春期新潟県大会(3年時春)決勝戦
決勝の前に行われた三位決定戦は新潟江南高校が新潟明訓高校を13-2(七回コールドゲーム勝ち)で下し、北信越大会進出を決めた。
「集合!」
「うーす!」
「よく、ここまで来た。だがここで破れちゃ意味がない。一番センター、オカダ 二番ショート、カネトモ 三番ライ、ト、クリバヤシ 四番キャッチャー、コンドウ 五番ファースト、ミナガワ 六番サード、シノダ 七番レフト、ムカイ 八番セカンド、イトハラ 九番ピッチャー、ホシノ 以上さぁ、行ってこい!」
「うーす!!」
「松高ーーファイオシ!!」
「礼!」
「うーす!」
「始まりますよ、山岡さん?」
「まぁ、松高なら楽勝だろ。」
「何で分かるんですか?」
「二年以上奴等を見てきたが、今が最強だ。と思う。」
先攻は日本文理高校。
(トウマ、ストレート低めにな!)
ホシノ頷く。
バシーン、バシーン、バシーン、ストライクバッターアウト!
「そりゃあ打てないよ。低めの150㎞越えのストレートなんざ、並大抵の高校生には打てない。変化球も混ぜられたんなら尚更た。」
「山岡さん…。」
「今の松高野球部を作り上げた、ホシノトウマとコンドウケイタのバッテリーは、ほぼ打てない。それだけのパフォーマンスを彼等はしている。」
「また、三振だ。すげぇ。」
初回から点を取りに行く松高打線だが、この日はちょっと違った。あえて初回は三人の打者にボールを全て見送るように指示。珍しく初回は捨てた。三者三振で、試合は二回表へ。
「これで良かったのか?下山?」
「相手ピッチャーの球威、球速、変化球。大体見ただろ?だから二回以降はヒットの嵐だ。」
「だと良いんだけどよ。」
カネトモ!
「あいよ!」
これでワンアウト。
イトハラ!
「ほい。」
これでツーアウト。
シノダ!
「はいきた!」
スリーアウトチェンジ。
二回ウラ
四番のコンドウからだ。ビュン、ビュン神スイング!
「ファーストストライク来た!」
グワキーン!!大きいぞ、入るか入るかレフトポール際、入った。先制のソロホームランで、松高一点を先制。続く五番ミナガワも続く。ガイーン。かなり強引なあたりだが、入れ入れ入った!ライトスタンドにホームラン。これで2-0。その後も打線は繋がり、この回打者一順の猛攻で八点を先制。
「これで決まったな。」
「山岡さん、まだ三回ですよ?」
「笹岡?お前の目は節穴か?何で初回は松高が三者三振だったか分からねぇのか?」
「球筋を見極める為だ。」
「ここまで防御率0.00のエースホシノが日本文理高校に8点以上を取られる確率はかなり低い。決勝はコールドゲームがないから、七回か八回で松高は、継投に出るだろう。このまま松高は、着実に加点して試合終了だな。」
山岡の読みは当たっていた。松高は、三回から八回まで毎回得点して、ホシノを援護。八回無失点のエースホシノは、九回のマウンドをクローザーのツチムラに任せた。最速158㎞の速球のみで三者三振ゲームセット。30-0の圧勝劇だった。MVPは、五打数五安打四ホームランのコンドウが選ばれた。
「ッシャアアー!!」
「やったな、ケイタ。」「ナイスバッティング。」
「やったな、トウマ。」「ナイスピッチング。」
「みんな、よくやった。でも喜ぶのはまだ早いぞ。第一シードで戦う夏の甲子園の県予選を優勝したら、胴上げしよう!」
「うす!」
「次は北信越大会だな。」
「おう!」




