年末年始合宿
「やっぱりさ。お年玉もらえるのって、高校生位迄だよね?」
「それぞれの家庭環境によるんじゃねーか?」
「そのお年玉で、どうだ年末年始合宿でもやらないか?」
「まーたコンドウの奴が野球合宿の呼び込みしてるよ…。」
「でも、今年は違うんだそれが。スタメン、ベンチ入り確定のメンバーのほとんどが参加するみたいだぜ?」
「三軍から一軍に昇格するチャンスだぞ?」
「お、それなら俺出ようかな?」
「あ、でも並大抵の覚悟だと初日でドロップアウトする可能性が高いって。」
「メニューはたった二つ。フリー打撃と走り込みだ。別に金がかかる訳じゃないし、強制はしないが、危機感持っている奴は鍛えた方が良いかもな。12月29日AM9:00~1月4日迄の七日間。参加希望者は、直接12月29日AM9:00に松高第二グラウンドまで来て欲しい。」
「うす。」
「じゃあ続けてくれ。」
そして、合宿初日。松高第二グラウンド。時刻はAM9:00…。
「ミナガワキャプテン、ムカイ、クリバヤシ、フジオカ、アリアケ、マスオカ、ホシノ、ウエハラ、ツチムラ、コンドウ副キャプテンの計10人ってとこか?」
「実はこの合宿は、投手陣向けの合宿だったんだ。勿論、野手の為にもなる。強い足腰は強肩強打の基本だ。徹底的に走り込みをして、体をイジメ抜くぞ!」
「おー!」
「まずは、ストレッチから。体がほぐれてきたらランニング、からの50メートルダッシュ×100本。自分のペースでやってくれ‼あと、無茶して怪我をするのは絶対避けてくれ。」
「どうしたマスオカ?」
「あと50本残っているぞ?そんな事じゃあ松高次期エースも名ばかりか?」
「まだやれます。」
「当たり前だろ?これが終わったらフリーバッティングの打撃投手だ。」
「おいケイタ?こんなハードな練習七日間もやるのかよ?」
「そのつもりだけど何か?」
「ダッシュだけでランチタイム過ぎちゃうぜ?大体、下山監督の許可得てんのかよ?」
「当たり前だろ?無許可で虐待してるみたいじゃねーか。怪我すんなよ。位しか言われなかったぜ?ちなみにランチタイムはなし。夕食までノンストップだ。」
「よーし。ダッシュおしまい。100本言ってない奴は居残りダッシュな。」
「まぁ、流石に俺も鬼じゃない。年末年始だ18:00には、切り上げたいと思っている。」
「おい、コンドウ?お前はやんねーのか?」
「俺は別メニュー調整をする。自分で考えた奴だな。」
「それに誰かが見てないとリスクマネジメント出来ないだろ?」
「午前中はひたすらダッシュ。チョイ休憩したら、午後はひたすらフリーバッティングのキャッチャーをやる。手の空いてる奴は、ミラー越しの素振り。ピッチャーなら、フォームの確認。新しい変化球の取得。やる事は山のようにある。」
こうして、正月休みを返上して体をイジメ抜いた松高の10人は、一週間でみちがえる程の体を手にしていた。
「集合!」
「うーす!」
「年も明けて皆充電したと思う。年末年始合宿に参加した10名を除いてな。」
「今年の春から公式戦に復帰する松高だが、これまで同様、全戦全勝勝負強い松高打線であって欲しい。そこで年始は松高二三軍との紅白戦から始めたいと思う。」




