第二回山田玄助杯二回戦VS智弁和歌山高校戦その②
「三番ライト、クリバヤシ君。」
「繋げークリバヤシ‼」
「四番に絶対回すなよ、浜中!」(うるせーな、分かっとるわんな事は。)
第一球を投げた、これは流石に打てないか140㎞のフォーク。空振りでワンストライク。ここで松高はバントの苦手なクリバヤシにスクイズのサイン。(え、マジかよ?仕方ねぇチームの勝利の為だ。)二球目は明らかなボール玉。三球目、ストライクゾーンに来た甘いスライダーをクリバヤシは見逃さなかった。(指示とは違うから怒られるだろうが結果は同じさ。コンドウ、あとは任せた。)
松高が智弁和歌山から一点を先制し尚ノーアウト一、二塁。
「四番キャッチャー、コンドウ君。」(まぁ、そうなるわな)敬遠で満塁策に撃って出てきた。
「五番ファースト、ミナガワ君」(キャプテンの意地見せたれ。)
(へぇ、また右バッターか。にしても、このミナガワって奴は1年とは思えない体格の持ち主だな。さっきのコンドウと言い、強打者揃いだな。この松高、全国で戦えるレベルやで。)
(内野ゴロゲッツーだな。)内野前進バックホーム体勢。(ファーストストライクをスタンドにぶち込む準備はしてある。)
来たぞ甘いスプリット系の落ちる球!グウワキーン‼(ちょっと詰まったかな?)風に流され流され入った‼またもグランドスラム!二試合連続半端ねぇな。これで5-0。プロ注目の右腕から松高打線爆発だ。が、その後の六、七、八番は、三者連続三振に抑えた。
二回、三回と互いに無得点で迎えた四回ウラの松高の攻撃は九番ショート、カネトモから。ボールフォア!一番オカダ。ボールフォア!連続四球で二番イトハラ。ここも四球でノーアウト満塁。迎えるわ三番クリバヤシ。(今日はコントロール荒れてマスね。浜中の奴。)「タイム!」
「今お前を変えたら、今後の智弁和歌山の為にならない。だからお前を変えない、ってさ。まぁ、そういう訳でここは踏ん張って。」
(ちぇ、知るかよ今後の事なんか。つーか思った所にボールがいかねぇ方が問題だ。ええーい。ストライクゾーン真ん中のストレート!)カキーン。入りました。本日二本目の満塁ホームランこれで9-0。続くコンドウはヒットで出塁。五番ミナガワもヒット。続く六番ジョーシマ(最近調子良いんだよな?今日も打てるかな?)今日は右バッターのホームランだけで、左バッターのホームランはまだない。(ヤマナコーチはいつも口酸っぱくファーストストライクをフルスイングって言うけど、その見極めが激難しい。でも、今日のこのピッチャーは必ず一球目から、ストライクゾーンに投げてくる。みんな、それを理解して良い打撃をしている。俺もそうしよう。)
ピッチャー、浜中。第一球を投げました‼インハイのストレート。これも狙い撃ちシュカキーン‼余韻の残るジョーシマの放った打球はセンターバックスクリーンに吸い込まれた。これで12-0。松高次の五回を抑えればゼロゼロエックスゲーム(コールドゲーム)達成だ。頼むぞウエハラ!
「任せろ。」
結果は智弁和歌山打線を散発二安打に抑え、松高が12-0で五回コールドゲーム勝ちし、次の準決勝に進んだ。




