山田玄助杯~決勝トーナメント一、二回戦~
山田玄助杯は大詰めを迎えていた。一回戦Eグループ代表佐渡高校VSHグループ代表北越高校は、10-1で北越高校が乱打戦を制して二回戦進出。Fグループ代表の新潟江南高校VSJグループ代表東京学館新潟高校の試合は、11-0(五回コールドゲーム)で、新潟江南高校が二回戦進出。Dグループ代表中越高校VSGグループ代表新潟高校の試合は、18-0(五回コールドゲーム)で、中越高校が二回戦進出。一週間後に行われる準決勝、決勝を前にして、大会も盛り上がって来た。
続く二回戦、Bグループ代表の新潟南高校VS一回戦打線好調のHグループ代表北越高校の試合は、延長まで進む大接戦12回タイブレークまでもつれたがツーアウト一、二塁で五番石見(二年)のサヨナラスリーランホームランで、北越高校が勝利しベスト4一番乗り。続く二回戦、Cグループ代表で、県内最強の日本文理高校(NB)VS一回戦圧勝のFグループ代表の新潟江南高校の試合は、終始NBペースで6-2辛くも逃げ切りベスト4進出。続くベスト4最後のイスをかけて、Dグループ代表の中越高校VSIグループ代表新発田高校の試合は、新発田が三点を先制するも、投手陣が乱調で中越打線につかまり、16-3で、五回コールドゲーム。中越高校がベスト4に名乗りを上げた。
これにより、準決勝第一試合は日本文理高校VS北越高校、準決勝第二試合は松高VS中越高校となった。
「スーパーシードで、いきなりベスト4かよ。」
「ま、想定内の顔ぶれになったな。」
「私立校四強の中に松高ドーンときたね。」
「地の利もある。ホームグラウンドでやれるんだ。」
ビュン、ビュン、ビュン、ビュン、ビュン
「お、神スイング!」
「無駄口叩いてねーで練習しろ。NBも中越も今の俺らには高嶺の花だ。」
「わりぃ。今日は塾に行かなきゃなんねーんだ。」
「お前、塾なんか行ってねーだろ?」
「はい、嘘をついた罪で今日はグラセン頼むぞ。」
「あちゃー(>_<)」
「ま、文武両道は大事な事だ。中間テストの成績はチェック済みだ。赤点の奴はいねーし、野球部は割りと成績は良い方だぞ。」
「俺はトップ狙ってるぞ。何せ俺の目標は松高で甲子園に行って慶應義塾大学に行く事だからな。」
「大学に行くと高卒より四年デビューが遅れるぞ?」
「その分大学で努力します。そして阪神タイガースに入団するのが自分の夢なんです。」
「じゃあ、今この瞬間から誰よりも努力しねーとな。」
「そうか、俺はmajorリーガーたな。世界記録を塗り替えまくって世界のコンドウになる。だから、毎日夜遅くまで頑張れるんだな。」
ビュン、ビュン、ビュン、ビュン、ビュン。風を切り裂くケイタのバットスイングの音だけが、彼の夢を叶えてくれる事を彼は知っている。
「慶應義塾大学にNPBにmajorか。予定通り行くと良いな、トウマ。」
「コンドウ、お前はドラフト一位で指名される気がする。選ばれた球団でしっかり結果も出せると思う。」
と、ヤマナコーチは松高の主砲の未来を心配していた。少し早とちりかもしれないが…。しかし、majorのレベルを知るヤマナコーチは、いきなりmajorにケイタを行かせる事も無理ではない。NPBで実績を残してmajorに行く人が多いいや、ほとんどだが、コンドウケイタと言うゴールデンエッグがどのような道を歩か、今から頭が痛い。それほど、彼は素晴らしい素質を内に秘めているのであった。




