第四回山田玄助杯VS中京大中京高校、広島工業高校戦
「二三軍は、下山監督が見てるんだろう?」
「ああ、それにしても凄いな。」
「松高の層の厚さを示したな。もしかしたら全勝同士相星決戦になったりして?」
「んな事より、目の前の一戦に集中しようぜ?」
「だな。」
「集合!」
「うーす!」
「よし、今日はいつものオーダーで行く。先発はサノで行く。」
「よし、行こうぜ!」
「松高ーーファイオシ!!」
「礼!」
「うーす!」
この試合は後攻めの松高だ。
「なぁ、ササオカ?」
「どうしました?ヤマオカさん。」
「松高の六番手ピッチャーで打ち崩せないなら、中京大中京もその程度って事だな。」
「そのサノってピッチャーそんな駄目なんですか?」
「まぁ、見てりゃ分かる。オーソドックスなピッチャーだ。」
「へー。130㎞台後半の真っ直ぐに、カーブにスライダーにフォークですか…。確かに超高校級のホシノや、ウエハラ、ツチムラに比べれば見劣りしますね。」
「そのオーソドックスなピッチャーを一流のピッチャーにしてるのが、コンドウケイタというキャッチャーなのさ。華やかな打撃ばかりが目立つがプロのスカウトはキャッチャーとしての、コンドウを見極めてる。」
「だからこそ、奴はどの球団に入っても、即一軍なのさ。打てるキャッチャーは、喉から手が出るほど欲しいからな。」
さて、試合の方は2-2で迎えた4回に五番キャプテンのミナガワの満塁本塁打を含む7安打11得点を奪い、五回にツチムラを投入して、三者凡退。13-2で、五回コールドゲーム勝ちを修めリーグ戦土付かずの七連勝とした。
「あのツチムラってピッチャーも、凄いですね?」
「素人のお前にも分かるか?」
「大体、松高打線は、4回までに10点以上の差をつけてくる。そこまて先発を引っ張ればほぼ勝利は見えたと言える。」
「五回に切り札のツチムラを惜しげもなく投入するという勝利の方程式が出来上がってるんだ。プロで言う所のクローザーって訳。193㎝102㎏恵まれた体格に加え160㎞越えの超特急と、カットボールにスプリットフィンガーファストボールも、キレてる。持ち玉は少ないが、1つ1つの球がプロ級だからこそ、奴は高校生には打たれない。何試合もツチムラが出てる試合を見てるが、被打率0だ。コントロールも、良い。おまけにリードしているのが、コンドウと、来たもんだ。まず持って打たれない。」
「集合!」
「うーす!」
「さっき、青森山田高校に二三軍が敗れた。よって開幕八連勝は、青森山田高校だけだ。この試合に勝って、明日の直接対決で敵を討とう。オーダーは、中京大中京高校戦と同じだ。先発はウエハラ。」
「行くぞ!松高ーーファイオシ!!」
集合は序盤から、松高ペースで進む。広島工業高校の四死球やMissもあり、五回までに12得点をあげる。投げては、軽い怪我から復帰したウエハラが、見事なピッチングを見せ、五回コールドゲーム勝ちでリーグ戦土付かずの八連勝とした。




