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いふ☆いふ 〜先輩は魔法使い〜  作者: 岩流佐令
5月 体育祭&家庭訪問
31/59

第三十話 繧オ繝舌う繝舌Ν繧イ繝シ蜴カ

「あれ、衛府さん。お久しぶりです、珍しいですねぇこんな所で。ハッハ、奇遇奇遇」


「え、藤見くん!? 何やってんのこんな所で!」


「ふぇ?」


 俺は首を傾げる。少し間抜けな声を出しながら。その目線の先には、衛府さんがいた。

 久々の登場だ。十五話目以来だろうか。地の文だけなら、二十一話でも出てきたが。


 そして現在、彼女は何故か迷彩服で匍匐前進している。(回想↓)


 俺は、例の部室『歴史研究同好会(仮)』へと向かう途中だった。今日も今日とて、伊巫さんと部活(会活?)だ。

 と言っても、何もすることはないのだが。


 先週金曜、つまり三日前に、彼女と二人三脚プレイをした。で、それは中庭であった。

 中庭は人通りが少ないと言えど、やはり放課後でも若干は生徒がいる。

 それが掃けないと、練習が出来ない。


 そう、俺は二人三脚の練習を、律儀にも伊巫さんとしてあげようと思ったのだった。

 この前、金曜日の第一回に引き続き、今回は第二回目。

 今日は月曜日である。週が明けた。

 もちろん、土日に練習などしてないが。当たり前だ。


 ちなみに前回の練習は結局、全然上手に走れなかった。

 伊巫さんヨチヨチ転びまくり。困惑・俺、棒立ち。


 どうせ伊巫さんは放課後、だいたいこの部室に鎮座している。

 だから、下校時刻ギリギリになって、中庭の人がいなくなるのを見計らいつつ、またそれを待ちながら。

 図書館で借りてきた本でも読んでよっかなと考えた俺。


 まあ、練習しなくてもどっちでもいいけどね。俺に伊巫さんの競技の勝敗は、関係ないし。

 でも、いずれにせよ、部室(会室)には来たほうが良いかなと思いを巡らせ。


 現在、この離れ校舎・一階。

 上階の、部室へと続く階段を昇ろうとしたところ。

 謎に迷彩服で匍匐前進を敢行中の衛府さんと、エンカウントした俺なのであった。

(回想・終)


「回想長くてすまん。ところで衛府さん、何やってんすか、そんな陸上自衛隊みたいな格好して。軍服女子? ミリタリーファッション?」


「何やってんすかはこっちのセリフだよ藤見くん! 質問二回目! 重複! 罰金!」


「ええ、罰金!? 嫌ですよ衛府さん、俺今二十円しか持って9th(ナインス)


「はーシケてんな。シッケシケですね藤見くん。というか、ここ今封鎖中ですよ。なんで入って来てるんですか、なんでパンピーがいるんですか本題突入!」


「ふぇぇ? 閉鎖チュウ?」


「そーですよ。今、体育祭の前哨戦が行われているんです」


「体育祭の前哨戦!? つか、体育祭に・前哨戦!?」


「シッ。敵に気付かれます。声のトーンを落としやがれ」


「は、はい……」


 衛府さんに命令され、小声になる俺。

 なんかこの人も怖い。S(サド)のオ〜〜ラ。

 ……こういうキャラだったっけ?


 いかんせん、登場が二週間くらい振り過ぎて、全くキャラを覚えていない。

 割と初期から出た人だったが(何気に初出は第三話、この物語の出場キャラ三人目)。

 見切り発車過ぎて、完全に忘却曲線マイナス値なのだ(そんなものは多分ない)。


「で、えっと……前哨戦って何なんですかね? ちょっと想定範囲外の単語にびっくりで、頭が混乱で、びっくりなんですけど」


「え、藤見くんプログラム読んでないの? 体育祭の」


「プログラム? ……ハッ」


 思い出す俺。その脳裏に、先日伊巫さんが持っていた、あの謎の国語辞典みたいな分厚さの冊子のイメージ。

 たしか彼女も『プログラム』とか言っていた。体育祭の。


 何なんだ結局、あの伏線は? というか、衛府さんもご存知ということは、生徒の共通認識なのか?

 全員に配布された、学校公式な物なのか?


