表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/136

第二回山田玄助杯決勝仙台育英高校戦

 ここまでの全ての試合がジャイアントキリングだった。しかも、全てゼロゼロエックスゲーム(コールドゲーム)で、勝利してきた松高の快進撃もこの決勝で止まるだろう。見物客の99%はそう思っていた。だが、名門を次々に破って来た松高ナインには、確たる自信があった。

 「次の試合も勝って、山田玄助杯V2だ!そうだ俺達は強い!」

 野球部を再建してから負け試合は、奇跡的に一度もない。それどころか失点もない。圧倒的な強さを県内外に示している松高だが、今度の相手ばかりはそう上手く行くかは分からない。春選抜ベスト4、夏ベスト8の甲子園常連校。それが仙台育英高校だ。

 「集合!」

 「うーす!」

 「今日はちょっと変わった打順で行こうと思う。一番センター、スズキ 二番セカンド、エナツ 三番ライト、フクドメ 四番キャッチャー、コンドウ 五番ファースト、ミナガワ 六番サード、カケフ 七番レフト、ムカイ 八番ショート、トリタニ 九番ピッチャー、ホシノ 以上だ。」

 「よし、打ったるで!」(大丈夫かなこんなに打線組み換えて?大事な決勝だぜ?)

 「今日はいつもベンチを温めてる控えプレーヤーにもチャンスを与える事にした。松高の層の厚さを見せてやれ!ここで結果を出したら今後のスタメン起用も考えよう。今日は頑張ってくれ!」

 「うす!」

 「レギュラー組もしっかり体動かしとけよ?いつ出番が来るか分からないからな。」

 「うす。」

 「集合!」

 (よし、気合い充分ってとこか?)

 「松高ーーファイオシ!!」

 決勝戦は先攻めだった。初回一番スズキは四球で出塁。二番エナツが上手く送りバントを決めワンアウト二塁。三番フクドメは四球で、ワンアウト一塁、二塁。ここで仙台育英はゲッツーシフトを敷くが、相手が悪かった。四番コンドウが二球目のスライダーを上手くスタンドまで運び、幸先良く3点を先制した。続く打者も今後の事があるだけに、本気だった。

 五番ミナガワと六番カケフに連続ツーベースヒットが出て4-0。七番ムカイはレフトフライ。ツーアウト二塁で、八番トリタニ!ガギーン。打音で分かったが、少し詰まったが風に流されボールはライトスタンドに消えていった。これで6-0。続くホシノは見逃し三振で、スリーアウトチェンジ。松高の御家芸初回袋叩きが炸裂した。試合は、ホシノの出来次第という事になった。松高は大量点を早い回にまとめて取り、試合を優位に進める傾向が強い。

 主戦ホシノの女房役のキャッチャーコンドウは、小学校四年生からバッテリーを組んでいる。親友であり、相性は自慢じゃないが抜群だ。今日はスライダーがキレッキレで使えそうだ。まっすぐも140㎞台中盤だ。この二本柱で行こうとコンドウは決めた。

 仙台育英高校にも意地がある。こんな試合をしにワザワザ東北地方から、この越後の地に来た訳ではない。だが、コンドウの巧みなリードにより、球をストライクゾーンに散らす事で、仙台育英の各打者は、ゴロアウトを量産した。スタメンが変わって、守備の心配もあった松高だが、軽快にゴロをさばいて行った。三回ウラまでを終了し12-0。二回と三回に3点を取った松高は四回、五回は、無得点。一方で仙台育英は、ランナーを貯める事すら出来ずに、ボテボテのフライやゴロを重ね続けた。

 五回ウラツーアウト、ランナー無し。ここで仙台育英は代打にササクラを送る。(おいおい。夏の主軸が代打って事は、やっぱり一軍じゃねかたったか?まぁ、これで俺達がゼロゼロエックスゲームを達成すれば、俺達に箔が着く。)ササクラはツーボールツーストライクからのスライダーで空振り三振ゲームセット。松高は12-0で仙台育英高校を破り山田玄助杯二冠を達成した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