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打撃の神様

 ブン、ブン「違う。」

 「こうだ!」ビュン、ビュン。

 「すげぇスイング。神ってますね!」

 「確かに昔は俺は凄かった。それは事実だ。4割80本塁打200打点の高みに行き金字塔を打ち立てたのは、全てが努力の賜物からだった。素振りは、毎日鏡を見ながら500回。試合の日も休みの日もやった。先輩達の打ち立てた記録を更新する度に、俺はいつしか打撃の神様と呼ばれる様になった。低迷していたチームがAクラス入りするのは当たり前、リーグ優勝、日本一全て経験した。それは、俺がいたからだ。FAでMLB(大リーグ)に行っても、変わらなかった。ゴットヤマナKING of batting ヤマナタダシ。現役を退いてからも、俺はゴットと言われ続けた。引退してからは、NYY(ニューヨークヤンキース)で、打撃コーチをしていた。そんな野球エリートの俺が、低迷している母校のバッティングコーチを引き受けたか知りたいだろ?」

 「確かに栄光を捨ててまで松高に来てくれたのは知りたいです。」

 「いいか、コンドウ。バッティングで一旗上げれば一生遊んで暮らせる金が手に入るんだ。それも、人よりちょっと多く努力を重ねるだけでだ。多くの人間は努力の継続が難しい。何処かで怠ける。凡人と天才の差はそこにある。努力は報われるんだ。後はスピリット(魂)気持ちの強さだけだ。松高は強い。だがまだ個人差がある。コンドウ、貴様のスイングが変わればそれを他の人間にも、伝導出来る。副キャプテンの貴様がミナガワを越えるのは、まずそこからだ。」

 ビュン、ビュン「そうそれだ!」ビュン、ビュン「スイングスピードが上がればスイングの音が変わる。気を抜くと、音が戻るから気を抜くな。」

 「お、おす。」ビュン、ブン「ほらすぐ気を抜く。」

 「野球で大事なのはバッティングだ。マツゾノにはすまないが、点を取らなければ勝てない。他の球技は皆そうだ。攻撃は最大の防御なりって言うだろ?」

 「とりあえず、神スイングを毎日500回やれば、ヤマナさんみたいになれますかね?」

 「お前次第だ。」

 「とりあえずやってみます。」

 「他のチームメートにも声はかけておく。やるかやらないかは、そいつ次第だ。」

 「鏡を見ながらやるとフォームの確認も出来るぞ!ただ闇雲にスイングしても効果はない。1回のスイング毎に試合のイメージを持つんだ。良いな?」

 ビュン、ビュン「良いスイングだ。その調子だ。ボールからストライクになる変化球をバックスクリーンに運ぶイメージで。」ビュン、ビュン。「お前ら毎日出来そうか?」

 「とりあえずやってみます。」

 「コンドウ、キャッチャーとしての本分も忘れるなよ。」

 「お、おす。」

 「まぁ、お前の場合キャッチングはセンスあるし、リードも申し分無いと見ているんだが、問題はピッチャーの方にあるかもな。」

 「みんなそれぞれ得意球が違いますし、リードの方は考えてやってみます。」

 「肩はあんまり強くないのがたまに傷だがな。」

 「ランナーを出さなきゃ良いんすよ。そしたらレーザービームの送球は必要なくなりますからね。」

 「だから、あんまり気にすんなって。」

 「肩よりリードで見せろ!」

 「マツゾノさん…。」

 「マツゾノ…。」

 「打撃も良いがプルペンにもしっかり入って相手してくれよ?」

 「お、おす。」

 「じゃあそのあたり宜しくな‼」

 「コンドウ。後はお前の時間だ。」

 ビュン、ビュン、ビュン、ブン(あ、しまった)ビュン、ビュン、ビュン、ブン、ビュン。 

 

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