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第九十八話 大迷宮 中層攻略

 冬雅達は大迷宮の地下十一階を探索しながら進んでいき、次の階に降りる階段を見つける。


「まだ行ってない場所があるけど、先に進もう。中層もなるべく早く進んで、下層のモンスターと宝箱を狙ったほうがいい」

「ここら辺で戦っても、レベルも上がらないしね」


 冬雅達は地下十二階へ降りて、さらに進んでいく。中層からはダンジョンが広くなり攻略に時間がかかるのだが、冬雅とサキの罠看破、そしてマッピングのスキルのおかげで順調に進んで行く。そして数時間後、彼らは地下十五階のセーフエリアに到着した。ここまでに彼らは宝箱を八個見つけて、そのうちの六個は中身が入っていた。


 力の指輪×1

 ハイポーション×1

 速さの指輪×1

 ルビー×1

 クリエイトウォーターのスキルブック×1

 ナイトシールド×1


「ここには転移の石碑があるのね」

「じゃあ、今日はもう帰ろうか」

「やった! 今日もお風呂に入れる!」


 冬雅達は地下十五階のセーフエリアの転移の石碑で一階に戻って大迷宮を出て、冒険者ギルドで今日の戦利品を売却し、その日が終わる。そして次の日、冬雅達は地下十五階から攻略を始める。

 地下十五階からはローブを身に着けた人型の悪霊のレイスや、身長が二メートルを超えていて肌が緑色で人型のモンスター、トロールなどのBランクモンスターが出現したが、今の冬雅達の敵ではなく、それらの死骸を回収しながら進んでいく。そして地下二十階のセーフエリアに到着し、彼らはここまでに八個の宝箱を見つけていた。


 怪力の指輪×1

 フルポーション×1

 疾風の指輪×1

 サファイア×1

 氷の盾×1

 火の盾×1

 司祭の帽子×1

 火炎の剣×1


 冬雅達は地下二十階のセーフエリアで休憩しながら話す。


「この階に中層のボスがいるのよね」

「そう。Aランクのミノタウロスが三体出現するらしい」

「なら今度は私が魔王の召喚を試していい?」

「うん。召喚は試してみないと効果がわからないからね」

「でも魔王でしょ。魔王はSランクの上位の強さっていわれているし、ミノタウロスの相手をさせたら、「Aランクごときで俺を呼びやがって」って怒ったりして」

「ちょーー! 怖いこと言わないで!」

「召喚士は、そんな危ない奴は召喚できないと思うけど」

「そ、そうよね。大丈夫よね」

「念のために上泉君がいつでも黄泉比良坂よもつひらさかを使えるようにしとけば大丈夫でしょ」

「ああ、それだ! あのスキルなら魔王でも一撃だったし」

「わかった。いつでも使えるように構えとく。じゃあ、中に入ろう」


 冬雅達は少し緊張しながら地下二十階のボス部屋に入る。すると広い部屋の中央に、頭が牛で体が筋肉質の人の姿の巨大なモンスターが三体立っていた。


「斧を持ったミノタウロスが三体か」

「じゃあ、いくよ! ヘカーテ召喚!」


 凛子は部屋に入ってすぐにヘカーテを召喚を発動する。すると召喚の魔法陣から、中学生くらいの可愛らしい女の子が現れた。


「えっ?」

「制服?」


 現れたヘカーテは、中学校の夏用の制服のような服を着ていた。


「ふーん、私がこんなへんぴな世界に呼ばれるって……。そうか。あなたも別の世界からこの世界に来たんでしょ」

「そ、そうだけど……あなたが魔王ヘカーテ?」

「そうよ……ん?」

「ヴモーーー!」


 凛子とヘカーテが話していると、三体のミノタウロスが、斧を振り上げながら彼女達へ向かって突撃していく。


「うざっ、闇の龍! 来て!」


 ヘカーテが右手を掲げてそう叫ぶと、彼女の全身から闇があふれ、その闇が三体の闇の龍の姿になって、三体のミノタウロスに向かって飛んでいく。


「ヴモーーー!」


 口を大きく開けた三体の闇の龍が、三体のミノタウロスの全身を飲み込み、ミノタウロスはその闇の中でHPをすべて失って倒れ、冬雅達の頭の中にレベルアップの効果音が鳴り響く。


