ええ、そうなんです。
あれはおじい様直伝の二重魔法なのです。」
「そうか、それなら納得じゃ。
あの魔法は帝国の英知が込められた技だったんじゃな。
その才能は、いずれ地球の、いや帝国の宝になるじゃろう。
くれぐれも精進するように。」
「ありがとーございまーす(棒読み)。」
助かった‥‥!
アカネは怒らせると怖いが、本当に頼れる存在だ。
いや、助かっていない‥‥。
アカネの目は笑っていない。
「ちょっと、アナタ!
ただ者じゃないと思ってたけど、帝国の関係者だったのね。
ますます、私のライバルとして認めざるを得ないわ。」
いつの間にか、マリが教授の脇をすり抜けて、
アタシの至近距離に駆け込んできた。
「確かにこの子の才能は、伊集院家にも引けを取らんのう。
ふぉーっふぉっふぉ。」
(じいさん、余計なことは言わなくていいから、
さっさと帰ってよ!)
「そんなことはありませんわー。
この子は少し天狗になっているので学園で
『上には上がある』ことを教えていただきたいです。」
(アカネ、何に対抗しているの?
アンタも早く自分の試験場に戻りなさいよ!)
「ふぉーっふぉっふぉ。」
「おーほほほほほ」
なるべく、この爺さんとアカネから離れたい。
アタシはマリの手を握り、そっと遠くの席に移動した。
「大人たちは面倒ったらありゃしない。」
「私も家の名前を出されるの大嫌い!
だから気持ちは分かるわ。
ところで、午後の試験のパートナーは決まっているの?」
さっきまでいた席で、まだアカネと教授がやりあっている。
その向こうでは、最後の受験生の試験が始まっていた。
「パートナー?なにそれ?」
「次の実技試験は2人1組の団体戦なのよ。
どう?私と組まない?」
「あー、そうだったわね。
でも、アタシ達は2人とも遠隔魔法だから、
前衛と後衛にならないんじゃないかしら?」
「大丈夫。シェンカーちゃんは、立っているだけでいいわ。
既にあなたは合格しているのだから。」
「ええ?そうなの?」
「私がシェンカーちゃんの分も全部倒してあげる。
だからもう合格したも同然よ。」
この子は最初から1人で団体戦をやるつもりだ。
前衛後衛なんて関係ないらしい。
さっきも思ったが、よほどの自信家だ。
「本当なら嬉しい!(楽できるしねー)」
「じゃあ、決まりね。私のことはマリって呼んでね。」
「アタシはサーヤでいいわよ。」
「分かったサーヤ。試験は午後からだから、またあとでね。」
そういい終わると、伊集院は自分の席に戻っていった。
「ちぇ、あの子に先を越されたか!」
「何よ、私だって、シェンカーさんと組みたかったのに!」
後ろから愚痴っぽい声が聞こえてきた。
さっきの試験を見て、アタシと組めば、
二次試験が有利に進むと考えていた生徒が多かったようだ。
しかし、あっという間に、アタシが予約された。
相手は軍の大幹部の娘なので、誰も文句が言えないようだ。
いろんな噂が後ろから聞こえてきた。
アタシは聞こえないふりをして、
アカネが作ってくれたサンドイッチを頬張った。
ご一読いただきありがとうございました!
ついに始まったサーヤの編入試験。
果たして、アカネとの約束「2位合格」の行方は……?
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