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第百十八話 因果の刃

「ギャアアアアアアア!」


 ヴァンパイアロードの全身に無数の高速斬撃が直撃する。彼はアンサズ宰相の人間の体を、強靭なヴァンパイアの肉体に変化させていたが、全身のあちこちをを斬られたヴァンパイアロードは、それが致命傷となり地面に仰向けに倒れた。


「!!!!」


 さらに地面の上を移動していたこうもりの影もバラバラに斬られて、その影に宿っていたヴァンパイアロードの魂も切り刻まれて消滅した。これは冬雅が使った因果の刃の効果だった。そして冬雅達の頭の中にレベルアップの効果音が鳴り響く。


「やった! ヴァンパイアロードを倒した!」

「もう周りに敵はいないし、確認してみよう」


 冬雅は気配察知のスキルを使って周囲を探ってみたが、人もモンスターの気配も感知できなかった。


「レベル78になった!」

「でもスキルは覚えてない」

「私も」


 冬雅、サキ、凛子はレベル78になり、コロポックルはレベル76になっていた。


「レジェンドオブアルカディアでは、もう新たなスキルは覚えないレベルだよ。クリア後の隠しボスを倒せるレベルだし」

「じゃあ、新しいスキルがないなら討伐報酬をもらいましょ」


 冬雅達は倒れているヴァンパイアロードのそばに近寄る。


『ヴァンパイア変異種、ネームドモンスター、ヴァンパイアロードの討伐報酬をひとつ選んでください。

 死神のカマ×1

 ランダムスキル強化オーブ×1

 吸血鬼の指輪×1』


「死神のカマと吸血鬼の指輪は、どっちも俺達が使うには危なさそうな装備だ」

「じゃあ、ランダムスキル強化オーブ?」

「たぶん習得してるスキルのどれかを強くしてくれるアイテムだと思う」

「いいじゃん。それにしよ」

「わかった」


 冬雅はランダムスキル強化オーブを選択して入手する。


「後はあっちのグレーターデーモン変異種だ」


『Sランクモンスター、グレーターデーモン変異種の討伐報酬をひとつ選んでください。

 デビルクロー×1

 黄金の指輪×1

 魔法王のネックレス×1』


「魔法王のネックレスは私が持ってるやつだよね。それがもう一つあれば、サキが合成してもっと強いのができるんじゃない?」

「ならこれにしよう」


 冬雅は魔法王のネックレスを選択して入手する。


「後は外で倒したやつのも取りに行こう」


 冬雅達はそれぞれの馬を召喚し、グライン城を出て大通りを東へ進んでいく。すると王都ニルヴァナの東門が開いていて、メイル国の騎士、五十人程度が待機していた。


「東門から外に出れそうだ」

「あの人たちにリーナさんのことを聞いてみよう」


 冬雅達はメイル国の騎士達から、リーナが南へ、シャルロッテ達が北へ援軍に向かったことを聞く。


「南と北にはSランクモンスターはいないって言ってたから急ぐ必要はない。討伐報酬をもらっておこう」


 冬雅達はまずヨルムンガンドが倒れている場所に移動する。


『Sランクモンスター、ヨルムンガンドの討伐報酬をひとつ選んでください。

 毒蛇の短剣×1

 毒蛇皮の鎧×1

 エリクサー×1』


「はぁ。また宝石はなしか」

「この中なら、エリクサーかな。いざという時のために持ってたほうがいいと思う」

「わかった」


 冬雅は、HPとMPを全快させ、状態異常をすべて治す回復薬、エリクサーを選択して入手する。その後、彼等はキマイラ変異種が倒れている場所に移動する。

 

『Sランクモンスター、キマイラ変異種の討伐報酬をひとつ選んでください。

 変装の仮面×1

 業火の槍×1

 大地の戦斧×1』


「槍と斧は誰も使えないから、変装の仮面がいいかな。何かに役にたつかもしれないし」

「変装って面白そう。後で試してみよ」


 冬雅は変装の仮面を選択して入手する。


「よし。じゃあ、リーナさん達と合流しよう」


 冬雅達は馬を走らせ、王都ニルヴァナの東側から南側へ行くと、そこでは戦闘は終わっていたので、そこからさらに西側に移動する。するとメイル国軍、ラヴァ帝国軍、聖王国軍、シャルロッテ達と黄龍がモンスター軍団と戦っていたが、生き残っているモンスターは少数で、すでに勝敗は決まっていた。


「もう終わりそう」

「おじいちゃんがいるんだから、そりゃ勝てるでしょ」

「リーナさんは……」

「あ、あそこ」


 サキが望遠眼でリーナの姿を見つけ、三人はリーナがいる場所に馬を走らせていく。


「リーナ師匠!」

「おお! お前達か。グライン城の様子はどうだった?」

「ヴァンパイアロードが、アンサズ宰相の体を乗っ取ってましたが、それを倒しました」

「は?」

「それとヴァンパイアロードがグレーターデーモン変異種を召喚したんですが、それも倒しました」

「そ、そうか。それでグライン城は?」

「中庭まで入ったんですが、そこでは人の気配もモンスターの気配も感じませんでした」

「ふむ。ならグライン城の中を調べる必要があるな。よし、メイル国騎士団! 隊列を組め! 王都ニルヴァナに入るぞ!」


 すでに王都ニルヴァナの西の城門も開かれていて、リーナは残ってる敵はラヴァ帝国軍と聖王国軍とシャルロッテ達にまかせ、西門からグライン城へ向けて進軍する。


「おじいちゃん! もういいよ!」


 凛子のその言葉を聞いて、空中に浮いていた黄龍は小さくなっていき、コロポックルの姿に戻って、アンヴァルに乗っている凛子の肩に乗る。


「ふぅ、今回はわし、疲れたぞい」

「長く変身してたもんね。ゆっくり休んで」

「うむ」

「よし、俺達もリーナさん達についていこう」


 冬雅達も馬に乗って西門からグライン城へ向かって移動していく。その様子を王都内に残って建物の中にいた人々が見ている。


「あれはメイル国軍だ」

「もう戦いは終わったのか?」

「わからない。もう少し様子を見よう」


 建物の中に隠れている人々は、グライン城へ進軍していくメイル国軍の様子をうかがっている。


「リーナ団長!」


 リーナ達がグライン城の中庭に入ると、先に王都に侵入していた偵察部隊が、倒れているヴァンパイア化したアンサズ宰相とグレーターデーモン変異種のそばにいた。


「こいつらがお前たちが倒したと言ってた奴らか」

「はい。アンサズ宰相の体を乗っ取っていたヴァンパイアロードも間違いなく倒しました」



 次回 投降兵 に続く

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