表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
117/122

第百十七話 カオスの凶手

「マジックミラー!」


 凛子はヴァンパイアロードが雷系最上級魔法を放つ直前に、自分たちの前に壁状のバリアを展開する。それに放たれた大量の雷が命中し、その瞬間、反射してヴァンパイアロードへ飛んでいく。


「ガガガガガガ!」


 自分が放った雷を自分で受けて、ヴァンパイアロードは全身が感電しダメージを受ける。


「やった! 上手くいった!」

「雷魔法なんて、よく反射できたわね」

「タイミングバッチリだったでしょ。放たれた雷を見てからバリアを張るなんて出来ないから、あいつがライトニ……って言ったところで展開したの」

「よし! 今のうちに追撃……むっ!」


 冬雅がダメージを受けた直後のヴァンパイアロードに突撃していくが、ヴァンパイアロードの全身から今まで以上のまがまがしいオーラが放出されたので、十メートルくらい走った所で踏みとどまる。

 

「お、おのれ……遊びはここまでだ。貴様らに原初神カオスの本当の力を見せてやる。うおおおおおおおおおおおお!」


 ヴァンパイアロードが乗っ取っていたアンサズ宰相の肌が青色に変わり、口の中に二本の牙が出現し、彼は完全にモンスターの姿に変わる。するとヴァンパイアロードのまとう原初神カオスのオーラがどんどん巨大化し、六メートルを超える悪魔のような上半身の姿のオーラに変化した。


「あれが原初神カオスの姿か!」

「あれはヤバい! 私達の装備は、物理や魔法には耐性があるけど、あのオーラの耐性はたぶんないよ!」

「ふははははは! これでもくらえ! カオスの凶手!」


 ヴァンパイアロードは、冬雅達を狙って原初神カオスのまがまがしい巨大なオーラの右手を伸ばして攻撃する。


「竜牙一閃!」


 その伸びてくるオーラの右手を、サキと凛子の前にいる冬雅が横によけて、そこから魔力をまとわせたメタトロンブレードの斬撃を放つ。それでオーラの右手を切り裂いたが、残っているオーラの腕が、そのままサキと凛子へ向けてまだ伸びていく。


「ミラクルガード!」


 サキはカオスの凶手を精霊神の盾で防御し、その後、彼女のHPが自動で回復する。だが彼女の全身に受けた衝撃が思った以上に強く、それでは完全回復はできなかった。


「ぐっ!」

「サ、サキ!」

「だ、大丈夫……。上泉君のおかげで威力が弱まってたし」


 サキは腰の魔法のかばんからハイポーションを出して飲んで、失ったHPを回復する。


(カオスの凶手……あれはやばい。何度も受けられる技じゃない)


 そう考えた冬雅は、ヴァンパイアロードに猛スピードで突撃する。彼は攻撃される前に自分から攻撃しようと考えた。


(俺の速さなら、あの手もよけられる!)


 冬雅が再び突撃していくと、原初神カオスの右手が伸びていき、冬雅に襲い掛かる。それを冬雅は高速の動きでかわし、高所から放たれたオーラの右手が地面に突き刺さる。その直後、ヴァンパイアロードは今度は左手のカオスの凶手で冬雅を狙うが、彼はその攻撃を再び高速の動きでかわし、オーラの左手も地面に突き刺さる。


「よし! 竜牙……」


 冬雅はヴァンパイアロードの両手の攻撃をよけた直後、スキルを使って攻撃しようとする。するとヴァンパイアロードがまとっていた原初神カオスの上半身の姿のオーラの手が、いつの間にか四本に増えていた。


「なっ!」

「カオスの凶手!」


 ヴァンパイアロードは冬雅を狙って二本目の右手でカオスの凶手を放つ。


「うおっ!」


 それを冬雅は攻撃をキャンセルしてぎりぎりでかわす。だが彼はその動きで態勢が崩れてしまう。


「しまっ……」

「これで終わりだ! カオスの凶手!」


 ヴァンパイアロードは、態勢が崩れた冬雅を狙って、二本目のオーラの左手を放つ。


「ぜ、絶対回避!」


 その瞬間、冬雅は絶対回避のスキルを発動し、その場から一瞬で移動して四回目のカオスの凶手を回避した。


 絶対回避

 すべての攻撃を一度だけ完全回避する

 必中攻撃も回避できる

 クールタイム 三時間

 消費MP40


「何っ、バカな!」


 態勢が崩れた格好のまま、冬雅は一瞬でヴァンパイアロードから十メートルくらい離れた場所に移動していた。


「ヘカーテ召喚!」


 その冬雅とヴァンパイアロードの攻防の隙に、凛子は女子中学生の夏のセーラー服を着た姿の魔王ヘカーテを召喚する。


「ヘカーテ! あいつを倒して!」

「ふーん。あれは神の力みたいね。なら!」


 ヴァンパイアロードが身にまとう原初神カオスのオーラを見たヘカーテは、全身から膨大な魔力を放出してそれを放つ。


「月の魔力の暴風!」


 ヘカーテの魔力が暴風となって放たれ、ヴァンパイアロードが身にまとっていた原初神カオスのオーラをすべて吹き飛ばす。


「ぐあああああああ!!」


 一方、サキはウルスラグナを召喚してその背中に乗り、右手にドラゴンブレイカー、左手に光の剣を持ってそれぞれの剣に魔力をまとわせ、それを二本とも体の右側で水平に構えて振りかぶる。


「ウルスラグナ!」

「ヒヒーーーン!」


 サキを乗せたウルスラグナがヴァンパイアロードに突撃し、彼女はすれ違いざまに水平にした二本の剣を振るう。


「ソウルブレイク!!」


 サキは魂をも切り裂く必殺の斬撃を二刀流で放つ。今の彼女は二刀流で攻撃力が増し、さらに人馬一体のスキルでその威力が上昇していた。


「ぎぁああああああああ!」


 体を魂ごと斬られて、ヴァンパイアロードは致命傷に近いダメージを受ける。


(な、なんて技だ……このままではやられる)


 ヴァンパイアロードは身の危険を感じ、自分の影からこうもりの姿をした影に自分の魂を分けて、密かに地面の上を移動させて逃がす。


「あっ、レベルアップした!」

「だぶん、おじいちゃんが外でモンスターをいっぱい倒したからだよ」


 黄龍が西側にいたモンスターの大軍に聖光のブレスを吐いて数千体を倒したので、彼らのレベルも上がる。


「奴がまた神の力をまとう前に、この一撃で決める」


 冬雅はメタトロンブレードに魔力をまとわせ、さらにスキルを発動する。


「因果の刃!」


 冬雅はヴァンパイアロードの分魂対策にこのスキルを使うことを戦いの前から決めていた。


 因果の刃

 十五分間、分身や分体にダメージを与えた時、

 本体にも同等のダメージを与える

 消費MP 35


「はっ!」


 冬雅は一瞬でヴァンパイアロードに接近し、サキの必殺技を受けてふらついている状態のヴァンパイアロードに、絶対に避けられない高速の連続斬撃を放つ。


天羽々斬(あめのはばきり)!!」



 次回 因果の刃 に続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