漏水事故で下の階を水浸しにした件
その頃の私はネット小説や動画配信サービスにはまり、徹夜することもしばしばでした。
その日も徹夜明けでフラフラしていた所に固定電話に電話がかかり、知らない番号だったのでいやに長かったけど鳴り止むまで無視したまではいつも通りです。
しかし、その後すぐに部屋のインターフォンに管理人室から連絡が入り、緊急の用件があるので電話に出てくださいと言われて、その後固定電話に出るとマンションの管理会社からで、どうやら私の住んでいる部屋から階下の部屋への漏水事故が起きているらしいのです。
「私が悪いのですか?」と聞くと
「悪いというか加害者ということになりますね」ということでした。
その日の夕方に調査の業者が来ましたが、表面的な調査では原因はわからず、後日、脱衣所に穴を開けて調査するということになりました。しかし、年末でもあり「脱衣所に穴が開くなんて嫌です」と管理会社の人に言ったら、階下の方は「そういうことなら仕方ないです」と言っているみたいなのですが、私も「でもお困りですよね、明日(12月30日)なら調査に来て頂いてかまいませんが、31日は用事があるので勘弁してください」ということで12月30日に脱衣所に穴を開けてみると濡れていて水漏れしているらしいということはわかりましたが、具体的にどこから水漏れしているのかはわかりません。業者の人は下の階と私の部屋を行ったり来たりしながら、階下では浴室だけでなく脱衣所まで水がまわっていて配電盤のあたりにも水が行っているなどと報告してきます。配電盤って電気が止まったりするのかな? まさかねと思いながら聞いていました。
そして浴室を壊すことになりそうだという話になって、調査に来た業者の知り合いのリフォーム業者がユニットバスなどの見積もりに来るということになったのですが、遠方の業者みたいですし、1月9日になると話していました。調査に来た業者の人はとても感じの悪い人ですし、とても嫌な予感がしたままお正月を迎えることになります。
正月だからと言ってそれほど特別でもないのですがそれでもいつもよりは贅沢な食べ物を用意したりしましたが、漏水のことで憂鬱であまり美味しく食べることは出来ませんでした。私はそれほど良い人ではないので入浴を止めたりはしませんでしたが、それでも気にならないわけではありません。しかし年始でどこの業者も休みで何か出来るわけではありません。しかし、どう考えても年末に調査に来た業者の知り合いの業者に頼むのはまずいと思ったのでインターネットでリフォーム業者を紹介してくれるサイトに登録したところ比較的近所の業者を8社ほど紹介してくれました。
1月4日の午前中にそのうちの1社から連絡があり、来てくれました。てっきり配管更新やユニットバスなどの見積もりかと思ったのですが、まず漏水調査をしてくれるという話になりました。その業者が来る前に管理会社に管理会社が手配した業者には頼まないと伝えていたところ、業者が来ている最中に管理会社から電話があり、階下の方は三が日中、耐えられないほど大変で浴室や脱衣所だけでなく、リビングや和室の押し入れまで水が回っていて、リフォームよりも、まず調査して水を止めなければと、かなり怒った口調で言われました。しかし、都合が良いことにまさに業者の人とその話をしていたので、業者の人と電話を代わって説明してもらいました。
来てくれた業者の担当の方はとても有能な方で問題点を見つけ出し、ベランダにある給湯器を調査したりしました。結果、浴室を壊し、問題のあった老朽化し漏水した配管を見つけるのですが、当分の間、入浴出来なくなったので、歩いて片道40分くらいにある実家にお風呂に入りに行くことになりました。
この機会に気になっていた所はリフォームしようと思ったので、古くなった配管をはじめユニットバスやトイレ、傷んでいたリビングの床、もう古い給湯器、畳の表替えなど、まとめて見積もりをとりました。予想より、高かったけど、仮住まいに引っ越すようかと悩んでいたら、その必要はなさそうだということなので、一回値切っただけで決めました。
工事中は高齢の両親が住んでいる実家に泊めてもらえることになったので貴重品を持って鍵を業者に渡して過ごしました。
