表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/122

第九十〇話 戦利品

「倒れていたヴリトラが、いなくなってます! それとメイル国軍は現在も魔族国軍と交戦中です!」


 城壁の上にいるグライン王国の兵士が、地上にいるゼル将軍に大声でそう報告する。少し前まではここからでも倒れているヴリトラが見えていたが、今はランスロットがアイテムボックスで回収したので、その姿を見ることはできなかった。


「ヴリトラをアイテムボックスで回収したんでしょう。恐らくメイル国の連中がヴリトラを倒したんだと思われます」


 兵士の報告を聞いていたモアレ副団長はそう推察する。


「つまりメイル国……いや、覇竜の牙は、四体の魔王のうち二体を倒したのか。俺達でも倒せなかったあの魔王を……」


 ゼル将軍達には、悪魔王アモンが現れたことは、まだ伝わっていなかった。


「覇竜の牙が規格外なんですよ。奴らはSランク冒険者パーティの中でも、上位の強さを持っているんでしょう」

「ちっ、我が国には魔王を倒せるほどのSランクはいないというのに、むっ!」


 その時、またメイル国軍がいる場所に黄龍が出現し、砦の外へ向けて聖光のブレスを吐き出した。


「ゼル将軍! 今のブレスで、砦の外にいたシルバーゴーレムやミノタウロスの部隊が壊滅しました!」


 城壁の上にいる兵士が、その状況をゼル将軍に報告する。


「ならばもう防衛戦は終わりだ! グライン鉄騎兵団! 打って出るぞ!」

「おおお!」

「アサイ達もついてこい!」

「はい!」


 ゼル将軍率いるグライン鉄騎兵団と浅井達勇者パーティは、西グライン砦から出て残っている魔族国軍との戦闘を始める。



 場面は冬雅達とメイル国軍が戦ってる破壊された城壁の場所に変わる。


「あっ、またレベルが上がった!」


 今の聖光のブレスによって、黄龍が砦外のたくさんのモンスターを倒し、冬雅、サキ、凛子はレベルが64、コロポックルはレベル60になった。


「トウガ、シャルロッテ。お前達は魔王二体と戦って疲れてるだろ。後は私達でやれる。お前達は休憩してていい」

「はい、師匠!」

「ありがとうございます」

「うむ。よし、メイル国騎士団! 我等も砦の外に出る! ついて来い!」

「はっ!」


 ゼル将軍達と同じように、リーナ率いるメイル国騎士団も西グライン砦から出て、外に残っているモンスターを討伐しにいく。


「ふぅ。やっと終わった」

「ほんと疲れたよ」

「わしも今回は働いたわい」

「おじいちゃん。お疲れ様」


 冬雅、サキ、肩にコロポックルを乗せた凛子は、集まって適当な場所に腰かけて一休みする。


「あっ、そうだ。魔王の討伐報酬があった!」


 冬雅はアイテムボックスから豪華な鞘に収納されている豪華な剣と、紋章が描かれた美しい青色のマントを取り出す。


「こっちはオリハルコンの剣で、こっちは星神のマントだって」

「マントは私がもらっていいんだよね」

「うん。そのつもりで選んだよ」


 冬雅は星神のマントを凛子に渡す。


「やった! ありがと! この色はいいね! 触り心地も最高!」


 凛子は立ち上がって肩の上のコロポックルを降ろして賢者のマントを外し、代わりに星神のマントを装備して喜んでいる。


 星神のマント 防+60 魔法耐性60%


「私はドラゴンブレイカーをもらったから、その剣は上泉君が使って」

「わかった」


 冬雅も立ち上がって、腰の轟雷の剣を鞘ごとアイテムボックスに収納し、オリハルコンの剣と鞘を腰につけて、剣を抜いて構えてみる。


「おお! これが伝説のオリハルコンの剣か!」


 冬雅はオリハルコンの剣を構えてみて、その凄さをなんとなく感じ取った。オリハルコンというのは、色々なゲームや漫画などに登場する、世界で一番硬い金属といわれている伝説の鉱物だった。


