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2話〜回帰〜

「はっ!」


アリシアは悪夢を見た時のように浅く呼吸をしながら目が覚めた


見慣れた天蓋のベッド、優美な家具が並ぶ部屋。

視界に広がる全てが、彼女にとって懐かしく見えた


“戻ってきたってことは、今何歳?”


彼女は、ベッドから降りた

降りた時点で、ベッドから床までの距離が遠いのを感じて想像より小さいかもとは思った


改めて、姿見に映った自身の姿を見て少し驚く


「これは…10歳くらい?いや、多分10歳」


姿見に映る自分の姿がかなり小さかった。まぎれもなく、幼少期の彼女の姿だった


ふと視線を横にずらすと隣のミニテーブルに置いてある新聞が目に入った。


新聞には西暦と日付が記されている。

その西暦は7年前のものだった


“戻りすぎじゃない…?”


一瞬絶句するが、死ぬよりはいいかと気分を改めた


外を見ると、まだ薄暗いため明け方なのだろう。


今の間に知っていることを整理しようと、彼女は机の引き出しの中に鍵付きの日記があることを思い出し、引き出しを開け日記を取り出す


“えっと、まずはこの世界の事”


「ここはゲームの世界ってことは、大体の情報はゲームと同じはず」


日記に1つずつ分かっていることを記していく


この世界は4つの帝国でできている


東のアスーフィア帝国


南のオネカージア帝国


西のサスデーン帝国


北のダオール帝国


“私が住んでいる、つまりゲームの舞台はここアスーフィア帝国”


アスーフィア帝国は豊かな鉱山と肥沃な土地を持ち、農業が盛んな国だ

皇帝夫妻は民からの信頼も厚く、国際関係も良好

言ってしまえば“理想的な国”


“で、私の家ハーシェル公爵家”


アスーフィア帝国唯一の公爵家であり、アスーフィア帝国にある鉱山の3分の1を所有する富豪の一人娘


“しかも、超美少女”


淡い水色がかった白銀髪の緩くウェーブがかった美しいロングヘアに紫色の澄んだ瞳、凛とした美しい顔立ち


“正直、めちゃくちゃタイプの顔”


彼女は前世で、“アリシア推し“だったオタクのため、嬉しい事この上ない


金も美貌も教養も全て兼ね備えた完璧な美少女だ


“で、問題は…”


自分を殺した張本人である、皇太子エイベル・エル・ド・アスーフィア


そして、ゲーム内での悪女エブリン・リュール伯爵令嬢


“ゲームと変わってなさそう、悪女の性悪は”


死ぬ前に見たあのニヤリとした思い出しただけでも腹が立つ笑み、性格は1つも変わっていないことがよく分かった


「ゲームでも、かなりむかつく性格だったな…」


プレイ中、何度悪女に対して怒りがわいたことか


思い出しただけでも腹の中から怒りが湧き出そうだった


エブリンはアリシアほどではないにしろ、可愛らしい顔をしている。

どちらかというと、エブリンの方が男に好かれやすい顔ではあるだろう


麻色の柔らかそうな髪に、麻色の瞳

大きな垂れ目に少し丸顔の可愛らしい顔立ち


“典型的な男に好かれやすい顔”


逆に、少し釣り目で小顔のきつめの顔をしている“アリシア”の顔はどちらかというとモテる顔ではなく“高嶺の花”として遠巻きにあこがれの視線を向けられるタイプだ


「私は好きだけどね」


元々釣り目美人が好きとしては全く問題がなかった

むしろ感謝しているくらいだ

生んでくれた父である公爵と母である公爵夫人


そして、ゲームのキャラデザをかいた人に


“ありがとう、会えたら崇めちゃうかも”


届かないとわかっていながら彼女は、窓の方へ手を合わせる


ゲームのキャラデザを描いた人に向けて


“話が逸れちゃった”


再び日記帳に目線を落とした


「あとは皇太子…じゃない、今はまだ第1皇子か」


「婚約は絶対回避しないと」


あんな馬鹿皇子と二度も婚約してたまるか

本当に馬鹿なのだ、あの皇子は


魔物の襲撃があるというのに、大砲のみで立ち向かおうとする

大砲だけで立ち向かえるわけがない


挙句の果てに逃げようとする

国民を捨てる皇族がいるか、普通


他にも色々とあったが、彼女にとってエイベルへの認識が‘婚約者’から、‘馬鹿皇太子’へと変わるのに、そこまで時間はかからなかった


その全てを、前の人生では彼女が対処してきたのだ


“もう二度とやりたくない”


