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夏の甲子園(全国高等学校野球選手権大会)三年時開幕

 開幕カードは、埼玉県代表浦和学院高等学校と、北北海道代表北海高等学校である。それに先立ち行われた開会式で、松高キャプテンミナガワが選手宣誓を行った。

 「宣誓!我々選手一同はスポーツマンシップにのっとり、正々堂々と戦い抜くことを誓います。それに先立ち我々を支えてくれた監督やコーチや家族に感謝し、長い練習でつちかったパフォーマンスを最大限発揮して、長い歴史の一ページにその名を刻むように努力する事を誓います。令和X 年8月7日、選手代表松浜高等学校主将ミナガワカツノブ。」

 10年ぶり31回目の夏の甲子園で選手宣誓を行ったのは、ミナガワが初めてだった。

 「お疲れ様!」

 「まぁ、ベタな選手宣誓だったな。直球で行った。」

 「まぁ、あんなもんだろ。」

 「あー!やっと肩の荷がおりたぜ。」

 「緊張+この暑さで咽カラカラ。」

 「はい。水」

 「サンキュー。」

 「へぇ、お前が緊張するなんて珍しいじゃん。」

 「そりゃあ緊張するべ。俺だって人間だからな。だってあれライブ配信されんだろ?下手な事は言えねーよ。」

 「まぁ、確かに。」

 「試合の時はリラックスしてガンガン打てよ。」

 「任せとけ。」

 「どうした?ケイタ?何か不安そうだな?」

 「ゲーム勘つーかなんて言うかまだ戻らなくて。」

 「何言ってんだよ?地方大会の一試合欠場したくらいで、ゲーム勘もくそもあるか。」

 「だと良いんだけどな。」

 「大丈夫だって。ケイタは日本一素振りしてきたプレーヤーじゃないか?」

 「おう!」

 「ありがとな。トウマこそ投げすぎになるなよ。」

 「ったく誰だよ?一週間500球なんて言い出したのは?」

 「お陰で省エネ投法を使わねばならん。」

 「まぁ、それはどのチームも条件は一緒だ。絶対的エースも投げすぎが出来なくなる。投手層の厚い松高には、有利なルールじゃねーか?」

 「ケイタが戻って来てくれて投手陣はホッとしたよ。」

 「良いキャッチャーがいるチームは強い。」

 「それは誰の受け売り?」

 「山田玄助さんの自叙伝に書いてあった。」

 「へぇ。そうなんだ?」

 「お前も読むか?」

 「いや、いいよ別に。」

 「素人やマスコミはピッチャーにばかりフォーカスをあてるが、それは正解ではない。比率は投手三割捕手七割って所だな。」

 「ピッチャーは捕手の言う通りに投げれば良いんだよな。それは練習で培った信頼関係が、もたらすものだよ。」

 「バッターの特徴を掴み、配球を決める。しかも、投手の状態を考えて球威やコントロールも全て計算してプレーしなくちゃならん。だから一試合でも多く経験を積んできたのは、無駄じゃなかった。お陰でトウマ以外の四人とも配球には自信がある。」

 ケイタが、持論を展開しているうちに一回戦第一試合は埼玉県代表浦和学院高等学校が9-2で北北海道代表北海高等学校に勝利した。

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