「レベルが上がった!」

「わしもじゃ!」

「一瞬で三体も! これが魔王の力か!」


 冬雅、サキ、凛子はレベル65、コロポックルはレベル61になっていた。


「ヘカーテ! 凄い!」

「いやいや、私の力はまだまだこんなものじゃないよ。あなたがもっと強くなれば、私の本当の力が使えるはず」

「あ、やっぱそうなの」


 凛子は天使アールマティにも同じようなことを言われていた。


「ヘカーテが強いのはわかったけど、なんで学校の制服を?」

「へへ、これ。気に入ってるんだ! 可愛いでしょ!」

「わかる! 最高に似合ってる!」

「でしょ!」


 凛子とヘカーテはハイタッチをして楽しそうにしている。


「じゃあ、私の力が必要になったら、いつでも呼んでよ!」

「うん。わかった」

「じゃあね」


 ヘカーテは帰還の魔法陣で帰っていった。ヘカーテは、別名、満月の女王と呼ばれていて、満月の夜は不死身になり、さらに強力な魔力が使えるようになる魔界の魔王の一人だった。


「はー、思ってたような怖い魔王じゃなくてよかった」

「私はわかってたけどね! 私に合った魔王が出てくるって!」

「呼び出す前は怖いって言ってたくせに」

「えっ、そうだっけ?」


 サキと凛子がそんな話をしていると、冬雅は倒れているミノタウロスの死骸の場所に移動する。


『迷宮都市ヘルムの大迷宮、地下二十階ダンジョンボス討伐報酬をひとつ選んでください。

 大地の斧×1

 魔法の鎧×1

 アイテムボックス収納二倍のスキルブック×1』


 冬雅は表示された内容を皆に伝える。


「やっぱスキルブックでしょ。上泉のアイテムボックスが、二倍入るようになるんだよね」

「私もそれでいいと思う」

「わかった」


 冬雅はアイテムボックス収納二倍のスキルブックを選択し、さっそくアイテムボックスから取り出して習得する。すると彼のステータスボードに表示されていたアイテムボックスのスキルが、アイテムボックス(二倍)に変化した。


「上泉君のアイテムボックスは、レベル×100キロまで収納できるんだっけ?」

「そう。今はレベル64でその二倍だから、12800キロまで入るようになった」

「1000キロが、一トンだっけ?」

「そうだったかな。でもこれでも大きなドラゴンとかは収納できないと思う」

「なら、ランスロットさんのアイテムボックスって凄かったのね」


 覇竜の牙のランスロットの個数型アイテムボックスは、何トンのモンスターでも収納できるレアなスキルだった。


「じゃあ、ここでドラゴンが出現しても、素材は持っていけないのか」

「俺達は解体できないからしょうがない」

「私、魔石を取り出すくらいなら、やってみようかな」


 サキがそう提案する。


「サキ、できるの?」

「皮を剥いだり、牙を引っこ抜いたりはやだけど、魔石を取り出すくらいならできるでしょ。魚をさばくと思えばいけるよ。たぶん」


 サキは元から料理が得意で、魚をさばくことも普通にできた。さらに彼女は転移してきた時から料理のスキルも持っていた。


「さすがサキ! 私の嫁!」

「嫁って……凛子も料理を覚えなさいよ」

「えー、今の時代、料理なんて出来なくても生きていけるよ」

「まあ、それはそうだけど」

「宮本さん。無理はしなくていいよ」

「うん。ありがと」

「じゃあ、このボス部屋の先に転移の石碑があるらしいから、今日はもう帰ろう」


 冬雅が買った大迷宮の本には、すべてのボス部屋の先には転移の石碑があるということが書かれていた。



 次回 大迷宮 下層攻略 に続く

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