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異世界でゲームのシステムで最強を目指す  作者: 霧野夜星


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第百二十二話 新たな世界

 冬雅達は、元の世界に帰ったら、スキルや魔法が使えるのかどうか心配になる。


「なら、帰ったらどうなるのか、女神様に聞いてみる?」

「聞いてみて、使えなくなるって言われても、帰らないっていう選択肢はないよ」

「まあそうか。あっ! おじいちゃんはどうするの?」

「ほえっ? わし?」

「そうだ。コロじいはこっちの世界の妖精だし、どうしたい?」

「ふむ。わしはこれからも、お嬢ちゃん達と一緒がいいのう」

「やった! じゃあ、一緒に行こう!」

「問題は、こっちの世界の妖精が、私達の世界に行けるのかってことね」

「身に着けてるものが持っていけるなら、おじいちゃんは私のポケットの中にいれば、いけるんじゃない?」

「戻ってもスキルが使えれば召喚すればいいんだけど、使えるかどうかわからないから、それがいいかもね」


 コロポックルも冬雅達と共に彼らの世界に行くことになった。


「じぁあ、そろそろ部屋に戻ろう。明日も斎藤君を探さないと」

「そうね。じゃあ、また明日」



 サキと凛子は冬雅の部屋を出ていき、日が暮れてその日が終わる。そして次の日も皆で王都の中を斎藤を探していると、鍋島達が東地区にいた斎藤を発見する。彼はグライン城にモンスターがあふれた時、逃げ出して東地区の小さな宿屋に逃げ込んでいた。


「これで全員そろった」

「後は二日後、みんなで教会に行くだけね」

「やっと帰れる!」

「帰る前に、リーナさん達にあいさつしておこう」


 冬雅達は、グライン城のリーナがいる豪華な応接室までやってくる。そこにはリーナのほかにシャルロッテ達もいた。


「おお、トウガ達か。今日はどうした?」

「はい。実は……」


 冬雅は、リーナ達に自分達が勇者召喚により異世界から来て、もうすぐ元の世界に帰るということを伝える。


「なるほど。お前達の力は異世界の力だったのか。どうりで規格外だったわけだ」

「勇者召喚……」


 リーナは冬雅の話に驚き、シャルロッテは考え込んでいる。


「この世界を管理する女神アフロディーテ様か。名前は聞いたことがあるが、実際に会話するとは、さすが規格外だな。というか二日後に帰るのか。もう戻ってくることもないだろうな」

「はい。今までお世話になりました。それでグライン王国軍との戦いは、どうなりそうですか」

「ああ、そのことは心配しなくていいぞ。西グライン砦にいる奴らは、おそらく戦わずに降伏するだろう」


 三か国連合は、西グライン砦に集まっているグライン王国軍へ長距離通信で降伏勧告をし、今、軍を率いているモアレ副団長が降伏する方向で話を進めていると連絡があった。今までグライン王国の舵を取っていたアンサズ宰相とゼル将軍がいなくなり、国王も行方不明で、モアレ副団長では軍をまとめきれず、彼らにとても三か国連合と戦う力はなかった。


「それはよかった。これで安心して帰れます」

「うむ。二日後か。なら見送りに行ってやろうか」

「いえ、俺達と一緒にいると、リーナさんたちも一緒に俺達の世界に行くことになるかもしれませんよ」

「ああ、それはまずいな。じゃあ、お別れパーティーを……」

「そういう騒がしいのはいいです」

「そうか。なら寂しくなるな」


 冬雅達とリーナ達は、それぞれ別れを惜しむ。


「サキ、リンコ」


 シャルロッテがふたりに近寄り小声で話す。


「Sランク冒険者でも、さすがに異世界までは行けないから私はあきらめる。トウガ君のことは二人にまかせるわ」

「なっ、私はそんなんじゃないとあれほど……」

「オッケー、まかせといて!」


 シャルロッテの言葉にサキは戸惑い、凛子は軽い返事をする。その後、シャルロッテが冬雅に近づく。


「トウガ君、色々ありがとう。向こうに戻っても元気でね」

「はい。シャルロッテさんもお元気で」


 冬雅とシャルロッテは握手をして別れの挨拶をする。


「とは言っても帰るのは二日後なので、ここで別れの挨拶をしちゃうと、明日偶然町で会って気まずい雰囲気に……」

「ふふふ、その時はまたお別れの挨拶をしましょ」


 その後、冬雅達はグライン城を出て宿屋に帰ってその日が終わり、次の日は買い物など色々帰る準備をして時が過ぎ、さらに次の日、冬雅達はクラスメイト全員と西地区の教会に来ていた。


「みんな。準備はいい?」

「おう」

「さあ帰ろう」


 冬雅達は全員、高校の紺のブレザーの制服を着ていた。クラスメイトの中には着ていた制服を売って生活費にしていた者もいたが、生産職のクラスメイトが制服に似てる服を高校の制服に作り変え、なんとか全員分用意できた。

 さらに冬雅は軍神の指輪を指に装備していて、サキと凛子は魔法のかばんを持っている。そして凛子の制服のポケットの中にはコロポックルがいる。


「女神様、こちらの準備はできました」

「「聞こえています。では始めましょう。みなさん、眼を閉じてください。今からあなたたちの体が発光して、その光が消えたら元の世界に戻っていることでしょう」」


 冬雅達は全員が眼を閉じる。すると彼らの体が発光して数秒後、彼等が眼を開けると、そこは日本の高校の教室だった。


「まっ、まぶし……」


 教室の教壇に立っている眼鏡をかけた中年の英語の先生が、教室の中が発光してそのまぶしさで目をつぶる。その間に冬雅達は自分の席に座り、何事もなかったかのように静かにしている。本来なら元の世界に戻ってきたら、その嬉しさで騒ぐのだが、冬雅達はこの状況を想定していて、事前にその行動を決めていた。


「むっ、今のは……外の光が反射してきたのか?」


 英語の先生は眼鏡を外し、眼をこすりながら窓の外の方を見ている。


(教室だ!)

