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第六話 マイ・サン復活

 放課後。

 俺は今、部室(会室?)にいる。

 いつの間にか部屋には、どっからか持ってきたホワイトボードに『歴史研究同好会(仮)』と書かれていた。

 ……わかりやすいように、だろうか?


「なんかホワイトボードって、青春って感じがしますよね」


「そっか。脱げ」


「いやあああ待って待って! 展開が速すぎません!? マク○スピードより速いじゃないですか! 結論を急ぐとろくなことになりませんよ!」


「そうね。結論を急ぐとろくなことがないわね。じゃあ藤見(ふじみ)ちゃんはずっと女の子のままでいいわ」


「すみませーん脱ぎます!」


 そして俺は光の速さで脱衣した。

 シュバァ ズル スポーン!


「………………………………」


「……?」


「うんうん。正直な子は先生好きよ。じゃあ男の子に戻すわね」


「……いや、なんなんですか今の間。めっちゃジロジロ見てきたじゃないですか! ちょ、やめてくださいよ! いくら俺が今パンイチJK状態だからって!」


「うんうんそうよね。パンイチ無防備ロリっ娘ちっぱい美少女JKだからって、人の裸をジロジロ見るのはマナー違反よね」


「左様ですよ! 社会的等価交換の法則に則って、伊巫(いふ)先輩も脱ぐべきですよ!」


「わかった」


「え」


 そう言って、伊巫さんはスカートのファスナーをジー、と降ろし、そのままスルッと脱いだ。


「脱いだ!?」


「なに驚いてんの。いいじゃない、女の子同士なんだから」


「左様でございますかっっかかwjhがあがじゃああはあああわわわs!」


「うっせ」


「はううううう! そ、その柔らかくシャクナゲのような繊手でスカートを丁重に折りつつ畳み、天女の羽衣のような白く薄いシャツへまるで花弁を一枚一枚開かんとボタンを外していき、そのふくよかな丸みを帯びた双丘が母性の象徴としてそびえ立つ背後を回って禁断の金具に今手を掛けるとは──!」


「ちょっと日本語おかしいわよ。てか下着は外さねーし」


「はい! むしろそっちのほうがよかです! 放課後の部室というシュチュエーションでは燃えます! ボクは燃えるゴミです!」


「元気ね……」


「はい! (息子のほうも……って、い、いないのか。ショボン……)」


「まあ今復活させたるから。あ、そういえばちゃんとつけてるのね」


「へ?」


 伊巫さんは唐突に話題を変えた。

 俺の下腹部──正確に言うと、股間のジェントルマン(今はウーマンか?)に視線が集中されている。


「や、ちょーーーー! 見いひんといてくださいよ! ボクの餃子がそんなにも食べたいんですか? そうなんですね!? では、社会的等価交換の法則に則って先輩も……」


「調子のるな」


 サッ。


「ゥビクウ! ……ってあれ? う、打たないんですか?」


 伊巫さんはマジカルステッキ(鞭)を振りかぶったが、おろしてこなかった。


「まさか。女の子に手はあげないわ」


「はあ……」


「どんくらいで換えてんの?」


「(えっまだその話題続くの……?)まあ、朝昼昼晩くらいっすかね……」


「もうちょっとこまめに換えなさいよ。漏らすわよ」


「え、先輩漏らしたことあるんですか?」


「サッ」


「ゥビクウ!」


 だからもう条件反射でこわいんです痛いのイヤなんですやめてください!


「……まあいいわ。じゃあ、そこに立って」


「立ってます」


「……目ェ瞑って」


「……変なことしませんよね?」


「するわ」


「するの!?」


「まあこれは藤見ちゃんがかわいい所為(せい)ってことで」


「え、ちょなんですか、うわ、ちょ、や、やめッ」


 いきなり俺(女)の背後に回り込み、胸をまさぐってきた。


「な、なにを!? 何をするんですか何でするんですか!?  ワット! ホワイ!」


「うんうん。そうだねー」


「なんで返事が乾いてるんですか! つーか聞いてないでしょ!? 会話が成立してないもん!」


「まあまあまあ。ええでないの」


「えええなんでなんで!? ちょっち混乱しすぎてまったくついていけませんよ! 普段なら嬉しいはずなのに!」


「ねえ?」


「ねえって! なんか今俺ものすごーく嫌ですよ! やめてください!」


「まあ女の子だからね。貞操観念とか男の身体の時よりも強いんでしょ?」


「まあびっくり!」


「そしてそれを崩すのが私の仕事」


「は!? なんで!? あんたの仕事はJK兼魔法使いでしょ!?」


 ……いやそれも仕事とは言えないだろうが。


「はむ」


「うひゃ!?」


 そしてなぜだか突如伊巫さんは俺の耳を噛んできた。


「や、ふぁッ」


「あらかわいい声出たじゃない」


「おっさんみてーなこと言うなよ! ざけんなッ」


「……けっこうマジギレね」


「ったり前じゃねーですか! 今すぐやめろ!」


「とか言いつつ体格の差で私に負ける、と」


「うがあああああああ!」


 俺(女体)(ロリ)は懸命にもがくが、伊巫さんの魔手からは逃れられない。


「やめろ! ××すぞ!」


「あらそんな言葉使っていいの? かぷ」


「きゃふん!? ちょ、マジ勘弁してくださ、……あ!? ふ、うぅ…………や、やだッ」


「ほーれほれほれ」


「ふざけ、ふッ……く、…………うぅ……ぅあッ」


「はむ…………ぺろ……ちゅるっ」


「くぅ…………い!? あっ、あっ……」


「ちゅ、……ぷちゅ、……ぺろん」


「うぅ……あ、は…………、んッ」


 バシイイイイイイインンンンンン!!!


「ぎゃあああああああああああ!!」


 いきなりだ。

 いきなり、伊巫さんが乗馬鞭で打ってきた!


「長いのよ」


「だれのせいで! って、アレ?」


 俺の身体が、男のそれに完全に戻っていた。

 懐かしい、喋りやすい喉、頼りなくないちゃんとした骨と筋肉、それに、『マイ・サン』!

 い、いつの間に?


「つーか、女子に手をあげないんじゃなかったのかよ!」


「敬語ね。打った瞬間に男に戻ったんだから、女の子には手をあげていないわ」


「し、死ぬほど痛いいいいい」


 俺はゴロゴロを床にもんどり打った。


「いやー、使ってみたかったのよね、喘ぎ声ツール」


「え!? それだけのために俺むちゃくちゃされたの!?」


「ウソぴょん。全部手打ち」


「マジで!? 暇なの!?」


「ただの、現実逃避よ……」


 なぜだろう。

 伊巫さんは、遠い目をしている。


「──ってか、騙されませんからね!? ちょっと今いい感じの雰囲気にしたでしょう! はぐらかさないでください!」


 ふーふー、と打たれたところに息を吹きかける。

 まあ、背中だから届かないんだけど。……


「毎度思うんですが、ど、どういう原理なんですか、それ……?」


「だから、」


 と伊巫さんはポーズをとった。


「魔法使いよ」


 キラーン。


「………………」


「あと藤見くんさっさと出ていってくれないかしら? 普通にあたし半裸なんだけど」


「ごめんなさいものすごく痛いんです。この状況で興奮できるほど俺は猛者じゃないんで、どうかお気になさらず」


 ピシャアアアアアンンンンンン!


「ぎいいやあああああぁぁああぁあ!!」



 ■



「ねえ今どんな気持ち」


「うるさいですッ」

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