賛否両論の【ホット・スぺース】です
高校一年の思い出と言えば【ホット・スペース】です。
高校になり新生活が始まったり、新しい友人ムッチャンと知り合えたり、【浜田省吾】にはまったりもしましたが、それでも高校一年の思い出はやっぱり【ホット・スぺース】なのです。
82年の5月、とうとう【QUEEN】のニューアルバム、【ホット・スぺース】が発売されました。
前回での記述の通り、それは発売前から賛否両論があって.....いえいえ、賛否じゃなくて否定ばかりですね......とにかく、 【QUEEN】が変ってしまっただの、幻滅しただの、こんなの【QUEEN】じゃないだのと、発売前から様々な悪評があったアルバムですし、もちろん発売されてからもその悪評は消えることなく、このニューアルバムの発売で多く【QUEEN】ファンを無くしたともいわれていました。
なのですが......
今思うとですけど、そういう声を出していた人はコアな【QUEEN】ファンだけだったのではないでしょうか。
確かにこのアルバムからは【QUEEN】らしさは減少していますが、【QUEEN】らしさに拘らなければ非常に聴きごたえのあるアルバムだと思うのです。
私にとって全アルバムの中でもランク的に上位に位置するアルバムです。本当に飽きずに聴けると思います。
もちろん【ボディランゲージ】には驚きましたけど、【スティング・パワー】なんで恰好良いし、【ラス・パラボラス・デ・アモール】なんて極上のバラードですし、【プット・アウト・ザファイヤー】は迫力あるし......
アルバム評価は置いていて、とにかくお気に入りのアルバムです。 ただし、お気に入りのアルバムではあるのですが、一点だけ不満があったりも……
「ヨッシー、 【ホット・スぺース】にはちゃんと【アンダー・プレッシャー】が入っとったな。そうだと思ったんだて。ベストアルバムなんて買うで損してまうんだて」
「ふん。そ、損だなんて思っとらへんて。なんというか、まあ、コレクションというか、【QUEEN】 ファンとしてだな、アルバムはコンプリートしたいっちゅうかなんちゅうか......」
そうです。【アンダー・プレッシャー】目当てで買った【グレイテイスト・ヒツツ】でしたけど、 結局は【ホット・スぺース】にも【アンダー・プレッシャー】は収録されていたのです。
ニューアルバム購入後、久々に会ったヤスにいきなりそう言われましたが、認めるのが悔しいから強がりを言っておきました。
もちろん、そんなことはヤスにしたらお見通しだったのでしょうが。
それは置いておいて、【ホット・スペース】に関して肯定派の私と否定はのヤスでは評価の相違があったためか、久しぶりに会ったのに、近況報告よりもアルバム評価の話題に集中してしまいました。
「負け惜しみかて。まあええわ。ってより、やっぱ評判通りだったわな。 【ホット・スぺース】は何ちゅうか、良く分からんな。これ、ディスコミュージックちゃうか。 【KISS】が【ラヴィン・ユー・ベイべー】でディスコミュージックを出したときも驚いてまったけど、あれはそれでもロックしとるしな。それに比べて【ホット・スぺース】は……」
【KISS】の【ラヴィン・ユー・ベイべー】というと、ディスコブームの中で79年に発表した【KISS】としては異色の曲です。ハードロックバンドのディスコミュージックとして話題になりました。やはり賛否両論ありましたけど、やっぱり私は好きでした。ってより今でも好きです。
ちなみにですが、アイドルデュオの【ウインク】が【悪い夢~I Was Made For Loving You】って題名でカバーしています。
「【ホット・スぺース】もディスコミュージックばっかとちゃうぞ。ハードな曲もちゃんとあるがや」
「お、ヨッシーは【ホット・スペース】肯定派かて」