「お、俺にだけ配られてない……?」


「は? ホームルームで言ってたじゃんし」


 急にギャル語になる衛府さん。かなり雰囲気がピリピリしていらっしゃる。

 まるで戦場人だ。いや、格好はまさにその通りなのだが。


「あ! もしかして、木曜日の帰りの会ですか? 俺、寝てました……」


「ええ、寝てたの? はー、じゃあ知らないか、プログラム。『教室の後ろに積んどくから持ってけ』って、学級委員の山田くんが言ってたのに」


「学級委員の山田くんが言ってたんですか。えー、だとしても、俺が起きた時、そんなのありませんでしたよ」


 あんな分厚いのあったら確実に気づく。俺でさえだ。

 が、俺が目が覚めて、部室に行こうとした放課後。その時も、そんな珍妙な物体は、教室のどこにもなかったと断言できる。

 あったら気づく。俺でさえだ。(二回目)


「ああ、じゃあ誰かが二個三個持ってったんですね、おそらく。私はもちろん一冊だけです。

 もしくは、人数分発行されてなかったとか。そこら辺は、学級委員の山田くんの領分でしょうけど」


 そう簡潔に推理し、まとめた衛府さん。割と会話がスムーズ、優秀だ。


 つーか、また山田だよ。学級委員の山田くん。

 出席番号順に種目を割り振った張本人。ついでに係も同。今回のゴタゴタ、諸々の戦犯。

 や、山田〜〜。ちゃんと働けよ〜〜。


 まあ、そんな大事な時(ホームルーム)に寝ていた俺も俺だが。

 というか、誰か起こしてほしかった。……


「あ、そういえば藤見くん。伊巫さんの人生伴走者任命なんだって? おめでとうございます&ありがとうございます」


「いやー『人生』ではなかですよ。普通に普遍に一般的に至って平凡に、今度の体育祭オンリーJUSTです。期間限定技です」


「へー期間限定メニューか。いいねー美味(おい)しい展開だね。青春ッ」


「ハッハッハそんなもんじゃ長門ですよ。そういや衛府さん、」


「ところがドッコイしょ!」


「へえ?」


 と、いきなり俺の背に隠れて衛府さん。

 隠れたというよりかは、俺を(シールド)にして躱したと言ったほうが正しいか。

 後方に回られ、ガッシリとホールドされる俺、わけがわからない一瞬。

 ガッシリと俺の背広をホールドするミリタリー衛府さん。素早い動作で、既に匍匐前進モードは解いている。


 ホールドして(シールド)にしたわけか。上手いね。


 それにしても、今まで彼女はずっと匍匐前進の形でいたわけだ。その体勢のまま、これまでの会話を俺と紡いでいた。

 なにげにシュールな構図であった、今思えば。俺も衛府さんの軍服のファーストインパクトで、一周回って何も疑問を感じないようになりつつあったが。


 すげえポーズだった。

 衛府さんのFカップおっパイが地面に潰されて、『どすこい!』って感じだった。


 その『どすこい!』が見事なまでにうつ伏せになった上体、胴体と学校廊下の床にサンドウィッチされて、いい感じにひしゃげ、歪み、たわみ、縺れ、弾け、縮み、広がり、圧迫し、潰され、反射し、緩み、反発し、和らぎ、こねくり回し、動き、這って、止まり、揺れ、押され、抑え、膨らみ、崩れ、保ち、壊れ、蘇り、撞き、伸び、攻め、守り、呼び、応じ、与え、受け取り、差し出し、拒み、解き、繋ぎ、迷い、振り返り、遮り、前を向き、歩き出し、振り切り、断ち切り、手を伸ばし、掴み、光へ、未来へ。……


 ッタアアアアアアアンンンンンンン!


