プラクティスゲーム その③-1
「よーし。皆集まったな。今日はオーダーを変える。1番ライト スズキ、2番ショート トリタニ、3番キャッチャー コンドウ、4番ファースト ミナガワ、5番レフト フクドメ、6番サード ムカイ、7番セカンド ヤマグチ、8番センター トバシラ、9番ピッチャー ウエハラ 以上だ。」
「大分オーダー変えてきたな?」
「そりゃそうだよな。だってプラクティスゲームだもんな。トウマの進化は中継ぎに備えるか次戦までとっておけよ。」
「ウエハラ、今日はよろしくな!」
「あ?何だよ、改まって。」
「挨拶は大事だぜ。」
すると、ケイタはキャッチャーミットで、ポンポンと2回軽く叩いてみせた。ウエハラは、150㎞超えのストレートとカーブにチェンジアップに精度のあるピッチャーである。右のホシノ、左のウエハラと言われているくらいである。
また、今日は過去2戦で、出場していない野手が多く出場する。ヤマナバッティングコーチとしては、中軸以外で活躍する選手を見たい所だ。
「よーし。時間だ。」
「集合!」
「うーす!」
「松高ーーファイオシ!!」
今日は正式な審判が四人いる。
「マツゾノ投手コーチに礼を言っとけよ。奴のポケットマネーでレフェリーを雇ったんだ。安くないぞ。」
「え?そうなんすか?それは勝たないといけませんね。」
「トウマも一応肩作っとけよ!」
「わーってるよ。」
「あ、ツチムラ?」
「ん?何すか?」
「右の本格派のお前の出番もあるかもよ。肩作っとけよ。」
「う、うす。」
「気を付け、礼!!」
「うーす!しゃーす!」
「今日は先攻。今日もゼロゼロXゲーム(コールドゲーム)頼むぞ。」流石にウグイス嬢はいねーよな?(笑)
「相手の先発は、右投げだ。追い込まれてからのフォークボールには気を付けろ!」
「スズキ、頼むぞ!」
(球のスピードは大した事ないな。セーフティバント屠かやると面白いかもな。つーか狙ってみよう)
コツン。サードプッシュするも間に合わずセーフティバント成功。
「ナイススズキ!」
2番のトリタニは手固く送りバント。と見せかけてバスターエンドラン。これが決まり、ノーアウト一塁、三塁。で3番のコンドウを迎える。ああ、これは申告敬遠だ。ケイタは勝負してもらえず。これでノーアウト満塁で4番ミナガワ。
「クソッ!」
「コンドウの奴悔しそうですね。」
「大丈夫。ミナガワが仇をとって来る。」
スイッチヒッターのミナガワは左の打席に入る。松高の皆よ。見ててくれ生まれ変わった新生松高野球部の強さを。
「第一球目を投げた。グワキーン!ホームランです。松高初回いきなり4点を先制‼キャプテンミナガワ怒りの一振り!」
続くバッターも立て続けにヒットを量産。打者一巡の猛攻撃で新津南高校先発ハマヤをKO6-0とした。ホシノやツチムラの出番はないかもな。
スズキは控えキャッチャーだが小技の効く韋駄天の選手だと言うことが分かったし、ムカイやトバシラも良い成績を収めていた。これ等の記録は全てセイコさんがレポートにまとめてくれていた。
(こんなやつらが県大会ベスト8か…。新潟の野球のレベルも大した事ないな。)
9-0と加点して尚ランナー1、2塁ここで、第一打席は申告敬遠だった3番コンドウ。初球のストレートを痛打、松高第2グラウンドのバックスクリーンに特大のスリーランホームランを放ち、初回だけで12得点と打線が大爆発した。
「すげぇな、松高!」




