第三回山田玄助杯決勝ラウンド②
次戦の相手は新潟南高校である。どうやら先発は2年のササクラの様だ。毎回ボコスカと投手を潰すので、いつしか松高は"ブルークラッシャーズ"と呼ばれる様になった。
その松高の試合の前に北越高校VS日本文理高校の試合が行われ、1-8(七回コールドゲーム)で日本文理高校が勝利し優勝に王手をかけた。
「さて、相手はどうであれ俺達のやる事は変わらない。今試合のオーダーを発表する。一番センター、オカダ 二番セカンド、イトハラ 三番ライト、フクドメ 四番キャッチャー、コンドウ 五番ファースト、ミナガワ 六番サード、シノダ 七番レフト、ジョーシマ 八番ショート、カネトモ 九番ピッチャー、ショウジ 以上だ。」
新潟南高校も連敗すれば優勝の可能性がなくなる事は百も承知。ここはエースが来ると思った。
「え?18番?またエースを封印してきた。」
「どうやらブルークラッシャーズが相当怖いみたいだ。勝てなくてもエースに傷はつけたくないみたいだ。まぁ、これは公式戦じゃねーからな。言っちゃあ何だが、何でもありだ。」
「おい、今日はMAT1を使用禁止とする。」
「うーす!」
「今日こそMAT1が、与えてくれた力を解放する時だ。」
「集合!」
「うーす!」
「いつも通りで良い。さぁ、行ってこい!」
「松高ーーファイオシ!!」
松高は先攻だ。初回ツーアウト二塁で四番コンドウがツーランホームランを放ち先制すると、続くミナガワもソロホームランで3-0。先発ショウジも低めに制球が行き3人でピシャリと撃ち取った。二回、三回と両チーム得点無しで迎えた四回ウラ新潟南高校の反撃。ノーアウト満塁とショウジを攻め立てた新潟南高校は、四番山田がセンターオーバーのタイムリーツーベースで、走者一掃3点を追加し、同点とすると、その後は両チーム点を取り合うシーソーゲーム。
松高がこれまで経験していない希有な試合だったが、七回に打者13人の猛攻で最終スコア16-6(七回コールドゲーム勝ち)で松高の勝利。ツチムラが出るような試合にはならなかったが、どうやら松高のスタメンクラスや先発ローテーションのデータは押さえられた様である。
「危ない試合だった。」
と、Mr.サイレント・下山が語るのは最もだった。
「6-6になってからようやく打線が目を覚ました感じだった。」
五回6失点のショウジも、少し研究されているな。と言うのがフロント陣の受け止め方であった。
「課題は多いが勝ちきった。しかもコールドゲーム勝ちだ。そんなに気を落とす様な内容の試合じゃないさ。16点も取ってんだぞ?MAT1のお陰じゃないか?」
と、語るのはヤマナ打撃コーチ。
「次はいよいよ、県内最強の春の王者日本文理高校との決勝戦だ。」
「頼んだぞホシノ?」
「うす!」
「任せてください。ゼロゼロエックスゲーム(コールドゲーム勝ち)にして見せます。」
「頼もしいエースだな。一応ロングリリーフってケースも無くはないから、マスオカとアリアケも準備しといてくれ!」
「うす!」
「トウマは、研究されてもお構い無しだもんな?」
「良く言うぜ。ケイタこそピッチャーが誰でもお構い無しにホームランかっ飛ばすじゃんか?」
「だな。(笑)」