「ぐぶふうッ」


 俺は撃たれた。狙撃された。

 胸から赤いものが見える。俺のYシャツが朱色に染まりて、天を穿つ。


 ああ、魂が燃ゆる。全ての生命の光を解き放ち。

 生と死を分かつ、最後の血潮が道しるべとして大地を流れ込む。


 分解し、崩壊し、瓦解し、全壊され、その原子たち、炭素は、水素は、酸素は、窒素は、次なる世代へと受け継がれ。

 俺の魂は、さらなるステージへと、今、誘われる。


 その全ての記憶と想いすら置き去りにして、躊躇いを犠牲にすることあたわず、末の世を思いて、憂いを僅かに残す、それさえも化作は無上の罪なのだと。……


「ラッキー、藤見くんありがとう♪ ナイスぅ!」


「えー衛府さん何なんですかこれ……」


「前哨戦だよ♪ きゃふっ」


「クソっ。可愛いな……」


「じゃー、パンピー藤見は立ち入り禁止区域を跋扈した罪で。滅亡! バイバイ!」


「いやちょっと待って下さいよこれ、わけワカメっす説明プリーズ」


「グーテンターク♪ オ・ルボワール♪」


「クソっ。なんて可愛いんだ、卑怯(チート)だろ……」


「フッ、」


 と、衛府さんは猛烈に前転すると(めっちゃスマートで綺麗すげえ)、すぐ隣の教室へと侵入、潜伏、離脱した。

 その先──旧理科室だ。ここ、離れ校舎の。


 離れ校舎はもともと、専科授業の教室が組み込まれていたらしい。

 それが何年か前の大規模な校舎一新工事、その改修により、ほとんど使われない建築物となった。本校舎にあらゆる役割が移送されたのである。


 で、たまにこうして伝統的に、イベントの際だけ使用されるのだ。

 普段ほぼほぼ使われないし、生徒も全然いないから(部室として使用している伊巫さんくらいのもの)、こういう派手なドンパチやるにはフィールドとしてちょうどいいらしい。


 そして、今現在行われているのはそのイベントの一つ、通称『前哨戦』と呼ばれる、体育祭一週間前の予選みたいなものである。

 前回、疑問に思ったこと。体育祭プログラム、その分厚さ。


 無論、当日一日間では終わらない内容である。ここいらでも屈指の部活奨励校である、この高校。部活ごとの競技種目が鬼のように多いのだ。

 その当日入り切らない分を、一週間前から(月曜〜金曜、土曜(当日)までの五日間)の放課後、ここ離れ校舎で執り行ってしまおう! ……という考えらしい。


 ちなみに、今日月曜日はサバゲー部の領域。

 衛府さんはテニス部のエースでありながらも、兼部してサバゲー部にも所属している。すごいね。


 ──という情報を、俺が知ったのは後の話。


 現在の、狙撃された俺は横たわって、ただただ困惑するばかりである。


「チッ。防いだか」


 パラタタタタ、ダダダダ、ッタァンン!

 タァン! タァン! タァンンン!

 ジャコ、ガチャ。ゴトッ、パキッ。

 ダンッ。ガッ、パラタタタタ。……


「衛生兵、衛生兵ッ。またもや衛府にやられましたッ。これで被害者は九つでありますッ」


「クソッ。手強いッ」


「え、衛府め〜〜ッ」


『おい、何やってんだッ。相手は一人だぞッ』


「わかってらぁ……お?」


 ッタアアアアアアアンンンンンンン!


「ぐぼあッ」


『おい、どうしたッ』


「ああ、隊長ッ」


「た、隊長が、」


 ッタアアアアアアアンンンンンンン!

 ッタアアアアアアアンンンンンンン!


「がべふッ」


「びぎゃちッ」


『!? おい、どうしたッ。応答せよ、応答せよッ』


「……」


「……」


「……」


『〜〜? 〜〜、〜〜〜〜!?』


 ッタアアアアアアアンンンンンンン!


『……』


「ふいー、終わりましたぁ。あ、パンピーくん滅亡か。うーん、わざわざ戻って来なくて良かったな。てへぺろ☆」


「……」


 お、俺はどうすればよかですか?

 衛府さん。……



 今更ですが、九話の終わり方をまあまあ変更させていただきました。

 『帰ろう』の後に、ドアノブの色々を挿入した感じです。

 それに合わせて二十一話も若干修正しました。(昼飯、伊巫さんじゃないの? の下り、まあどうでもいいです)


 後の壮大な伏線にしようと思っておりますが、ちゃんと果たされるかはわかりません。

 それと、今後も色々ウニャウニャと改稿するかもしれません。(無駄足掻きかも)


 ここまで読んでいただき、誠にありがとうございました。m(_ _)m

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