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私と彼は180°違う  作者: 羽並 咲桜
3/4

私と彼の休日の朝


休日の朝。

日が昇って30分後くらいの時間に起床する。


目覚ましを止めて、ベッドから起きる。

モコモコのスリッパに足を通して、部屋のカーテンを開ける。


朝一番にするのは、お白湯を飲むこと。

鉄瓶で沸かすと鉄分補給にもなるし身体が徐々に目覚めるらしい。


お部屋には可愛い観葉植物。

声掛けと共に霧吹きで軽くお水をあげる。


朝ごはんは、フルーツたっぷりのスムージーと、クロワッサン。愛猫を膝に乗せて、朝日が差し込む部屋でゆったりと朝ごはんを食べたりして。


のんびり、ゆったり過ごす休日の朝。



………ここまでが、理想の話。



現実の朝は昼頃に起床。


朝のアラームを止めて「休日の朝くらい…」ってゆっくり二度寝したらゆっくりしすぎてお昼になっちゃってる、お決まりのパターン。


布団から出て、朝昼兼用の食パンを焼く。

部屋が暗いのは嫌いなのでカーテンは開ける。


朝日の時間は通り越しているので、普通に昼の日差しを浴びる。


食パンにかじりつきながら、そろそろ水やりしなくっちゃなんて思いながら観葉植物に目をやる。


(何もしていないのに14時になってしまった…)


なんて思っていたら、寝室のドアがガチャリと開く。



「翔くん、おはよう」


「……ん。」


まだ眠そうだな、だなんて思う。

眠い時は口数が減るのは、彼の特徴。


「何かたべる?」


「……ううん」


言いながらケトルにお水を注ぎお湯を沸かす彼。

休日の朝、珈琲を飲むのは彼の日課だ。



「また寝過ごしちゃった。起きたらお昼だった。」


笑いながら声をかける。

珈琲豆を挽く音が心地よい。



「……もう諦めたらいいのに。」

1拍置いて、ようやく彼が口を開く。


「……え、なにが?」


「早起き。」


「なんで?」


温めたマグの上にドリッパーを置いて、挽かれた珈琲豆にこぽこぽとお湯を注いでいく。


やわらかくリビングに届く香りが、割と好きだ。



「華は朝に起きられないでしょ。アラーム、いつも朝に鳴ってるのに」


「そんな事ないよ、その内起きられる日がくるかもしれないじゃん」


「そんな事ある。5分毎のスヌーズで起こされると、俺も、眠い。」


言いながら珈琲を持ってリビングにやってきた彼は、本当に眠そうだった。



私は苦笑する。

彼は無口だけれど思った事は割と事はハッキリと言うタイプだ。



「そもそもどうして、早起きなんてしたいの」


「え、どうしてって?」


「諦めてアラーム入れずにゆっくり寝ればいいじゃん」


「えー違うんだよ、なんかね、朝ごはんとかゆっくり食べたりして休日のきゅーおーえるを上げたいの」


「朝にご飯食べたらQOLがあがるの?」


「うん」


「昼に食べるのと何が違うの?」


「……なんとなくだよ、なんとなく!」


全く、翔くんは分かっていないんだ。

なんかこう、朝に食べるとオシャレな生活な気がするデショ!


女の子はそういうのに、憧れるんだよ!


「……まぁいいけど。じゃあアラームは1回で起きてね」


「……えー…」


「俺、眠いの嫌だからね。起きれないならアラームやめるか、寝室別々ね。」


(…………がーーーーん…!!)



釘をさして、メールチェックの為にパソコンの方に向かって言ってしまった。



(翔くんは、酷いやつだ。そんなに言うなら、翔くんがアラームで起きて、私を起こしてくれたらいいのに。寝室別にするだなんて、そんな脅し文句言わなくたっていいのに……!)


なんて思ったけれど、そんな自分勝手な事は言えまい。


なんてったって彼は、よく分からないボヤっとした理想に夢を持つタイプでは無いから。



私は理想の朝ごはんに夢があるけれど、彼はきっと朝ごはんより睡眠派なのだ。

しかも、私と違って1度決めた事はきちんと実行まで移す彼が、寝室別って言ったら、本当に別にされかねない。

………それは駄目だ…!



私と彼は180°ちがう。



(……理想の休日って、難しい。)

私は、休日のアラームの予定をスマホから削除した。





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