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第〇〇百話 最下層

「竜牙一閃!」


 冬雅はオリハルコンの剣に魔力をまとわせ、高速飛行で向かってくる黄金の鳥を狙って斬撃を放つ。


「キュオーーーーン!」


 その斬撃を黄金の鳥は、直角に飛ぶ方向を変えて回避する。黄金の鳥はジェットターンというスキルを使っていて、常識を超える軌道で空を飛ぶことができた。


「逃がすか!」


 冬雅は猛スピードで走り出し、飛んでいる黄金の鳥を追うため、迷宮の通路の壁を駆け上がってまた斬撃を放つ。


「ピギャアーーー!」


 冬雅が放った斬撃が、黄金の鳥に命中する。だが黄金の羽根で覆われた黄金の鳥の体は硬く、彼の今の斬撃では致命傷を与えられなかった。黄金の鳥はダメージを受けながらも、冬雅から距離を取るように飛んでいく。


「上泉! 壁を走ってたよ!」

「あれは忍者のスキルでしょ」


 冬雅は軽業と忍者歩法のスキルで、壁を走り、高速の空中戦が可能になっていた。


 軽業かるわざ

 速さ30%上昇

 バランス感覚超強化


 忍者歩法

 壁や水の上などを走ることができる


「キュオーーーーン!!」


 黄金の鳥は再び全身に白いオーラをまとい、冬雅へ向かって高速飛行で突撃する。


「今度こそ斬る!」


 冬雅も黄金の鳥を迎え撃つため、再びオリハルコンの剣に魔力をまとわせて構える。すると黄金の鳥は、冬雅の目前で直角移動飛行を繰り返して、狙いを冬雅の後方にいるサキと凛子に変える。


「させるか! 天羽々斬(あめのはばきり)!!」」


 冬雅は、通り過ぎようとする黄金の鳥を狙って、必ず命中する無数の高速斬撃を放つ。その必殺の斬撃が黄金の鳥の体を切り裂く。


「ピエーーーン!」


 全身を斬られた黄金の鳥は、落下して床に激突する。そして冬雅達の頭の中にレベルアップの効果音が鳴り響く。


「よし! 倒した!」

「レベルが上がった!」

「確認してみよ!」

「わしもじゃ!」


 冬雅達はステータスボードを表示する。すると冬雅、サキ、凛子はレベル67、コロポックルはレベル64になっていた。


「二つも上がってる!」

「スキルも覚えたよ!」

「私も!」

「俺もだ!」


 冬雅

 絶対回避

 すべての攻撃を一度だけ完全回避する

 必中攻撃も回避できる

 クールタイム 三時間

 消費MP40


 サキ

 ミラクルガード

 敵の攻撃を防御した後、HPが大回復する

 消費MP35


 凛子

 クリアフォース

 相手単体の能力強化効果を打ち消す 

 消費MP30


「すべての攻撃を回避! 凄いけど、クールタイムが三時間か。これは考えて使う必要があるな」

「私は癒しの盾が、ミラクルガードに上書きされたみたい」

「私のクリアフォースも凄いよ! 強い奴はだいたい強化魔法使うし」

「わしは今回は何も覚えんかった。まあ、昨日覚えたばかりじゃからのう」


 冬雅はステータスボードを確認した後、地面に倒れている黄金の鳥の死骸を回収する。


 ゴールデンバード×1


「ゴールデンバードだって。経験値をいっぱいもらえたから、たぶんレアモンスターだと思う。俺が買ったモンスター図鑑には載ってなかったし」

「レアモンスターか。じゃあ、何匹も倒してレベルアップというのは難しいかな。ああ、そういえは凛子は黄金には興味ないの?」

「うーん。私はあんまり……」


 凛子は色々な輝きをを放つ宝石のほうが好きだった。


「さあ、探索を続けよう」


 冬雅達は地下二十八階の探索を再開し、火の上級精霊イフリートや、身長が二メートルくらいで動きが速いスリムな人型のゴーレム、キラーゴーレムなどのAランクモンスターを倒しながら進んでいく。そしてついに地下三十階のボス部屋の前にあるセーフエリアに到着した。


