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第〇〇三話 ゲートオブアルカディア

「あった! 服屋だ! 鍋島、俺、服を買いたいんだが」


 冬雅は大通りにある服屋を見つけ、そう話す。


「そうだな。この制服は目立ってるし、着替えたほうがいいか」

「私達も着替えよう」

「そうね。お金はあるんだし」


 冬雅達は全員でその大通りの服屋に入り、服を選び始める。


「制服はアイテムボックスにしまっておきたいけど、まだ使い方がわからない。とりあえず、かばんでも買っておくか。カモフラージュにもなるし」


 冬雅は上下の服と靴と共に、肩にかけるタイプのかばんも選び、中年の女店主が立っている店のカウンターに持っていく。


「いらっしゃい。あんた達、異国から来たのかい?」

「はい。それで、これ全部でいくらですか?」

「そうだねえ。150ゴールドでいいよ」

「ええと、150ゴールドって金貨で何枚ですか?」

「金貨一枚は100ゴールドだよ。あんた達の国では違うのかい?」

「はい。この国に来たばかりで買い物に慣れてなくて」


 そう言って冬雅は金貨二枚をポケットから出して女店主に渡す。


「なるほどね。じゃ、おつりの50ゴールドね」


 女店主は銀貨を五枚、冬雅に渡す。


(金貨一枚100ゴールド、銀貨一枚10ゴールドか。異世界ものの定番の鑑定のスキルがあれば、ぼったくりかどうかわかるんだけど、今はどうしようもない。1ゴールドの価値もまだわからないし)

「あと、さっそくこれに着替えたいんですが」

「なら奥を使っていいよ」

「ありがとうございます」


 店の奥の方にカーテンがあって、そこに着替えができるスペースがあった。冬雅はそこで買った服に着替え、今まで着ていた制服をかばんに入れる。


「俺もかばんを買おう」

「私も」


 冬雅がかばんを買ったのを見て、他の生徒達もかばんを買い始める。そして最初に着替えた冬雅は店を出る。すると周りの人々からの視線がなくなった。


「ふぅ、これで一息つけるか」


 冬雅は店の前で待ち、皆の買い物が終わってからまた全員で歩き出す。その後、しばらく歩いていると彼等は目的の噴水広場に到着した。


「でかい噴水だ」


 冬雅が噴水の前で周囲を見渡すと、冒険者ギルド、生産ギルド、商業ギルドが並んで立っているのが見えた。さらにその付近に宿屋、武器屋、雑貨屋、飯屋、食べ物の露店があった。


「ここが冒険者ギルドか。中には荒くれ達がいるんだろうな」

「じゃあ、中に入る前に武器と防具を買っておいたほうがいいだろ」

「確かにな。なめられたらまずいしな」

「私、のど湧いた」

「露店で何か買いましょうか」

「うん。あれは……オレンジジュースっぽいよ」

「でも冷たくなさそうね」


 生徒達が噴水広場でそんな話をしていると、鍋島が生徒達全員に話し始める。


「じゃあ、みんな。ここからは別行動だ。まあ、この辺りは施設が集まってて俺達はここを拠点として活動するから、また会うこともあるだろう。何か困ったことがあったら、遠慮なく言ってくれよ」

「おお、その時は頼りにさせてもらうよ」

「じゃあな」


 冒険者になることを決めた鍋島達は、噴水広場にある武器屋に入っていく。他の生徒達も雑貨屋や露店で買い物を始める。


「さて、生産ギルドに行く前に確認することがある」


 冬雅は、噴水広場にあるベンチにひとりで座る。


「ステータス、オープン!」


 冬雅はもう一度、ステータスボードを眺める。


「職業は間違いなく羊飼い……そしてアイテムボックスの使い方も気になるけど、それよりもこのゲートオブアルカディアのスキルだ。これが何のスキルで、どうやって使うのか……」


 冬雅はステータスボードのゲートオブアルカディアと書いてある文字をタッチしてみる。


「ん?」


 するとステータスボードにウィンドウが現れ、そこに文字と五十音表が表示される。


『あなたの名前を入力してください』

「これは……名前を入れてもいいものなのか……」


 冬雅は名前を入力する危険性を少し考える。


「うーん、このままじゃ何も起きないし入力してみるか。ニックネームとかじゃなく、本名を入れた方がいいのかな。ステータスボードの名前も本名だし」


 冬雅は五十音表を使って名前とフリガナを入力する。


『次に職業を選んでください』

「えっ? 職業?」


 表示されたウィンドウには戦闘職の職業がたくさん並んでいた。


「剣士、魔法使い、武闘家、狩人、僧侶、侍……って、この職業達は……」


 冬雅は表示された職業に見覚えがあった。


「これはゲートオブアルカディアの下級職だ。ここから職業を選べるのか?」


 冬雅はこれらの職業が、今まで遊んだゲームの中で一番好きなRPGであるゲートオブアルカディアの、ゲーム開始時に選べる職業だということに気付いた。


「なら、俺が一番好きな侍だ! これにする!」


 冬雅は侍の文字をタッチする。するとステータスボードに


 上泉冬雅かみいずみとうが  17歳  人間

 職業 侍

 称号 


 レベル   1

 HP  515/515

 MP   68/68


 攻撃力  20

 防御力  18

 魔力   17

 速さ   18


 経験値      0


 スキル

 言語理解 アイテムボックス

 ゲートオブアルカディア 斬撃強化


 と表示され、


『これでゲートオブアルカディアを始めますか? はい いいえ』


 と、メッセージウィンドウが表示された。冬雅は迷わず「はい」を選ぶ。するとステータスボードとウィンドウが閉じて彼の体が一瞬だけ光った。


「うおっ!」


 冬雅は思わず声を出してしまったが、周りに人がいなかったので注目を集めずに済んだ。


「……これでゲートオブアルカディアが始まったのか……そうだ。ステータス、オープン!」


 冬雅は自分のステータスボードを確認する。するとその職業欄に間違いなく「侍」の文字が書かれていた。


「や、やった! 転職できた! 侍の初期スキルも覚えてる!」


 斬撃強化

 斬撃属性攻撃の威力が30%上昇


 さらにステータスボードには


 装備

 布の服 防+2


 仲間

 なし


 という項目が追加されていた。


「この服の防御力は2しかないってことか。それと仲間がいない。ゲートオブアルカディアではストーリーが進むと仲間が増えるけど、ここではどうなるのか……」


 冬雅は今後のことを色々考えて、わくわくしなからステータスボードを見ている。するとステータスボードの隅にメールのようなマークがあるのに気付き、それをタッチする。すると、


『早期プレイ特典としてスキルをプレゼントします。下のスキルからひとつ選んでください』


 攻撃力強化

 防御力強化

 魔力強化

 速さ強化

 HP再生

 MP再生

 入手経験値増加

 金運上昇

 異性運上昇


 と、ウィンドウに表示された。


「こ、これは……」



 次回 重要な選択 に続く

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