春期北信越大会(3年時)決勝
「日本文理高校もよく頑張ったが、星稜高校には、一歩及ばなかったか…。」
「よし、日本文理高校の仇は取ってやる。失うものは何もない。みんなやってやろうぜ!」
「うーす!」
「松高ーーファイオシ!!」
「礼!」
「うーす!」
「松高の先発はやはりホシノか。野手はいつも通りだな。」
「星稜高校は先発オクヤマか。注目は3、4番の主軸。打率六割、本塁打10本越え、おまけにここまでの全試合でコールドゲーム勝ちしている。」
「何心配してんだよ。うちの4、5番は打率9割本塁打20本、全試合コールドゲーム勝ちなんて、マストじゃねーか?先発ホシノは相手が左バッターが多くて、苦戦するかも知れねーが、こっちは右打者が多い。無論、松高は右左関係無く打てる。」
だが、初回は変化球主体のオクヤマに対してゴロアウトが目立ち三者凡退。一方松高の先発ホシノも負けじと迫力のあるストレートで三者三振に撃ち取る。三回迄お互いノーヒットで迎えた四回表。一番オカダが両チーム通じて、初ヒット。二番カネトモが送って、三番クリバヤシ。(全ての変化球が頭の中にある。絶対次に回す。)
カキーン、センター前ヒット!三塁コーチ、トバシラ止める。ワンアウト一塁、三塁で迎えるは四番コンドウ(ここは一発しか考えていない。)
甘くはないがコースが悪かった。(わりぃな、オクヤマ。もらった!)ビュン、グワキーン。文句無しのスリーランホームランで松高3点を先制。(へ、楽勝、楽勝。)続くミナガワも、キャプテンの意地でソロホームランを放つ。更に後続が続いて2点を追加。6-0とした。
反撃したい星稜高校は、フォアボールと死球で、ツーアウトランナー満塁(おいどうしたトウマ?らしくないぞ。カーブで仕留めるか?)(ケイタここはストレートだ。)(打たれても知らねーぞ?)バシーン。「ストライクバッターアウト!チェンジ。」(あぶねぇ。あぶねぇ。今日はもう俺サイン出さねーから。トウマ好きに投げろ。)
「良いのか?」
「6点ありゃ楽勝だろ?」
「2、3点は覚悟してる。でも今日の調子なら行けそうな気がするんだ。」
「じゃあ任せた。」
「珍しいな。コンドウの奴がリードを投手に一任するなんて。」
「今日だけは、負けても良い試合です。」
「は?」
「今は勝っていますが、例え負けたとしても失うものは何もないと思うんです。」
「らしくないぞ。変わるか?」
「そうこうしている内に七回ですよ?」
「七回を終えて7-0。変わろう、コンドウ。負けても良いなんてぬかす奴にチームの命運を託す訳にはいかん。トバシラ、来い。」
「うす!」
(え?交代マジで?)
八回ウラ松高の攻撃の前に選手の交代が告げられた。四番キャッチャー、コンドウに変わりましてトバシラが入ります。ピッチャーはそのまま。チームに動揺が走った。(え、なんで?怪我?)
「ホシノ、あと一イニングだ。落ち着け。」
「ああ、ありがとう。ミナガワ。」
結局松高はホシノの完封7-0で、石川県第一位の星稜高校に勝利して北信越大会を優勝で、終えた。
「おう、笹岡?松高優勝したな。明日の二面任せたぞ。こりゃあもう運じゃねーよ。実力だ。」




