第二回山田玄助杯二回戦VS智弁和歌山高校戦その①
「敗者復活のカードは桐生第一になったってさ。トウマ?凄いぞ名門ばっかじゃん。」
「目の前の敵は打ち負かすだけさ。」
「ん~な事言って、一番嬉しいのケイタじゃんか?」
「素直じゃないね。」
「おい、コンドウ?あっちのヤマ(トーナメント)大変な事になってるぞ?」
「何ィ?」
「横浜高校が敦賀気比に敗れ、駒大苫小牧が沖縄の興南に負けた。」
「横浜高校負けちまったか?まぁ、次は順当に行けば青森山田だろうし、向こう岸は地獄ってことで。とりあえず、まずは目の前の戦いに集中しようぜ?」
「ああ、結果は後からついてくる。」
「智弁和歌山のエース浜中は、甲子園4期連続出場プロ注目の逸材だ。右投げ右打ちで、打撃も良い。所謂二刀流って奴だ。こいつのキレッキレのスライダーとスプリットを打たんことには点は入らんで。ストレートのコントロールも良い。MAX153㎞のまっすぐは、伸びがあってとても打ちにくい。」
「相手がドンだけ凄くても、この短期間でお前らは何をやって来た?何を目指してるんだ?やって来た事を信じろ。相手がプロ注目の逸材でもだ。」
「ヤマナコーチのいう通りだ。松高にはコンドウという最高のキャッチャーと、4人の投手がいる。そいつらが、0をスコアボードに刻む。だから野手は一点でも多く点をとってくれ。当たり前だがそれで試合に勝てるはずだ。」
「ヤマナコーチ、マツゾノコーチ、俺達やります‼よーし、円陣だ!」
「松高ーーファイオシ!!」
(あれが松浜ナインか?全員1年てのは何か理由があるのか?)
(あー。あいつら2年間公式戦出場禁止なんすよ。)
(てことは、あいつらには2年後の夏しか甲子園を目指すチャンスが無いわけだ。それも酷な話だな。でもよくこんなに強豪高校を集められたな?)
(山田玄助元松浜高校監督の功績があるからですよ。松高に山田玄助ありって10年位前までは高校野球やってる人間なら知らないレジェンドがいたんすよ。育てる選手は即戦力のプレーヤーばかり。特にキャッチャーの育成においては、右に出るものはない。って評判だった。でも、5年くらい前に監督の座を退いてからは、松高野球部は不良の巣窟と化した。)
「って、あなたサンスポの池田さんじゃないすか?」
「だとしたらどうする?東スポの新人君。」
「試合始まりますよ!」
「おう、分かっとるわ。」
「礼。」
「うーす!!」
「この試合は後攻めだ。有利だな。」
「ホームグラウンドでやれるのがせめてもの救いだな。しかし、どう考えても松高に勝機は無さそうだが。どうやってあの浜中を打ち崩すか?」
初回、松高の先発ウエハラが快速154㎞のストレートを軸に智弁和歌山打線を0点に抑える。まずは上乗の立ち上がり。一回のウラ、一番センターオカダ(速いな。ウエハラより球速く見える。伸びが凄いぞ‼とりあえずストレートはカットして変化球は見送ろう。)
「チッ、粘るな。」(しめしめ。こっちの作戦に浜中さん!)結局11球粘って四球をオカダは勝ち取った。(さぁて。掻き乱しますか。)セオリー通りなら、送って来る。と、誰もが読む。ところだが松高は違う。バスターエンドラン、これが決まりノーアウト一、三塁となったところで智弁和歌山守備のタイムをとった。