「はー、三十階も広かった」

「それだけ宝箱もいっぱい見つけたからいいでしょ」


 冬雅達は地下二十七階のセーフエリアからここに来るまで、十個の宝箱を見つけていた。


 破壊神の指輪×1

 魔法神の指輪×1

 サファイア×1

 マジックテント×1

 大地裂断のスキルブック×1

 槍法・六連突きのスキルブック×1

 魔神の鎧×1

 竜神の冠×1

 大賢者のマント×1

 戦神の胸当て×1

 


「マジックテントを見つけられて良かった。もしなかったら、またここで探さないといけなかったよ」

「見つけたスキルブックが、私達じゃ使えないのがなー」


 大地裂断は斧の攻撃スキルで、槍法・六連突きは槍のスキルなので、冬雅達には必要なかった。


「それでこれからどうする? あとはボスを倒すだけよね」

「普通ならここで一泊して疲れを癒してから、次の日にボス戦だろうけど、すぐに倒せると思うから、少し休憩したらボスと戦おう」

「なら上泉のマジックテントの出番はなしか」

「まあ、中の家具がまだないから、この次かな」


 冬雅達はセーフエリアの中央にある女神像の周りで休憩し、念のためポーションでHPやMPを完全回復させてから、セーフエリアを出てボス部屋の前の扉を開ける。すると広いボス部屋の中央に、頭に二本の角を持ち巨大な獣型のSランクモンスター、ベヒモスがいた。


「グオオオオオオオオオオ!」

黄泉比良坂よもつひらさか!!」


 冬雅はいきなりスキルを発動する。すると周囲の気温が数度下がり、彼の目の前に二本の石の柱が出現し、その間から巨大な白い女性の手が現れて伸びていってベヒモスの魂をつかみ、そのまま石の柱の間に引きずり込んで消滅する。そして魂を抜かれたベヒモスの体は床に倒れ、冬雅達の頭の中にレベルアップの効果音が鳴り響く。


「いきなり倒した!」

「レベルも上がったよ!」

「何度見ても凄いスキルじゃの」

「ステータスボードを確認しよう」


 冬雅、サキ、凛子はレベル68、コロポックルはレベル65になった。


「スキルは覚えなかったか」

「まあ、ゴールデンバードで覚えたばかりだからね」

「じゃあ、ボスの討伐報酬をもらおう」


 冬雅は倒れているベヒモスの死骸のそばに近寄る。


『迷宮都市ヘルムの大迷宮、地下三十階ダンジョンボス討伐報酬をひとつ選んでください。

 星をも砕く杖×1

 女神ガイアの鞭×1

 天空神の槍×1』


「鞭と槍は誰も使えないから、杖一択かな」

「やった! 私の!」

「星を砕くって、凄い名前」


 冬雅は「星をも砕く杖」を選択し、アイテムボックスから取り出して凛子に渡す。


「おー! おしゃれ! いい!」


 星をも砕く杖は、杖の先が黄色の三日月の形になっていて、杖自体は鮮やかな青色だった。


 星をも砕く杖 攻+85 魔+50 魔法強化40%


「杖なのに攻撃力85だって!」

「凄っ! 私のドラゴンブレイカーが攻撃力95だから、あんまり変わらないよ」

「まあ、私の力は低いから、サキと同じようにはダメージは出ないと思うけど」

「それでも、いざという時、役に立つかもしれない。じゃあ、次はダンジョンクリアの宝箱を開けよう」

「ああ、あれね」

「何が入ってるのか、楽しみ!」


 冬雅達はボス部屋の奥に設置されている大きい宝箱の前に移動して蓋を開ける。すると白色の盾と鎧一式が入っていた。


 精霊神の鎧 防+80 物理耐性30%

 精霊神の盾 防+55 ブレス・魔法耐性30%


「これは宮本さん用の装備かな」

「じゃあ、私が使わせてもらうね」



 次回 Sランクの魔石 に続く

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