(やった! 戻ってきた!)


 一方、冬雅やそのクラスメイト達は、心の中で喜んでいる。


(コロじいは?)


 冬雅が凛子の座っている席の方を見ると、彼女は親指を立てて冬雅の方

を見て微笑む。そして彼女のポケットの中にコロポックルがいるのを冬雅は確認する。


(コロじいも来れたか。よかった。次は……)

「ステータスオープン」


 冬雅は小声でステータスボードを呼び出そうとする。すると彼の目の前に依然と変わらないステータスボードが表示された。


(やった! 向こうで見たままのステータスボードだ! よし、じゃあ……収納)


 冬雅は右手の指に装備していた「軍神の指輪」をアイテムボックスに収納する。


(収納できた! スキルも使える!)


 冬雅はこちらの世界でもスキルが使えることを確認する。そして英語の授業が終わり、中年の教師が教室を出た瞬間、


「やった! 戻ってきた!」

「うおおおおお!」

「何とかごまかせたな」

「よかった!」


 生徒達の歓声が上がる。そして冬雅は、サキと凛子のいる場所に走っていく。


「コロじいも来れてよかった」

「ここがトウガ達の世界なんじゃな。かなり変わっとるの」

「驚くのはまだまだこれからだよ。外に出たら、前の世界とは全然違うから」

「うむ。それは楽しみじゃのう」

「みんな無事に戻って来れてよかった。魔法のかばんも使えるし、いいことだらけだよ」


 サキと凛子も、授業中に魔法のかばんが使えることを確認していた。


「でもほかの人達には、俺達のことばれないようにしないと」

「わかってる。人前では気を付けましょ」



 それから数日後、冬雅達は平穏な日々を過ごしていたが、そのさなか、驚くべきことがおこった。世界中に異世界にあったような塔や地下迷宮などのダンジョンが出現したのである。そしてダンジョンの中にはさまざまなモンスターがいて、各国の軍隊はダンジョンに入り、モンスターとの戦いが始まった。


「女神様が行っていた因果って、このことだったのね」

「この世界と異世界が繋がった、みたいなものか」

「だから魔法やスキルも使えるのかもね」


 冬雅、サキ、凛子、コロポックルは、学校の教室でスマホでニュースを見ながら話している。



 その後、出現したダンジョンは、空爆やミサイルなど人間の兵器では破壊できないことがわかり、さらに高難易度ダンジョンにいる高ランクモンスターにも人間の銃火器が効かず、各国の軍隊は高難易度ダンジョンから撤退した。するとそのダンジョンからモンスターが地上に出てくるようになり、人間達はその周囲の地域を捨てて廃墟都市が各地に存在するこになる。そのことによりダンジョンは定期的にモンスターを減らさないとモンスターが外に出てしまうということが判明した。


 そしてその同時期、人間達の中に魔法やスキルを使える者が現れ、彼らは覚醒者と呼ばれるようになる。そしてその覚醒者の中に、高ランクモンスターを倒せる者が出現し始める。


「覚醒者協会が作られるんだって。そこに登録すれば、民間人もダンジョンに入れるようになるみたい」

「私達も行ってみる?」

「行こう! ダンジョンの中なら、久しぶりに魔法が使える!」

「でもあんまり目立つのはやだから、高難易度ダンジョンで戦う時はまた変装したほうがいいかな。ちょうど変装の仮面もあるし」

「あっ、私も変装してみたい!」

「ホッホッホッ。トウガ達と一緒じゃと退屈せぬのう」


 冬雅、サキ、凛子、コロポックルは、今後、日本各地に作られる覚醒者協会で覚醒者登録をすることにした。




 異世界でゲームのシステムで最強を目指す 完

 筆者の三作目のライトノベル「異世界でゲームのシステムで最強を目指す」無事、完結ました。

 ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました。


 今回の反省点といえば、ヴァンパイアロードとの最終決戦のボリュームが少なかったことです。機会があれば書き直したいんですが、いいアイデアも思い浮かばないので、しばらくはこのままにしときます。


 さて次回作ですが、ローファンタジー物になります。今は設定とか色々考えながら準備中です。第一話が公開されたらここにリンクを貼っておきます。では次回作でまた会いましょう。


 第一作目 魔法学校の大天使(完結したけど、書き直し中)

 https://ncode.syosetu.com/n5952dj/

 第二作目 最強エルフとスキルを失った冒険者(完)

 https://ncode.syosetu.com/n3728fy/

 第三作目 異世界でゲームのシステムで最強を目指す(完)

 https://ncode.syosetu.com/n9711hv/

 第四作目 覚醒者学校の唯一無二の生徒

 https://ncode.syosetu.com/n2535ka/


 2025 01 19 霧野夜星

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