 オリハルコンの剣 攻+100


「それで魔王討伐の報酬にスキルブックはなかったの?」

「魔王は三体とも武器か防具だったよ」

「まあ、もう強いスキルはいくつもあるから、強い武器や防具の方がいいのかな」


 冬雅とサキが真面目な話をしていると、星神のマントを身に着けた凛子が、二人の前で一回転してどや顔をする。


「どう? 似合ってる?」

「いいんじゃない」

「ええと、そうだ! ステータスボードを確認してみよう。やっとゆっくり見れる」


 冬雅はオリハルコンの剣を鞘に戻してから、自分のステータスボードを表示する。それを見てサキ達も自分のステータスボードを確認する。


 上泉冬雅かみいずみとうが  17歳  人間

 職業 忍者

 称号 真・魔族キラー ドラゴンキラー

    魔王討伐者


 レベル  64

 HP 4567/5176

 MP   68/598


 攻撃力 156(+100)(+15%)

 防御力 112(+55)

 魔力  115

 速さ  228      (+15%)


 経験値 1025735


 スキル

 言語理解 アイテムボックス(二倍)

 ゲートオブアルカディア

 異性運上昇 錬気斬 気配察知

 後の先 罠看破 気配遮断結界 

 クリーン 見切り 竜牙一閃

 剣速強化 マッピング 危険察知

 天羽々斬 影縛り 軽業

 分身 ドラゴンオーラ 気配遮断

 因果の刃 黄泉比良坂 戦神スサノオの加護 

 風月再起召喚 忍者歩法 爆発魔力手裏剣 

 貫通 摩利支天顕現


 仲間

 宮本サキ(みやもとさき)   レベル64 姫騎士

 佐々木凛子(ささきりんこ)  レベル64 召喚士

 コロポックル レベル60 龍王


 装備

 オリハルコンの剣  攻+100 

 精霊の胸当て    防+55 魔法耐性30%

 破壊王の指輪    攻+15%

 風の精霊の指輪   速+15%

 精霊王の指輪    毒・麻痺・睡眠・混乱・魅了状態を無効化


 称号

 真・魔族キラー(魔族を100体討伐した者に贈られる称号)

 魔族に与えるダメージ15%上昇


 魔王討伐者(魔王を倒した者に贈られる称号) 

 魔王に与えるダメージ10%上昇

 魔王から受けるダメージ10%低下



「称号も増えてる……ん? 真・魔族キラー?」

「真・魔族キラーは、コロじいの聖光のブレスのおかげかな」


 冬雅の予想通り、黄龍になったコロポックルは、聖光のブレスでデーモンナイトなどの魔族を百体以上倒していた。


「さすがおじいちゃん!」

「わしもやる時はやる男なんじゃ!」

「それにしても、今日一日で、かなりレベルが上がったよね。戦いが始まる前は、確かレベル46くらいだったような」

「これもコロじいの経験値増加のおかげだよ」

「ほっほっほっ! もっとほめていいぞい!」


 冬雅達が強くなって喜んでいると、シャルロッテ、ランスロット、エミリ、カイトが、一緒に歩いてくる。


「盛り上がってるみたいですね」

「はい。今日だけでだいぶレベルが上がったので」

「魔王を三体も倒して経験値を共有できるなら、そりゃ強くなれるだろうな。うらやましい」

「ああ、カイト君。これ返すね。ありがとう」


 サキは三つの破壊王の指輪を取り外し、カイトに返す。


「いえいえ。魔王を倒す手助けができたなら、よかったですよ」

「わしも返すぞい!」


 コロポックルは指にはめてある三つの魔法神の指輪のうち一つを外し、凛子に手渡して、彼女はそれをエミリに返す。


「はい! これ、ありがとね!」

「ほんとはシャルロッテみたいにあげられればいいんだけど、私は魔力が上がる指輪は必需品だから、悪いわね」

「ううん。貸してくれただけでも助かったよ」

「ああ、ならヴリトラとアモンを倒した功績のアイテムを進呈しましょう。何がいいでしょうか?」

「確かマジックテントが余ってなかったか?」

「確かにひとつ使ってないのがあったわ。トウガ君達ってマジックテント持ってます?」

「いえ、ないです」

「じゃあ、これを」


 シャルロッテはアイテムボックスから、見た目が普通のテントを取り出す。


「これがマジックテントですか?」

「はい。外見は普通ですけど、中が普通じゃないんです」

「入ってみていい?」

「どうぞ」


 凛子はマジックテントの入口を開けて中を覗いてみる。


「うわっ! 凄っ!」

「何? 凛子? どうなってるの?」

「中が広くなってるよ! 天井も高っ!」



 次回 戦後会議 に続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