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第九十六話 迷宮都市ヘルムへ

「あー、神様の加護ね。私も持ってた」

「なるほど。加護があるんだから、この世界に神とか女神がいることは間違いない」

「問題は、どうやってその神様に頼むかよね」


 冬雅は戦神スサノオの加護、サキは女神アルテミスの加護、凛子は破壊神シヴァの加護を持っていた。


「それにどの神様が私達の世界に帰してくれる力を持ってるのかっていうのもわからないし」

「あっ。図書館に、神様について書かれた本がいっぱいあったような」


 凛子は昨日、色々な本棚を見ていたので、そのことを思い出した。


「じゃあ、図書館で神に書かれた本を調べてみよう」


 冬雅達は朝御飯を食べた後、王都の図書館に行って、職員に神の本について聞いてみる。


「この世界にはたくさんの神についての伝承があります。それだけ、神について書かれた本がいっぱいあります」


 冬雅達は職員にこの世界の神について書かれた本が置かれた棚の前まで案内してもらう。


「この辺りですね」

「うわーーー、いっぱいある!」

「この中から目的の神の本を探すのは大変そうだ」


 冬雅達はとりあえず自分が持っている加護の神について書かれた本を職員に探してもらう。すると複数の本が見つかった。


「とりあえず読んでみよう」


 冬雅達は渡された本を持って空いてるテーブルの席に座る。


「私は読まなくてもいいよね。私のは破壊神だし」

「まあ、破壊神は、召喚とか転移とかは関係なさそうよね」

「それなら俺のスサノオもたぶん関係ない。剣で戦う神みたいだし」

「じぁあ、サキの女神様が一番可能性が高いんじゃない?」

「はいはい。読んでみるよ」

「俺も一応、読んでみよう」

「私はほかに何か読む本がないか探してみよ」

「お嬢ちゃんにわしもつきあうかの」


 冬雅とサキはそれぞれの神について書かれた本を読み始め、凛子とコロポックルは図書館の中を適当にぶらついて何かないか探し始める。


 そしてしばらくしてサキが本を読み終わる。


「うーん。女神アルテミス様は、狩猟とか月を司る神みたい。私達を日本に帰してくれる神とは違うかな」

「そうか。俺のほうも違うみたいだし、俺達を帰してくれる力を持った神を探すのは大変そうだ」

「そういえば凛子は……」


 冬雅とサキが図書館内を見渡すと、凛子とコロポックルがソファーのある場所にいてまた昼寝していた。


「まあ、そうなるか」

「ん? そろそろお昼の時間だ」

「じゃあ、二人を起こしてお店を探しましょ」


 冬雅とサキは寝ている凛子とコロポックルを起こして図書館を出て、飲食店を探しながら大通りを歩いていく。


「やっぱ、簡単には見つからなかったか」

「あれだけある本の中から探すのに、いったい何日かかることやら」

「それなら直接、神様に聞いてみれば? 私達を帰してくれる神は誰ですか? って」

「それができればいいんだけど、もう一つの問題。どうやって神と話すかを調べないと……」

「そうだ! サキが加護をもらった教会でお祈りすれば、女神様の声が聞こえたりして」

「それだ!」

「なるほど、それは試してみる価値があるかもしれない」

「そうね。グライン王国の王都に戻る機会があれば、あの教会に行って試してみましょ」

「じゃあ、図書館に行くのはこれくらいにして、次に行ってみる?」

「そうしよう。いよいよ大迷宮だ」


 冬雅達は大通りにある飲食店でお昼ご飯を食べてから宿屋に戻って部屋を引き払い、その日のうちに王都ガントレットの南門から南方の街道をそれぞれの馬に乗って南下していく。その途中、町や村を経由しながら移動して四日目に迷宮都市ヘルムに到着した。


「ここが迷宮都市か」

「歩いてるほとんどの人が武装してるよ」

「みんな大迷宮目当てなんでしょ」

「エルフやドワーフの冒険者もいるみたいじゃの」


 冬雅達は迷宮都市ヘルムの大通りを歩きながら宿屋を探し、また豪華な宿屋で三部屋確保して、移動の疲れを癒しながらその日が終わる。そして次の日、彼らは買い物などの準備をしてから、迷宮都市の中心部にある大迷宮の入口までやってきた。


「ここが大迷宮の入口か」

「警備が厳重ね」

「まあ、町の中にダンジョンがあるのと同じだからね。実際はダンジョンの周りに町を作ったんだろうけど」


 大きく立派な建物に大迷宮の入口の扉があり、その扉は常に開いた状態で、その周辺に武装した兵士達が何人もいて警備している。その入口付近には、たくさんの冒険者や傭兵などが集まっていて、どんどん入口へ入っていく。


「そうだ。上泉。昨日買ってた大迷宮のガイドブックの要点だけ簡単に説明してよ」

「ええと、ここの大迷宮は地下三十階まであって、十階ごとに上層、中層、下層というふうに分かれていて、上層は低ランクのモンスターが出現して、地下に進むごとに高ランクモンスターが出現するみたい」

「その本にボスのことも載ってた?」

「地下三十階のボスはSランクのベヒーモスだって。ああ、ボスは俺のスキルで一撃で倒せるから心配いらないよ」

「ああ、またあれやるのね」

「あと、大迷宮の中に転移の石碑もあるから、そこまで行けば地上に戻って来れるよ」

「それは助かる……まあ、私達にはシャルロッテさんにもらったテントがあるから、戻って来れなくても大丈夫だけど」


 サキと凛子は、マジックテントの中で快適に過ごせるように、ベッドやテーブルなどの家具をそろえていた。


「それと上層のマップはガイドに載ってたから、最短ルートで地下十階まで行って、そこから本格的に探索開始しよう」


 冬雅達は大迷宮の入口から、一階フロアに入る。すると広い空間の中央に転移の石碑があり、その先に地下へ降りる階段があった。


「マップを取り込んでおこう」


 冬雅はマッピングのスキルを発動し、地下十階までの地図をスキルに取り込む。


「よし、じゃあ、地下一階に降りよう」


 冬雅はマップウィンドウを表示しながら階段を降りていき、サキと凛子と彼女の肩の上のコロポックルがそれに続く。そして地下一階に到着する。


「地下なのに明るいね」

「壁自体が光ってるらしい。だから大迷宮ではランプとか松明とかはいらないよ」

「通路も広いから、普通に戦えそうね」


 大迷宮の床、壁、天井は特殊な石のブロックで作られていて、その通路は冒険者パーティが普通に戦えるくらい広かった。


「じゃあ、進もう。最初の通路の突き当りを右だって」


 冬雅が先頭に立ち、マップウィンドウを見ながら進んでいく。その途中、緑色の大アリ、グリーンアントや、角を持つウサギ、ホーンラビットなどのEランクモンスターが出現したが、今の冬雅達の敵ではなく瞬殺して先に進んでいく。



 次回 大迷宮 上層攻略 に続く

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