打倒松高
「なぁ、最近俺達松高野球部の事が噂になってるらしいじゃねーか?」
「何処で噂になってるって?」
「四試合連続ゼロゼロエックスゲームだ。噂にもなるだろう。しかもメンバーは全員一年生。」
「そりゃあ噂にもなるだろう。」
「今じゃ、目指せ甲子園じゃなくて、打倒松高なんてスローガンを掲げてるチームも沢山いるそうだ。」
「で、下山監督?次はどこのチームと練習試合やるんですか?」
「それがなぁ…。ちょっと困った事になっているんだよ。」
「なんですって!?オファーが殺到しているんですか?たかが練習試合で。」
「ああ、新潟県全域の高校から松高を倒そうとオファーが来ている。5月も後半に入ったこの大事な時期にも関わらずだ。そこでこう言う案はどうだろう?」
「くじ引きをして、当たったチームとリーグ戦を行うと言うのは?」
「くじを引いて当たったチームとリーグ戦を行うだと?」
「県内の高校野球部は、70チーム超。今オファーが来ているのは60チーム程だから、おおよそ8割以上のチームがうちとテストマッチする事を望んでいるって事ですね?南は上越、北は村上我々松高は、新潟市北区にある。何試合もやるなら我が校でやるのが理想じゃないか?」
「エコスタとか市民球場を借りるとか?」
「ちなみにリーグ戦の名前は山田玄助杯だ。」
「その名前は名案だな。」
「くじ引きが納得行かないなら予選会からやる箱根駅伝方式を採用する。」
「一見アンフェアに見えるかも知れないが強いチーム同士がぶつかる方が、山田玄助杯の名に相応しい。」
「俺達松高は当然本選から出るんだろ?」
「いや、待て。シード権を持てるほど、俺達松高は強くない。」
「それならフェアだな。」
「A~Jグループに別れて行う、予選トーナメントを突破した10チームがリーグ戦を戦う事にする。」
「良いじゃないすか。その案。」
「めっちゃCOOLすね!」
「夏の甲子園の後が良いんじゃないか?」
「いや、三年生が現役の今が最適だ。」
「異論はあるかもしれないが、下山監督ここは予選トーナメントをシャッフルして決めちゃって下さい。」
「こんな感じになったぞ!バン‼」
「おお!Aグループで、初戦は巻高校か!」
「巻高校っていやぁ県大会ベスト4の常連の強豪じゃないか?しかも松高ノーシードだし。」
「それが一番フェアじゃないかなと思ってな。」
「二回戦は恐らく新潟県央工業高校だな。」
「ケイタあれ見ろ。Cグループ!NBとNM直接対決だぜ?まぁ、こればっかりはくじ引きの神様が決める事だからな。」
「で、何処でやるの?エコスタ?市民球場?」
「バカ言え。予選トーナメントも決勝リーグ戦も松高でやるんだよ。」
「この大会のミソは、県外チームが居ない事だ。県外チームも呼ぶか検討したが、この大会は新潟県の野球レベルを確める為のものだ。だからここは県外チーム無しでやる。」




