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紅白戦

 一通り戦える事が出来ると判断した下山監督は、ミナガワに紅白戦を練習メニューに加える事を指示した。メンバーを固定しない全員参加の紅白戦は、松高のレベルの底上げに繋がるものだった。ただ、投手陣の疲労を考えると、五回が限度だったが、それでもやらないよりは全然良い。

 普段試合に出ていないベンチプレーヤーや二軍の選手にとっては、レギュラー組を倒す事も夢ではない。普段、松高のプレーヤー達は授業が始まる前に朝練をする。時間はAM6:00~AM8:00まで。その後、授業を受け終わるのがPM15:40分くらいまで。全員揃っての練習はPM16:00~PM19:00迄で、それ以降の時間は自主練習となる。朝練とPM19:00以降の練習は任意だが、レギュラーを取るために必死で練習するのが定石となっている。松高はあくまで公立高校なので、私立校のように練習を自主的に朝早く、夜遅くまでやる風習がない。居残ってもPM21:00迄には帰らなくてはならない。その為に効率の良い練習をする事が求められる。

 だが、土日は違う。朝練から始まり、日中に夜にたっぷりと練習が出来る。マツゾノ、ヤマナ両コーチも下山監督もいる。紅白戦は、そういう理由で、試合のない土日にやることにしようという事になった。下山監督も自分の休日を削ってプレーヤーの練習を見てくれている。

 しかし、コンドウやホシノの様に、一日中野球漬け太郎と、練習時間きっちりで上がる野球浅漬け万太郎では、野球の実力に差が出るのは、至極当然の事だった。勿論、試合や部活よりも勉強やプライベートを充実させるかどうかは個人の自由だ。プロ野球選手に成りたいと願いながらせっせこ部活に集中するプレーヤーもいれば、そんなものは選ばれし精鋭だけの夢物語で、野球じゃあ飯を食えないと見切りをつけるのも、割りきっているプレーヤーもいる。

 これから冬を迎え春になれば才能あふれる後輩が入部して来るかもしれない。思い出作りの野球部員を排除する気は更々無い。ONE TEAM 目指す所は違っても、甲子園に出て優勝したいという所は変わらないだろう。その想いは同じだった。

 「なぁ、ケイタ?」

 「ん?どうした、トウマ?」

 「このままずっと負けなしで行けば、ドラフトで、指名されると思うか?」

 「まずは目の前の一球一球に集中しようぜ。1つ1つ積み重ねて行った先にプロ野球って先のステージがあるんじゃねーかな?」

 「まぁ、言われてみればそうだよな。俺らまだ16だぜ?延びしろはあるわけだし。」

 「延びしろは他人が決めるもんだぜ?」

 「そんな事より、紅白戦で不甲斐ないピッチングしてると、直ぐにエースナンバー取られるぜ?」

 「そうだよな。ありがとう、ケイタ。何かスッキリしたわ。」

 「いずれ、俺達の前にはとんでもなくデカイ壁がそびえ立つ事だろう。その時トウマがその壁をブレイクしてくれると良いんだが。」

 バッシーン。「壁が何だって?俺のストレートで、撃ち破ってやるよ。」

 「そっか。それは、頼もしいな。」

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