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フリーバッティング

 他の高校がどの様な練習方法をとっているかは知らないが、松高の場合はかなり実戦的な形式でフリー打撃を行っている。

 ピッチャーは今のところ5人いるから、投手の疲労度もまんべんなく溜まる様なシステムにした。ルールは三振をとるか、四球になるかゴロ、フライのいずれかになるまで続ける。スタメンの8人と控えで調子の良い3人がその日のフリー打撃に進める。その他のメンバーは守備についたりボール拾いをしたりして、フリー打撃を支える。

 少し他校と違うのは、スタメンを固定しない事である。スタメンはいつも週末に次の週のスタメンが発表される。コンドウとミナガワ以外のメンバーは特に固定はしていない。勿論、調子が悪ければコーチの判断で二軍に落とされたり、昇格したりする。

 僅差の試合を経験していない松高にとって、ホシノ、ウエハラの左右のエースも含めて、サノ、ショウジ、ツチムラは沢山のイニングと球数を投げる事がなかった。それ所以、フリー打撃で存分に投げて貰うと言うのがチームの方針だった。また、ストライクとボールの判定は、腕をもて余しているホシノとウエハラが行う事にした。

 特に多くの球数を投げたのが、クローザー(抑え)のツチムラだった。1点差~3点差で残り9回を迎える場面で出てくるクローザーは、チームの勝敗に大きな影響を与える非常に重要なポストなのだ。試合では投げても打者4人程。だが、今の松高は全国トップクラスの打線を有しており、5回~6、7回でコールドゲーム勝ちするケースがほとんどだ。いつも登板出来ず歯がゆかったツチムラは志願してフリー打撃に臨んでいた。また、このフリー打撃はマネージャーのタカハシセイコさんによって1球ずつ詳細に記録された。

 それを見て、誰が調子が良くて、誰が調子の悪いのかが直ぐに分かる。というスタンダードを決めている。とは言え、複数ピッチャーが登板するため、誰が何球投げたのが分かる様にした。大体3人投げたら、ピッチャー交代と言うのが、このフリー打撃の暗黙のルールだった。となると、やはりツチムラが本当に投げ込めるのはブルペンしかない。コンドウが主に受けるが、大抵は手が塞がっており、控えキャッチャーのトバシラに受けてもらう日が多い。

 「俺って、チームに必要なんですか?」

 「どうした?ツチムラ?急に。」

 「いつもマウンドで輝いてるのは、ホシノやウエハラばっかり。サノやショウジも中継ぎや先発で投げます。自分はクローザーだからと言って、マウンドに上がれない事も多々いや、ほとんどありません。試合で投げられないなら、投手としての存在価値はありません。」

 「フラストレーション溜まるのも無理ないよ。俺達の打撃が凄すぎるっつーか、戦う相手が弱すぎるのかもな。」

 「え?それって?」

 「俺達の倒すべき全国の猛者どもと試合するってなったら、ゼロゼロエックスゲームなんて有り得ない。絶対にお前の力が必要になって来る。イニングまたぎなのか、9回のみなのか分からないが、折角そう言う役回りを仰せつかっているんだ。光栄に思うべきだし、お前のストレートはチームNo.1だ。っつー事は全国トップクラスのクローザーって事だ。」

 「おう。まぁ、そこまで信頼されているなら、現状に甘んじるか。」

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