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夏の甲子園(全国高等学校野球選手権大会)三年時三回戦の相手

 少し時を遡って大会七日目の第一試合。西東京代表早稲田実業高等学校と、青森県代表青森山田高等学校の実力校同士大会屈指の好カードは、初回からスコアボードに0を並べる展開。

 均衡を破ったのは、七回ウラ青森山田高等学校の主砲キタヤマが、相手エースの甘く入ったストレートを豪快なフルスイングで1点を先制するホームラン。これに続けとばかりに打線が奮起。代わった投手から3点を奪い4-0で八回表を迎える。反撃したい早稲田実業高等学校であったが、青森山田高等学校のエースシライシのカットボールに全く的が合わず凡打の山を築く。八回ウラにだめ押しのソロホームランが出た青森山田高等学校は、九回もシライシが抑え完封。5-0で勝利し、三回戦進出を決めた。この結果、松高は三回戦で青森山田高等学校と対戦する事になった。

 「なぁ、ケイタ?次は青森山田高等学校だってさ。」

 「だからどうした?」

 「過去の栄光は勝負に関係ねぇ。それに松高は山田玄助杯で、勝ってるじゃねーか?今回も返り討ちにしてやるよ。」

 「そんな事言ったら、二ノ宮のいる早稲田実業高等学校の方がデータなくて、よっぽど怖いよ。それに比べれば松高としては青森山田高等学校の方がやり易いよ。もちろん一冬越えて春を勝ち抜き、強豪ひしめく東北大会を勝ち抜き、青森県予選を突破した実力は認めよう。だが、松高には勝ち抜くチャンスがたくさんある、と俺は思ってる。」

 「ケイタは、相手エースが来ると思う?」

 「負けたら即終了の一発トーナメントだ。エースを出し惜しみして負けた早稲田実業高等学校と松高は違う。」

 「早稲田実業高等学校は、エースじゃなかったの?」

 「二ノ宮が出てなかっただろ?」

 「あっ、そっか。」

 「青森山田高等学校ももう一人のエースカタヤマを温存してる。」

 「一週間で500球制限は高校野球の戦い方を根本から変えるルールだと思う。」

 「その点、松高は頼れるエース級が五人もいる。そこに盤石の野手がいれば、負ける道理は無かろう。」

 「チーム結成当初のサノがベンチに入れなかったのは、残念だけどね。」

 「そこはしょうがねぇよ。弱肉強食だもん。」

 「サノの上をいくポテンシャルのキタジマをスタンドに置いとく訳には行かないだろ?」

 「ここまで来たら、総力戦だね!」

 「ああ。俺もまだ癒えてない心のキズが…あるわけないやろ!」

 「先週自動車事故ったとは思えない回復ぶりだね。」

 「まぁ、俺には美味い飯と美女がいれば、気力から何から回復させる事は出来るけどね。」

 「はぁ?ケイタ何言ってんの?」

 「人よりも回復が早いのは確かだな。」

 「昔から運良かったもんね。」

 「それ、悪運の間違いじゃねーか?」

 「それより、甲子園の三回戦だ。いよいよマイナースポーツ紙だけじゃなく、各社総出で松高の躍進を報じ始める頃だ。」

 「ほらみろ!」

 「サンライズスポーツに帝東新聞。それに、いつからか松高贔屓の全国紙。」

 「何て書いてある?」

 「まずは初戦圧勝の松高。ヤマは三回戦の青森山田高等学校戦か?先発は左のエースウエハラか?」

 「勝てばベスト8。ヤンキー魂公立の星になれるか?」

 「はぁ?俺らもうヤンキーなんかじゃねぇよな?」

 「まだ世間は山田玄助さんの率いた松高のイメージしかないんだろ?まぁ、勝ち続ければきっと良いプレゼントが待っているだろう。」

 「え?何?気になるんだけど。」

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