山田玄助杯準決勝決着~の決勝戦、日本文理高校戦序盤
「中越のピッチャー、打撃投手だってよ」
「なんだーい。ベストメンバーじゃねーのか。」
初回は四番コンドウのグランドスラムで4点を先制。流石の中越も、松高の実力を過小評価していたのか、三回までに17失点。結局21-0で松高が五回コールドゲームで勝利した。
「野手はベストメンバーだったのか…。」
「こりゃNBも本気で来ないと喰われるぞ。」
「いよいよ決勝だな。正直お前らがこんなに強いとは、思っても見なかった。この調子で王座を奪うぞ‼」
「うーす!」
「松高ーーファイオシ!!」
先発は勿論、エースのホシノ。一番センタ、ーオカダ 二番セカンド、イトハラ 三番ライト、クリバヤシ 四番キャッチャー、コンドウ 五番ファースト、ミナガワ 六番サード、シノダ 七番レフト、ジョーシマ 八番ショート、カネトモ 九番ピッチャー、ホシノ 以上だ。
「トウマ!力抜いてけ。」
「あいよ。」
「プレイ‼」
(このバッター、どっかで見た事あるな?誰だっけ?あ、Y中のタケシタだ!スゲーな。一年でNBのスタメンなんて。それともベストメンバーじゃねーのか?)
結局タケシタは三球目のカーブを捉えたがショートゴロに倒れた。続く二、三番は三振に仕留め初回はホシノ上々の立ち上がり。
NBの先発は2年生のサウスポー。ストレートが130㎞後半にスライダー、カーブ、スクリュー、スプリット、チェンジアップと、多彩な変化球で打者を翻弄する技巧派ピッチャーである。でも、このピッチャーはエースピッチャーじゃない。
(三年のエースは、温存か?いや、調子が悪いのかもな。と、NB投手陣は考えたのかもな。)
山田玄助が松高の監督を退任してから数年。松高の暗黒時代に頭角を表したのがNBである。甲子園に出場する事10回。全国の舞台では中々結果は出ない時期もあったが、黙々と努力する事を選手に叩き込んだ。かつての王者と、現王者の直接対決。NBもこの試合にかける想いは並々ならぬものがあった。NBのスターティングラインナップは、一番セカンド、タケシタ 二番ショート、カツラ 三番サード、ハトヤマ 四番ファースト、アベ 五番キャッチャー、ヤマモト 六番ライト、イトウ 七番センター、カン 八番レフト、アソウ 九番ピッチャー、オブチ 以上である。
1、2年生を中心としながらも、四番、五番に三年を入れてくる辺りが、名将ササオカテツヤの采配であった。
その2年生ピッチャーオブチを松高打線が捉え始めたのが、五回ウラからだった。0-0の膠着状態を破ったのはイトハラ、クリバヤシの連続ヒットでつないだ四番コンドウ。と、ここで、NBはここで、投手交代。今度は右のサイドスローが出てきた…。




