【漫才】内見

二人「はい、どうも～」

ツッコミ「いきなりわたくしごとで悪いんだけどさ、最近引っ越しを考えててね」

ボケ「引っ越し？　……あ～、なんだったらあれだよ……うちくる？」

ツッコミ「いかねぇよ。なんでお前と一緒に住まなきゃならねぇんだ」

ボケ「〇〇さん（ツッコミの名前）、ラッキーですよ。僕ね、そういうの超得意なんだから」

ツッコミ「なにが得意なんだよ、意味わかんねぇ。物運ぶのとか？」

ボケ「内見ですよ」

ツッコミ「内見！？　内見が得意ってどういうことだよ、聞いたことねぇぞ」

ボケ「ほんとだって。履歴書とかにもちゃんと書いてるんだからいつも。特技のところに内見って」

ツッコミ「なんのアピールになんだよ、内見って。というかお前がまともに物件紹介できると思えないけどね」

ボケ「もう、ほんと超得意なんだから（語尾を上げて）」

ツッコミ「なんで急に訛ってんだよ。じゃあいいよ、ちょっとやってみせてくれ。俺に部屋紹介してくれよ」

ボケ「いいよ～？　じゃあ僕、紹介する部屋の隣に住んでる人の役やるわ」

ツッコミ「お前が紹介するんだよ。隣の奴なんかどうでもいいわ」

ボケ「どうでもいいわけないでしょ！　間取りなんかよりよっぽど隣の奴がどういう人なのか知っとくほうが大事なんだよ！　内見にわかのくせになに口挟んでんの！」

ツッコミ「わかったわかった、うるせぇなもう。なんだよ内見にわかって、内見にガチ勢とかいんのか。今回はそういうのいいから、部屋の紹介だけしてくんない？」

ボケ「はい、じゃあこちらがですね、今回ご紹介させていただくお部屋の、隣に住んでる渡邉さんです」

ツッコミ「誰だよ！　物件紹介しろっつってんの！」

ボケ「難しい漢字のほうで点が二つあるしんにょうで――」

ツッコミ「漢字の説明はいいっつの！　誰が気にすんだそんなの」

ボケ「下に口書くほうの渡邉さん」

ツッコミ「だから漢字はどうでもいいっつの！　っていうか渡邉がどうでもいいから物件紹介しろっつってんの」

ボケ「はいはい、もう。あっ！　〇〇さん！　ここです！（手を振りながら）」

ツッコミ「もうここにいるし。友達じゃねぇんだから、手ぇ振るなって」

ボケ「みなさーん！　こちらの部屋に住むことになりました〇〇さんでーす！」

ツッコミ「やめろって！　恥ずかしいから！　それにまだ決めてねぇっつーの！」

ボケ「みなさま、〇〇でございます！　〇〇でございます！　〇〇、〇〇でございます！　こちらの部屋に立候補いたしました〇〇でございます！」

ツッコミ「やめろっつーの！　選挙だろそれ。いいから早く部屋を紹介しろよ！」

ボケ「はい、こちらの部屋になります～。ガチャ（扉を開けるジェスチャー）」

ツッコミ「お～、間取りで見るよりも広いね」

ボケ「そうでしょ～？　こちら10畳のトイレとなっております」

ツッコミ「なんでだよ！　なんで玄関開けていきなりトイレだよ！　10畳のトイレとか、スペース無駄すぎだろ。落ち着かないにもほどがあるわ」

ボケ「トイレットペーパー置き放題、おしり拭き放題ですよ？」

ツッコミ「嬉しくねぇよ。なんだおしり拭き放題って。回数制限あったら嫌だわ。別の部屋にしてくれ、別の部屋。バタン（扉を閉めるジェスチャー）」

ボケ「はい、では本日ご紹介させていただく部屋がこちらになります～。ガチャ」

ツッコミ「お～、やっぱり南向きだと明るいね」

ボケ「そうでしょ～？　こちら南向きのトイレとなっております」

ツッコミ「だからトイレはもういいっつーの！　なんなのお前んとこの物件、玄関開けたらいきなりトイレの部屋しかないのか。まともな物件紹介しろっつーの」

ボケ「承りました。ではこちらの部屋になります。ガチャ」

ツッコミ「はいはい」

ボケ「あっ、お客様。こちらのスリッパをお使いください（懐からスリッパを出す）」

ツッコミ「どこから出してんだよ」

ボケ「どうぞ、私の素肌であっためておきましたんで」

ツッコミ「直に温めるな！　気持ちわりぃな、普通に鞄に入れとけよな、ったく」

ボケ「こちらがですね、ロフト付きのワンルームとなっております」

ツッコミ「いや～、ロフト憧れてたんだよ。なんか秘密基地みたいでわくわくするじゃん」

ボケ「いや、最悪ですよ。熱はこもるし上り下りめんどくさいし」

ツッコミ「お前がディスるな！　契約取る気ねぇじゃねぇか。どの口が内見得意なんて言ってんの？　ちょっと、いいからロフト上がらせてくれ」

ボケ「あっはっはっは！　お客さん！　もう上ってますよ」

ツッコミ「ここロフトの上だったの！？　なんでロフトの上に玄関があんだよ、もう2階じゃねぇかそしたら」

ボケ「どうぞ、下りてみてください」

ツッコミ「なんで玄関開けたらロフトなんだよ、めんどくせぇな。（はしご下りるジェスチャー）

ボケ「ではわたくしも失礼して。ウィーン、キンコーン、ウィーン（エレベーターのジェスチャー）」

ツッコミ「ちょっと待て！　なんでエレベーターついてんだよ、だったら最初からそっち使わせろ！」

ボケ「すいません。関係者専用なんで」

ツッコミ「ふざけんな！　なんでそんなもんがついてんだ、おかしいだろ」

ボケ「はい、こちらが10畳の南向きのお部屋となっております～」

ツッコミ「お～、広いね～。あっ、この扉はトイレですかね？　……んっ、あれ？　開かねぇぞ」

ボケ「今、渡邉さんが使用中ですね」

ツッコミ「なんでだよ！　こえぇよ！　なんで勝手に部屋入ってトイレ使ってんの渡邉」

ボケ「トイレを使う際にはですね、私に一言お声掛けのほうお願いいたします」

ツッコミ「なんでお前の許可がいんだよ。んでさ、なんでこの部屋、物で溢れてんの？　ベッドとか置いてあるし。モデルルーム？」

ボケ「ここ私の家ですから」

ツッコミ「お前ん家かよ！　いいかげんにしろ」

二人「どうも、ありがとうございました～」