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2年生

 面子は揃えた。しかし、ケイタとトウマにはやるべき事が残されていた。野球部の部室の奪還である。

 「うわ、くっせー‼何これ?」

 「ビール缶に、煙草の吸殻まで。こりゃあ出場停止やむ無しだな。とりあえず、まずは要らない物から捨てよう。」

 「おい!お前ら、俺達のユートピアに何してんねん?」

 「失礼ですが、貴方は野球部員ですか?」

 「だとしたらどうした?甲子園に出られない。クソ3年のせいでな。割を食った最悪の世代やな。ま、そもそも今の松高に甲子園に行く余裕なんかねーよ。」

 「そういやあ、昨日セレクションしてた生意気な中坊上がりの生意気な1年がいたな?お前らか?」

 「はい。ここはラブホではありません。酒も煙草もやるなら家でやってください!今日からここは、俺達1年の部員達が使います。過去の栄光が詰まった大切な場所なんです。だから掃除します!」

 「下山の奴には話透してんのか?」

 「はい。監督は快く部室使用の承諾を得ました。」

 「うわ!なんかデケェの来た。おいニタミずらかるぞ‼」

 「なんか使わねースパイクとかグローブとか出てきたけど、捨ててちまって大丈夫かな?」

 「あーあ、構わずここは断捨離だな。」

 「でもさ、2年の奴等可哀想だよな。特に真面目にやってたんだろうし。ま、今の様子じゃろくに練習もしないで、遊んでた感じだな。運が悪かったんだよ。それに甲子園目指したいなら、転校するとかするんじゃねーの?松高ブランドにこだわらねーなら。」

 「灰皿とか酒瓶とか全部すてるし、この麻雀卓も捨てるぞ。」

 「流石にバットは使えそうだな。あと、ボールも無駄には出来ない。」

 3時間後。「うし!」 「これでもう実効支配出来そうだな。」

 「きったねーなしかし。見てみろ、雑巾真っ黒。」

 「大夫広くなったな。3年や2年には悪いが、ここは甲子園出場の可能性のある、俺達1年にかけてもらおうじゃないか‼」

 「松高の新しい伝統は俺達が作る‼」

 「ツチムラ?」

 「やっぱやる気になってくれたか。」

 「俺も忘れてもらっちゃあ困るぜ?」

 「ショウジ!?」

 「トウマ、良かったな。ブルペンの層厚くなって。」

 「あーあ、まぁライバルが増えるのは良いんじゃねーか?」

 「おい!このキャッチャーミット、名前入りだぞ‼ノムラ…カツミ…。あの甲子園最多本塁打記録を作った松高史上最強のキャッチャーじゃねーか。その後ドラ1で阪神に入団長く虎の扇の要はノムラさんだった。」

 「そのミット俺に使わせてくれ!」

 「ケイタ?」

 「俺もノムラ先輩の様な強肩強打の正捕手になる!」

 「他にも沢山の名手のグローブあるよ。」

 「マジか?こりゃあSDGSだな。とりあえず新入生20人のグローブとバットは揃ったな!」

 「ちょっと待て!」

 「うん?誰の許可得てこのユートピアを壊した?」

 「下山監督っすけど、汚かったんで掃除し手おきました。(やべぇ。2年の主将シンカイススムだ。)」

 「シンカイ先輩これには色々と訳がありまして。」

 ドゴーン‼「ふざけんなよ。クソ3年のせいで俺達はいくら練習しても、甲子園には行けねーんだよ。栄光の松高も地に落ちたんだよ。部室で煙草吸ったり、酒飲んだりしなきゃやってらんねーよ。」

 ドゴーン‼「野球…好きなんだろ?だったら俺達1年と甲子園目指さねーか?酒や煙草は大人になったら幾らでも出来る。」

 「コンドウケイタっつたか?気持ち変わったら2年全員でまたこのグラウンドに来る…。」

 「やる気があるなら皆仲間です。」

 「なるほど、でサッカー部との兼用グラウンドで甲子園に行けると思ったか?」

 「良い所を紹介してやる。ついてこい。」

 「うす。うわ、スゲー広い。」

 「これは夜間練習専用の松高第2グラウンドだ。人工芝がはってある。」

 「ここは野球部専用なんですね?」

 「あーあ、俺達が教わってた時は、一軍が第2グラウンドで、二軍以下はサッカー部兼用グラウンドで練習してた。」

 ガチャ。「うわ!スゲー。本格的なブルペンや、バッティングマシーンがある。」

 「ここの鍵は下山監督に、渡しておく。ちゃんとこっちにはシャワー付きのキレイで広い部屋があったのにな。(笑)」

 「お前らが本気で甲子園目指したいなら、俺達2年も協力するよ。俺達が果たせなかった夢の続きを見させてくれよ。」

 「あ!コンドウいたいた。下山監督が呼んでるぞ。教務室来いって。」

 「はい。あーあ、そうですか‼分かりました。」「で、どうだったんですか?対外試合。」

 「OKだってよ。」

 「よし!!」

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