頼んだ業者は有能な方が担当者でしたが、ポカミスをする職人さんもいたので全てが良かったわけではなくて色々ありましたが、この機会にリフォームして良かったと思います。新しいトイレの水流はきれいな渦を描く流れで技術の進歩を感じましたし、新しいユニットバスも快適です。ただ誤算は配管更新とは関係ないと思っていた紙の本を大量に置いてある洋室に配管が通っていたことです。キッチンと通路の方にあるメーターボックスの間にある部屋だったので水道メーターのために配管が通っていたのです。本を段ボール箱に詰めて移動させる作業はかなり大変だったので、紙の本が少し嫌いになりました。
しかし、配管を新しいものに替えることが出来てほっとしています。漏水事故を心配しなければならないと安心して生活出来ません。でも配管は表からは見えないので何かミスがないか少し心配ではあります。
さて、それでは水浸しにしてしまった下の階の賠償についてはどうでしょう? これから保険の話をしたいと思います。
私の住んでいるマンションは10年前中古で購入したものです。現在、築27年、配管も寿命なわけですね。10年前購入した時は軽くリフォームしましたが、配管は勿論、水回りには手をつけませんでした。
火災保険に入ったのは、知人の住む部屋に上の階から水漏れがあり家財が水浸しになったという話を聞いたのがきっかけでした。それで上の階からの水漏れを想定して家財に多めに保険を掛けたのですが、まさか私の部屋から下の階に水漏れするとは思っていませんでした。でも損害賠償にも入っていたので助かりました。
保険会社に連絡して書類を送ってもらいましたが、難しい言い回しなどが多くて良く読まないとわかりづらい書類で頭が痛くなりました。しかも何枚もあり、書く場所も多いです。一番困ったことは被害者である下の階の方に記入に協力してもらわないと書類が完成しそうもないということでした。保険会社の担当の方に保険会社にお任せすることはできないか? 尋ねると、出向いてということではないけれど電話で交渉のお手伝いをするのも保険内容に入っているということでした。
でも保険会社は平日の9時~17時電話受付で、一方、下の階の方は平日の昼間はお仕事を共働きでされているので、期待出来ません。
私の部屋のリフォームが終わり、漏水が完全に終わったら、下の階の方が漏水事故の復旧工事の見積もりをとるということだったので、私は菓子折りと書類の一部を持って下の階に伺いました。すると業者の都合で5月か6月頃になるかもしれないということだったので書類はまだ早いので持ち帰り、一旦、漏水事故については忘れることにしました。
その後、下の階の方は別の業者に見積もりを頼み、3月の末に見積書と漏水事故の写真を持って私のところへ来ました。私は保険関係の書類を完成させるために一度集まる機会を設けて欲しいとお願いしたのですが、下の階の方はとても嫌そうで、私も心が折れそうでした。ちなみに見積金額は105万円。保険でカバー出来るのでしょうか?
翌日、保険会社に見積書と写真が届いたことを報告すると、査定するので送って欲しいということでしたので送りました。そして見積書と写真で、漏水事故の経緯などを書く大変そうな書類を省略出来ると言われほっとしました。
そして保険会社の担当者の仲介は期待出来ないと思っていたのですが、実はLINEで連絡を取り合えていたみたいで、下の階の方の忙しいので書類を書く時間は作れないという要望を受けて、私が書ける所を記入した書類を保険会社に送れば、あとは担当者が下の階の方に保険金の振込先などをLINEで聞いて記入してくれるという形になりました。又、示談書などの印鑑の必要な面倒な書類も省略できることになりました。
そして、満額の105万円が振り込まれることになりました。心配していた見舞金なども下の階の方の入っている「自身の保険から見舞金が支払われることをご案内しました」と保険会社の担当の方から教えてもらい、こうして漏水事件は解決しました。
古い集合住宅は怖いですね。配管のこととか全然考えていなかったし、火災保険の損害賠償が役に立つ日が来るとも思っていませんでしたよ。