夏の甲子園(全国高等学校野球選手権大会)三年時組み合わせ決定
「ケイタ?」
「何?」
「PM15:00だよ。」
「ああ、そうだったな。」
「つーか、何でトウマ少しキレてんだよ?」
「このところのストレスがスパークした。悪いな。」
「まぁ、そういう時もあるよな。」
(LINE遅いな…。)
「お、来たぞ。大会七日目の第二試合。二回戦からの登場だ。流石ミナガワ。くじ運持っている。」
「相手は?」
「山梨県代表、山梨学院大学附属山梨高等学校だ。」
「で、勝ち進むとベスト8で、栃木県代表作新学院高等学校と。その先は未定だ。」
「良かったな!」
「何がだよ。大阪桐蔭とかと初日に対戦。なんてくじ運無さすぎなカードじゃなくて良かった。」
「いずれにしても、まずは一勝だな。」
「ああ。だな。」
「あ、あとミナガワキャプテン、選手宣誓までおまけで引き当てちゃってるの。」
「そりゃあすげぇや。つーかいらねー(笑)」
「おめでとう。って今LINEしといた。」
「勝てば三回戦で、ベスト8をかけて、青森県代表青森山田高等学校との線が濃厚だな。」
「まぁ、順当に行けばっすよ。甲子園はなんて言っても何が起こるか分かりませんから。」
「いよいよだな?」
「ああ。やっとスタートラインに立ったんだ。」
「後は、努力が報われる事を祈ろう。」
「うーす!」
「山梨学院大附属といやぁ、エースのミズハシだな。左投げ左打ちのサウスポーで、150㎞オーバーの真っ直ぐに、落差のあるフォークボール。カウントを取りに来るスライダーや、カットボールってとこか?」
「まぁ、松高打線の敵ではないな。」
「さぁ、甲子園まで、あと一週間。振り込むぞ!」
「うーす!」
「それよりさ、お前ら校歌歌えんの?」
「やべ?俺歌えないかも知れん。」
「俺は歌えるぜ。つーか、歌えなくてもよくね?」
「そこは、松高生としてのプライドの問題だろ?」
「まぁ、言われてみれば。」
「校歌の練習もよろしくな。」
「うーす!」
「お前ら何やってんの?」
「え?校歌の練習だけど?」
「今更?」
「全国放送で何回も写るのに口パクとか恥ずかしいじゃん?」
「簡単なんだから。そんな事に時間費やすなよ。つーか、ブラスバンド部まで使って、随分だな。」
「悪いか?こっちは松高を背負ってんの。だから今は、キャッチボールやスカウティングより校歌の練習の方が大事なの。」
「あっそ。ま、恥書くなよ‼」
「おととい来やがれ。」
「あ、キャプテン?まずはくじ引きお疲れ様。」
「おう。ドキドキが止まらねーよ。」
「選手宣誓なんて一世一代の大勝負。ま、頑張って下さい!」
「あーあ、それなら実はアドリブなんだって。」
「マジで!?」
「それファンが聞いたらがっかりするから、それは、伏せておこう。こっちは校歌の練習で、ブラスバンド部とどうにかなりそうだよ?」
「はぁ!?校歌歌えないの?あんな簡単なのに?」
「ま、後発隊もそのうち合流するから、スカウティングよろしくな!」
「おう、じゃあな。また。」
ビュン、ビュン、ビュン
「良いねぇ。その風を切るコンドウの神スイング。」
「トウマ、お前はやらねぇのか?」
「やりていのは山々なんだが、追試に追試で、それどころじゃねーんだよ。」
「情けねぇな。赤点ある奴は甲子園行けねーんだぞ?」
「だから忙しいんだよ。」
「で、合格したのか?」
「あ、あーあついさっき合格した。」
「これで野球に打ち込めるよ。」
「情けねぇな。松高のエースが赤点だらけ。いつからそんなになったんだよ?」
「下山監督にも同じ事言われた。」
「このバカチンガー。」
「とにかく悪運を持っているみたいだ。」
「え?何?松高は二回戦から?で何が良いって?」
「あーあ悪い。こっちサイドの話だ。ササオカ、お前は前入りして松高びっちりマークしとけ。あと、本社や関西支社の奴等がのさばってるが、無視しろ。良いな?」
「はい。ヤマオカさん。」