「肯定も否定もあらへんて。昔の【QUEEN】と違うって言うんだったら、ファーストからサードアルバムの頃と【ザ・ゲーム】なんて全然ちゃうがや」
「そりゃあ、確かにそうだわな。でも【ザ・ゲーム】は【QUEEN】ファンが求めている音楽だったし、【QUEEN】らしさはあっただろ。けど、【ホット・スぺース】はファンの求めている音楽とちゃうし、らしさもあらへんがや」
「そんなこともないて。だってファンである俺が好きなんだし」
と、そんな感じで話をした覚えがあり、 【ホット・スべ-ス】否定派のヤスの意見は、当時の否定派の意見とほぼ同じだったのではないでしょうか。
【ダンスミュージック】【白人が奏でるブラックコンテンポラリー】【シンセ多様のファンクミュージ ック】等と言われていたアルバムではありましたが、それでも日本では繕構売れたアルバムだったようで、 【ホット・スぺース】で新しいファンも確保できたなんて雑誌に載っていたのを覚えています。
ただ、【ホット・スペース】は私のお気に入りのアルバムではあるのですが、全ての【QUEEN】ファンに勧めれるかというと……
「ほんじゃあよ、ヨッシー。ちょっと前に高校の新しいツレを【QUEEN】ファンにしたって言っとっただろう」
「ああ、ムッチャンのことだな。確かに 【ザ・ゲーム】までのアルバム全部聴かせたったら、見事にファンになってまったわな」
「で、そのムッチャンって奴はどんな曲が好きって言っとった?」
「【ドント・ストップ・ミ一・ナウ】だろ、【愛に全てを】に【セイブ・ミー】に【炎のロックンロ ール】に【ボヘミアン・ラプソディ】に.....」
「だろ、完全に【QUEEN】の定番曲だわな。で、そんな定番曲で【QUEEN】ファンになった奴に 【ホット・スぺース】を聴かせるわけだわな。と、こんなん【QUEEN】ちゃうがやってなるんちゃうか」
「分かっとるんだて、そこんところもよ」
ヤスとの【ホット・スぺース】談義の中で、そんな感じのことを言われましたが、それは私も考えてはいたのです。
ムッチャンは【QUEEN】の定番曲を気に入ってファンになりました。けど【ホット・スぺース】 を聴かせだ後はどうなるのかと……
ムッチャンと私は同じ国鉄で通学をしていました。
って、そういえば当時はJRじゃなくて国鉄でしたよね。固い木枠の向かい合わせの椅子で、冷房事なんてなかったから開閉可能の窓だったし、おまけに座席には灰皿があって電車の中での喫煙が可能で......昭和でしたね。
なんにしても通学の国鉄の中でムッチャンに貸した【ホット・スぺース】のカセットテープを返されて.....そういえば、当時はカセットテープでしたね。クロームテープやメタルテープなんて色々な種類のカセットテープが売られていました。 当時の アルバムがA面B面で50分無いぐらいだったからか、 46分テープなんてのも売られていました。で、インデックスに曲目を手書きして......
なんだか懐かしワードが出てくると話がそれてしまいます。
「なんだて、【ホット・スぺース】。あんなん【QUEEN】ちゃうじゃんねぇ」
「やっぱなあ、そうくるわなあ」
「なんだあ、ヨッシーもそう思ったんかて。ほうだらぁ、ほりゃほうじゃんねえ。あれはないて」
「そんなにあかんかあ」
「あかんっていうか、一曲一曲は格好良いけど、ありやあ【QUEEN】じゃないだらあ」
「そうだわな。ま、やっぱ【QUEEN】らくしくはないわなあ」
ムッチャンは案の定の反応でした。といってもこのムッチャン、最初の反応こそ否定派の反応でしたけど、徐々に肯定になって、
「ヨツシー。よう聴くと【ホット・スぺース】って良い曲多いじやんね」
なんて言うようになったのです。 で、その後は【ホット・スべース】を含む【QUEEN】ファンとなり......
その後の話はまた次回に。