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第四十二話 大地の洞窟

 冬雅達が大地の洞窟を進んでいくと、猪のモンスター、バトルボアより一回り大きく、頭に二本の角を持つダブルホーンボアや、人型で頭がトカゲで、体が人の姿で背中に二枚の翼をもつドラゴニュートなどのBランクモンスターが現れたが、彼等は問題なく倒して死骸を回収しながら進んでいく。すると彼等のレベルが28になった。


「よし! 危険察知を覚えた!」

「私はハイオーラブレードを覚えたわ!」


 冬雅は危険察知、サキがハイオーラブレードを習得した。


 危険察知

 スキル所有者の周囲10メートル以内の

 自分と味方に危害を加える物を感じ取れる


 ハイオーラブレード

 剣に強大な魔力をまとわせて

 攻撃力の三倍のダメージを与える剣技

 消費MP 30


「私は何も覚えなかった」

「宮本さんはたぶんこの後、火系と雷系の最上級魔法を覚えるはず」

「最上級!? 上級よりさらに強い魔法?」

「そう。ゲームと同じなら、レベル30までに覚えられるよ」

「ならもう少しかー。よーし、やる気が出てきた!」


 冬雅達はさらに大地の洞窟を進み、二つ目のセーフエリアまでやってきた。そこは最初のセーフエリアと同じように発光する壁で囲まれた小部屋で、中央に石製の女神像があった。


「セーフエリアだ!」

「はー、やっと休憩できる」

「さすがにBランクモンスターは強くて疲れたわ。上泉、ジュース頂戴」

「ええと、はい。これ」


 冬雅はサキと凛子にジュースを渡し、自分も飲む。


「ありがと」

「今回は一時間か二時間くらい、ここで休もう」


 冬雅達は最初のセーフエリアでは、少し休憩しただけですぐに攻略を再開したので、今回は長めに休むことにした。


「今回も宝箱でいいのが手に入ったよ」


 冬雅達はここまでにマナポーション、万能薬、魔鋼の剣、速さの指輪、点火のスキルブックを手に入れていた。「点火」は火をおこすスキルだが、凛子が火の魔法を使えるので、冬雅達は今は使う必要がなかった。それで点火のスキルブックは、使用せずにアイテムボックスにしまってあった。


「ふー、MPを使いすぎたから、少し横になりたい」

「じゃあ、テントを出すよ」


 冬雅はアイテムボックスから野営のためのテントを出す。凛子はそのテントに入り、横になって休む。


「宮本さんはどうする?」

「私はそんなに疲れてないけど、少しおなかがすいたかな」

「じゃあ、何か食べよう」


 冬雅はアイテムボックスから木製の椅子二個とテーブルを取り出し、そのテーブルの上にパンやシチューなどの食べ物を取り出す。


「作りたての食べ物がこんな場所でも食べられるんだから、アイテムボックスって凄いわ」


 サキと冬雅は、椅子に座ってそれらを食べ始める。彼のアイテムボックスは中の時間が止まっているので、作りたての料理をアイテムボックスに収納しておけば、時間が経っても暖かい料理が食べられるのである。


「アイテムボックスは最初から持ってたスキルだから、運がよかったよ」


 そんな話をしながら冬雅とサキは料理を食べて、その後、サキは凛子が寝ているテントに入って横になり、冬雅はもうひとつテントを出してその中に入って休憩する。

 冬雅はテントに入る前に、二つのテントのまわりに気配遮断結界を展開していた。このスキルは結界内の人の気配を外に出さないようにするスキルなのだが、その結界は低ランクモンスターなら破壊できないくらいの強度のバリアになっていた。さらに結界が破壊された時、スキル所持者の頭の中に警報が鳴り響くようになっているので、このスキルは野宿や休憩の時に役に立った。


 そして約二時間後、冬雅達はテントから出て、テントとテーブルと椅子を片づけてから、大地の洞窟の攻略を再開する。二番目のセーフエリアの先には、鋭いカマを持つ巨大なカマキリ、デスサイズマンティスや、強力な剣と強力な鎧だけが闇の力で動くモンスター、リビングナイトアーマーなどのBランクモンスターが出現したが冬雅達は問題なく倒し、その道中、彼等はレベルが29になり、凛子は新たな魔法を習得した。


「やった! フレイムブラスターを覚えた!」


 フレイムブラスター

 広範囲の敵を一瞬で灰にする火系最上級魔法

 MPを注げば注ぐだけ効果範囲が広がる

 消費MP 45~


「レベル30まであとひとつ」

「さあ、先に進もう」


 冬雅達はさらに大地の洞窟を進んでいく。すると通路の先から何者かが戦っているような声が聞こえてきた。彼等は警戒しながら進むと、岩や石がたくさんある広い場所の入口に到着した。さらにその場所は壁が発光していて、ライトを使わなくても明るかった。


「誰かいる!」

「モンスターと戦ってるみたい!」

「様子を見てみよう」


 凛子はライトを消して、冬雅が自分達の周囲に気配遮断結界を展開し、三人は広い場所の入口付近で身を潜めて中の様子を探る。すると男四人組の冒険者パーティが、六体の巨大な茶色のトカゲのモンスターと戦っていた。


「あれは……トカゲ?」

「あれはアースリザードだ!」


 アースリザードは別名、土トカゲとも呼ばれていて、体長が七メートル以上あり、体が硬いうろこでおおわれているBランクモンスターだった。


「うわわわわわ!」

「数が多すぎる!」

「この数、俺達じゃ無理だ! 逃げるぞ!」

「おう!」

「急げ!」


 六体のアースリザードと戦っていた四人組は、冬雅達がいる通路とは違う通路に向かって逃げていく。


「あの人達、助けなくていいの?」


 凛子が冬雅にそう質問する。


「ああ、冒険者はむやみに助けると、獲物を横取りする気か、とか色々トラブルが発生するかもしれないんだ」

「えー、冒険者って色々めんどいのね」

「アースリザードは動きが遅そうだから、逃げようと思えば逃げれるから、私達が助けなくても大丈夫でしょ」

「あー。確かにね。それで私達はどうする?」

「もちろん戦うよ。俺達なら倒せるはず」

「わかった、じゃあ広範囲魔法で……」

「ああ、火の魔法は駄目だからね。凛子の魔法の威力じゃ、酸欠になりそうだから」

「はいはい。ってあの敵、雷魔法って効く?」


 凛子はゆっくりと歩き回っている六体のアースリザードを見ながらサキにそう質問する。


「ああ、確かに土属性に雷は効かなそうね」


 サキはアースリザードの色と名前から、そう考える。


「いや、この世界に土属性ってなかったような」

「そうなの。じゃあ、雷魔法でいける?」

「ああ、土属性はなくても、雷属性を無効化する能力はあると思うから、効くかどうかはわからないよ」

「じゃあ、火も雷も使えなかったら、私マジックバインドくらいしか使えないんだけど」

「上級職の賢者になれば無属性魔法が使えるし、召喚士なら色々な属性の召喚獣が使えるはず」

「なるほど。じゃあ、もう少しの辛抱ね。今回はダブルマジックのマジックバインドで我慢するか」

「それなら、佐々木さんは六体のうちの二体を動けなくして、その間に俺と宮本さんが残り四体を倒そう」

「わかった」

「了解!」

「じゃあ、怪力! 加速!」

「堅牢!」

「マジックバインド!」



 次回 転職 に続く

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