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【ムスターファ】って何語ですか?

 【QUEEN】には、【ライブ・キラーズ】の次に【ジャズ】という、比較的ハードなナンバーが多く収録されたアルバムから入りました。

 もちろん、その二枚にもバラードやカントリー、それに【ムスターファ】なるなんの部類に入るのか分からない名曲も入っていますので、【QUEEN】はバラエティに富んでいて、普通のロックグループではないと中学生ながらも思ったものです。

 

 で、次に聴いたのがヤスが買った【オペラ座の夜】です。


 【ライブ・キラーズ】や【ジャズ】、そしてFMラジオのエアチェックで数曲のシングル曲を聴いただけの私としては、【QUEEN】とはロックグループとの認識でした。

 雑誌なんかでもロックグループと紹介されていましたし、そうなんだろうと思っていたのです。


 けど【オペラ座の夜】を通して聴いた私は、【QUEEN】は普通のロックグループではないどころか、ロックグループでさえない思いました。

 そして分かった気がしたのです。雑誌で目にするほど私の周りに【QUEEN】】ファンのいない理由が。


 思春期真っ只中の中学生は、洋楽を聞くというよりも色々なストレスの発散方法の一つとしてロックを聞くことにあったのではと思います。

 洋楽好きというよりもロックが好き、いえ、ハードロックが好きばかりだったのではないでしょうか。

 と、なるとクイーンの代表的なアルバムと言われる【オペラ座の夜】はそこに当てはまらない気がするのです。

 もっと大人の雰囲気っていうか、お洒落っていうか……そんな感じですね。

 いえ、私は好きでしたし、今でももちろん好きです。ハードなナンバーもありますが、そればかりじゃないところが【QUEEN】なんですしね。

 ですが中学当時の周りの友人は、もっとハードなナンバーを聞いていました。

 反体制というか斜に構えるというか、とにかく、ロックは格好良かったのです。

 【ビリー・ジョエル】も良かったけど、ハードロックを欲していたのです。

 バンドで演奏されるような、自分たちでもコピーできるような曲を演奏してるバンドを求めていたのです。


 基本、みんなが【スモーク・オン・ザ・ウォーター】を自ら演奏したがったのです。


 そしてそれは私にも言えるところがあって……【QUEEN】ファンではあるものの、やはり反体制に憧れる思春期を迎えた私も……


 話を戻します。


 ヤスの親父殿の紹介で、その年の冬休みに二人してアルバイトをすることになりました。

 【ロック】=【不良】という方程式が成り立っていた当時、【アルバイト】=【不良】という方程式も同時に存在していました。

 なので、ヤスの母親殿がアルバイトをして良いと言うとは、本当に思ってもいないことでした。


 そして我が家はというと、


「ねぇ、アルバイトしたいんだけど。ほら、ヤスの家の人が紹介してくれるって言うで、良いでしょう」

「なんだぁ、バイトって。なんのバイトするんだて」

「漬物屋のバイト。漬物売るんだって」

「ほんなら余ったら貰えるかもな。おお、貰ってきてちょう」

「ほんなん知らんがや。で、良いでしょう、バイト」

「どこの店だて」

「お店っていうか、ほら、百貨店とかデパートとかの食品売り場に出店で出ているのあるでしょう。あれ、あれで漬物屋」

「ほおん。ええんじゃないのか。遅刻せんで行かなかんぞ」


 と、あっさりと許可が出たのでした。

 息子に感心がないとかではありませんでしたけど、ドライというかなんというか、まあ、そんな感じの親子関係だったのです。

  

 冬休みに入ると私はヤスと共に漬物屋のバイトを始めました。

 親父殿に説明した通り、百貨店等の食品売り場に出店する漬物屋のバイトです。漬物を売るだけでしたから、難しい仕事ではありません。ただ、一日中立っていることが思った以上に重労働だった印象があります。

 当時のバイト代の相場は知りませんけど、中学生にしては大金の日給3500円が貰えました。

 そして一週間働き、その年の大みそかには25000円程の大金を手にすることが出来たのです。

 

 我が家はエニ君家ほど裕福ではありませんでしたけど、中学生が働いて家計を助ける必要はありませんでしたし、それにお年玉も貰えましたしクリスマスプレゼントも貰えましたから、アルバイトをしなくても、それなりに楽しい年末年始を過ごすことが出来ていました。

 

 ではなぜアルバイトなんかとしたのかというと……


 年が明けて正月三が日が過ぎた頃でしょうか、私はヤスとともに自転車で北区の瑠璃光町というところにあった太陽サウンドオンというお店に行ったのです。


「ヤス、お年玉とあわせて幾らになった?」

「俺は4万円ぐらいかな。ヨッシーは?」

「一緒ぐらい。で、ヤスは何買うか決まったんかて」

「良くわからん。やっぱ値段かな」

「アンプも買わないかんだろう、他何がいるんかな」

「ジャンプの裏表紙のセットのやつでも良かったかも」

「でも評判良くないしな」

「ああ」


 太陽サウンドオンというのは大きな電気屋さんで、レコードも売っていて、そして楽器も売っていました。

 で、私とヤスの目的はというと……


「ヨッシーは何か決めたんかて」

「ああ、ストラトかレスポールかって思ってとるけど」

「どこのやつ買うんだて」

「グレコかアリプロか安い方」


 そうです。

 私はエレキギターを、そしてヤスはエレキベースを買うことにしたのです。

 そのためにアルバイトをしたのです。


 やはり中学生ですから、格好が良ければそれで夢中になります。

 エニ君の演奏テクニックはさておき、やはりエレキギターを弾いている姿は格好が良く、いつか自分でも弾きたいとずっと頭にあったのです。

 しかしエレキギターはお年玉やお小遣いを溜めても簡単に買えるものではなく、いつか買えたらと、その程度に思っていました。

 そのいつかが、ヤスの親父殿の紹介でアルバイトをすることで、急に舞い込んできたというわけなのでした。


 で、私はエレキギターを買ったわけですが……


 当時は日本でもコピー商品というものが堂々と売ってました。有名ブランドのフェンダーやギブソンのギターをそのままコピーして、ストラトモデルやレスポールモデルといって大手有名楽器メーカーが売っていたのです。

 で、その頃の日本のコピー技術は非常に高く、当時の商品は今でもジャパニーズビンテージといって価値が高いとのことです。

 私は太陽サウンドオンでグレコのストラトを買ったのですが、貧乏性の物持ちの良さから今でも我が息子が使っていまして、先日楽器屋に持っていたら羨ましがられたと言っておりました。


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