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キャプテン選抜総選挙

 「集合!」

 「うーす!!」

 「皆、主将(キャプテン)なんだが、俺のままで良いか?」

 「は?」

 「何言ってんだよ?松高野球部再興に尽力したコンドウ、お前で良いよ。」

 「つーか2日後には練習試合だぜ。何で今なんだよ?」

 「俺はキャプテンて柄じゃないし、そういうの本当は苦手なんだ。」

 「よし、じゃあこうしよう。キャプテン選抜総選挙だ。」

 「良いね、それ。」

 「否応なく選抜総選挙で選ばれた人間がキャプテンになる。」

 「コンドウ、選ばれたら文句無しだぞ。」

 「おう。」

 「じゃあメモ用紙にキャプテンに相応しい人物の名前を書いて、この箱に入れてくれ。」

 「おい、誰にしたら良いんだよ?」

 「俺やりたくねぇ。」

 「大丈夫。お前にはならないから。」

 「何だよ、それ。」

 「セレクション1位通過のミナガワあたりが妥当じゃねぇか?」

 「一騎討ちかもな。コンドウとミナガワの。」

 「よーし!皆、投票終わったな。開けるぞ!」

 「ミナガワ10票、ホシノ1票、コンドウ11票よってコンドウケイタがキャプテンに再任されました。」

 「そんなにキャプテンやりたくないか?コンドウ?」

 「ミナガワ…。」

 「票数では負けたが4番でキャプテンなんて憧れるぜ。お前心配なんだろ?」

 「心配つーか、自分のプレーに集中したいんだ。ベストなプレーに集中出来ないならキャプテンはやりたくねぇ。」

 「キャッチャーてポジションは只でさえ大変だからな。」

 「じゃあミナガワにキャプテン任せるよ。」

 「下山監督には、俺の方から伝えとくよ。」

 「ああ。分かった。よろしく。」

 「さーて。今日もストレッチからよろしく!」

 「よろしく!」

 「松高ーファイオ、ファイオ」

 「おいおい、良いのかこんなんで?」

 「まだ文句あんのか?トウマ?お前に任す位ならキャプテンチェンジなんかしねぇよ。でも良かったじゃん。1票入って。あ、自分で書いた1票か。」

 「大体、何でこんな大事な事相談してくれなかったんだよ?水くさいぞ!」

 「キャプテンお疲れ様です。って言うんだよ。こういう時は。相変わらずKYな奴だな。」

 「俺が行きたいのはNYだけどな。」

 「まぁ、これでスッキリしたろ?」

 「スッキリしたのは、ミナガワ派でコンドウ派は全く納得してねーよ。」

 「ミナガワの言う通り、プレッシャーに負けて100%のパフォーマンス出来ないのが怖かったのさ。」

 「皆の手前"心配"なんて言ってくれたが。ミナガワは、おだてられて出世するタイプだな。」

 「俺は?」

 「トウマはナルシスト入っているから、叱られて伸びるタイプの人間だな。」

 「ケイタのタイプ的人格形成の話は分かったから、早く見ようぜ。明日の対戦相手のビデオ。」

 「見といて損はないな。新潟明訓高は、有力私立の1つだからな。」

 「とは言え、相手の1軍が来るはずもない。うちのような1年だけの古豪には、2、3軍で来るはずだ。」

 「新入生で構成される相手の方が望ましいな。」

 その頃新潟明訓高では、松高の話題で持ちきりだった。「松高史上最強のルーキーミナガワに本格派のホシノトウマ、そして扇の要のコンドウケイタ。しかもそいつらは、2年後まで、公式戦出場停止。たった1回のチャンスにかけるとは、泣かせる話じゃねぇか。」

 「先輩?もしかして松高って凄く強いチームなんじゃないすか?」

 「去年の明治神宮大会で大阪の履正社高に競り負けてるし、実積充分の強豪校だな。暴力事件さえなければ、第一シードは、日本文理高じゃなかったな。」

 「コンドウ!ちょっと来い。」

 「うす。」

 「私の許可もなくキャプテンチェンジするとは一体どういう事ですか?部員の間でコンセンサスは取れていたのですか?」

 「はい。報告が遅れて申し訳ありませんでした。」

 松高野球部はこうして練習試合直前にキャプテンを交代し、新しい門出を迎えた。

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