最低限、皇太子妃になる者としての業務はこなしてきたが、皇太子の仕事までこちらにやってくるものだから仕事が膨大な量になっていた


しかもその間に、浮気だ。

挙句の果てに馬鹿な女の馬鹿な嘘に騙され婚約者を処刑するという馬鹿だ


“思い出したら、ムカついてきた…”


持っていたペンをグッと握りしめながら、あの二人の怒りを必死に押さえつける


首をブンブンと横に振って、気を取り直しノートに分かっていることをまとめていく


“そうだ、この世界には“神力”があったはず”


【神力】

このゲーム“公爵令嬢の悪女制裁記”に登場する特別な力

この世界の人間は皆、それを持っており当然アリシアも持っている能力だ


そして、その神力を使うのに必要なのが人々が生まれ持つ力の源

【神和力】


神和力は、0歳の時は全員が同じ量を持っているが、18歳までに力の差が生まれてくる

18歳になるまでは神和力は増え続けるが18歳になるとピタリと止まる


増え方は人それぞれ、膨大な量に増える者もいれば、少しづつ少しづつわずかな量しか増えない者もいる


「水星〈マーキュア〉」


手を近くにあった花瓶に翳し、呟く

すると、水差しに入っていた水が目の前に球体のように浮かび上がる


アリシアの能力は【水星〈マーキュア〉】

水をあらゆる液体に変えることのできる能力


「ただ…疲れるのよね」


かなり万能、作ろうと思えば万能薬も不死の妙薬も作れる

ただし、かなりの量の“神和力”を使うことになる


今が10歳だとすれば、まだ少ない神和力のため一度の神力でもかなり疲れてしまう


「最終的には、どれくらい増えてたんだろう…。ゲームではそういう描写はなかったし、前の人生では“祈祷”の前に処刑されたから…」


【祈祷】

18歳になり神和力の成長を終えた者たちが一同に神殿に集まり、その神和力を神の前で測るというものだ



処刑されたのが17の時だったから、祈祷をする前に死んだため最終的な量が分からない


あの、馬鹿皇太子め


「あとは…“人神”の事かな」


【人神】

18歳になり祈祷をし、資格があると判断された者には神から啓示を受ける

啓示の内容は神としての名、そして新しく進化した神力


人神を造ったのはこの世界を作り上げた始まりの神・全ての神・創造神“ぺアウル”

祈祷の相手も勿論そのぺアウルだ


「確かゲーム内でもこんな神話があったっけ?」


ゲーム内の始まりのストーリーの1部にあった【ぺアウル神話】


ペアウルによって創造されし、人と魔物が暮らす世界。


人が発展させた4大帝国による争いが激化すると、ぺアウルは心を痛め、自身の力を分け与えて清らかな心の持ち主に「神」の位(人神)を与えた。


これにより、人々は人神を崇拝し、世界は平和へと導かれた。


これが、【ぺアウル神話】の全容


「今があの日の10年前なら…今この国にいる人神は2人か」


指折り数えると、まだまだ数は少ないのだと思った


死ぬ前にはアスーフィア帝国にいる人神は4人になっていた


今はその半分


「確か、一人は皇后陛下だったはず。あとは・・・」


「アリシア~?」


部屋の扉が開き、金髪の美しい女性が入ってきた


慌てて、ノートとペンを布団の中に隠しバクバクとなる心臓を押さえながら、笑顔を取り繕った


そして入ってきた女性を見て、彼女は少し泣きそうになりつつも頬がにやけそうになった


前世の記憶があるとはいえ、生みの親であり、今世の母親なのだ


前の人生からずっと愛してくれた母親


「あら、もう起きてたのね」


“そして、もう一人の人神”


「おはようございます」


「お母さま」


アリシアの母、ハーシェル公爵夫人である


ベイリー・ハーシェル


“一瞬崇めそうになっちゃった”


オタク心が少し揺らいだが、これもオタクならではなのだろうか

一瞬で顔を元に戻した


“それに…”


ベイリーから感じる普通の人間とは明らかに違う雰囲気


前の人生でも感じたことのある、圧倒的なオーラ


“これが…人神”


正義の女神クロユの名を持つ神の一柱

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