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らしくねぇ

 「ケイタ!?何かあったのか?」

 「いや別に…。」

 「らしくねぇじゃねーか。」

 「星稜高校戦の時に負けても良いなんてぬかす奴は下げられて当然だ。俺も何処か血迷ってたんかもな。」

 「ちょっと弱気になっただけだろ?それに先制のスリーランホームラン打ってたんだし、調子が悪いようには見えなかったけど。」

 「でもだからと言って、あの場面で交代は無いだろう?」

 「それを決めたのはコーチや監督だ。その裁量は選手にはない。」

 「試合中、正捕手で主砲が変わるなんて、余程の事だぜ?」

 「まぁ、試合には勝ったんだし、良いじゃねーか。」

 「こんなんで夏の大会大丈夫なのかよ?」

 「あぁ、大丈夫。気持ちは切り換えた。」

 「下山監督の所行ってこい!」

 「へ?」

 「へ?じゃねーよ。この前の試合は申し訳ありませんでした。気持ちを切り換えて頑張りますって言って来い。」

 「で、トウマの言う通りにしたら、下山監督大爆笑。」

 「コンドウ、気にすんな。いつも誰よりも努力し、緊張感のあるお前が、緊張の糸が途切れたのも無理はない。勝っても負けてもあの試合に関しては、正直どっちでも良かったのは、事実だ。だが、これからは違う。負けたら終わりだ。いくらマスコミに騒がれようとも、日本一になるまでは、どんな試合でも負けたら終わりだ。いいな?それにお前がいなくちゃ松高は勝てない。分かってるよな?」

 「うす!」

 「なら良い。ヤマナとマツゾノには俺から伝えとく。あいつらも心配してたぞ?」

 結局、コンドウもロボットではないという事だ。気持ちが乗る時もあれば乗らない事もある。そう言う時のリスクマネジメントとして控えているトバシラの存在は、大きかった。セカンドユニットでも緊急事態に対応しきれたのは、星稜高校戦での収穫であった。one teamの精神に反する言動や行動は野球もチームスポーツであるがゆえに控えなければならない。それは一年から三年迄全てのプレーヤーに、言える事だろう。

 さて、梅雨入りした新潟県だが、いつもなら山田玄助杯で盛り上がる時期なのだが、今年は松高が、北信越大会に出場した為、第五回の山田玄助杯は秋に延期となった。だが、その時ホシノやコンドウ、ミナガワ等三年生は引退している。

 松高は北信越大会を優勝した為、短いスパン(約一ヶ月)で夏の甲子園新潟県予選に臨む事になった。

 「お、ササオカ?良い所に来た。」

 「何すか?ヤマオカさん?」

 「今年のドラフトの顔は、やはり松高ナインになるんだろうが、何処の球団が誰を指名するか推測して欲しいんだよ。お前の勘とセンスで。」

 「まだドラフトには、気が早くないですか?とりあえず甲子園大会を見てみない事には…。」

 「何処のスポーツ新聞社も取り扱っていない今やるから、読者が増えるってもんだろ?」

 「まぁ、そうっすね。電子番でも連動するともっと盛り上がると思いますが?」

 「良いじゃねーか。ササオカ。じゃよろしく。」

 「俺は新潟県大会につきっきりになるから。2年間見てきたが、今の松高は史上最強と言っても過言でもない。記者歴30年の勘だな。」

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