第三回山田玄助杯決勝ラウンド③
松高野球部は非公式ながら、遂に日本文理高校と、県No.1の称号をかけて、エコスタの舞台に立つ事になる。まるで、一年後の対戦を予感させるものであった。
「集合!」
「うーす!」
「よし、やっとここまで来たな。今日の試合も俺達が戦う全ての試合が重要だ。だが今日は特別に負けられない。お前らも、それは良く分かっているよな?」
「うーす!」
「今日のオーダーはいつも通りで‼先発はホシノ。エースの役目しっかり頼んだぞ。一年前の日本文理高校とは、訳が違うぞ!心してかかれ!」
「うす!っしゃあ行こうぜ!」
「松高ーーファイオシ!!」
「礼!」
「うーす!」
「勝った方が第三回山田玄助杯の王者だ。分かりやすいじゃねーか。」
「日本文理高校の力見せたるで!」
と、意気込んだ両チームだが初回は三者凡退。2回ウラ待ってましたと、言わんばかりに四番コンドウと五番ミナガワの連続ソロホームランで松高打線に火がついた。しかしそのまま両チーム追加点無く五回を終えて0-2で松高わずかのリード。
六回表日本文理高校の反撃。一番がヒットで出塁。二番は送りバント。そして三番バッターも短打で続く。ワンアウト一塁、三塁で迎えるは大会MVP候補の一角の日本文理高校の四番マルオカ。
(トウマ、ここは一端落ち着こう。まずはストレートで様子を見よう。)
(いやいや、ここはスライダー系かカットボールで内野ゴロゲッツーでしょ?)
(なら、低めのストライクからボールになるスライダーでどうだ?まぁ、お前が投げられればの話だがな。)
(よし、乗った‼ホシノ、うなずく。)
第一球目のスライダーを投げた!カキーン!?
打球は強かったが、ショート正面。5-4-3ダブルプレー!日本文理高校絶好の得点チャンスを棒にふった。六回ウラ、松高の攻撃は一番のセンター、オカダからの好打順。ピンチの後にチャンスあり。ここはランナーを溜めて主軸に回したい所だ。しかし、松高は日本文理高校のリリーフに手が出ず三者凡退。
ここで松高が動く。六回無失点のエースホシノからサノにスイッチしてきた。サノはコンドウの指示通り投げ、七回を三者凡退で切り抜けた。
七回ウラ、これ以上点をやれない日本文理高校は三人目のクローザーにスイッチ。長打を警戒だが、四番コンドウは読み勝ちをしていた。
(ファーストストライクなら構わずフルスイングだ。)
様子見で投げた140㎞前後の甘く入って来た球をエコスタのバックスクリーンに放って見せた。コンドウは今日2本目のホームランで3-0とした。続くミナガワ、シノダ、ジョーシマは三者三振。七回終了。
八回の表、松高のマウンドには一年生エースのマスオカが上がり、キャッチャーはアリアケに代わった。サードのシノダが下がり、そのままコンドウが入った。
「マスオカ!頼むぞ!」
「アリアケリードよろしく。」
「言われなくてもわーってますよ。」
「ほう?マウンドさばき見せてもらおうか?」
バシッ‼
「おお、流石は次期エース。貫禄あるじゃん。」
「貫禄だけじゃ打たれる時は打たれますよ。」
「何とかツチムラに繋いで欲しい。頼むぞ!」
「マスオカ、V頼むぜ。」
「うーす。」




